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書籍出版ヒストリー第一章:突然の別れ

「諦めない女・神崎桃子~作家への道」

黒歴史である「逃げる男」の出版悲話から、プロライター/コラムニストになるまでの舞台裏をドラマ仕立て(???)でお話します。(※こちら編集は入りませんw誤字脱字等ご容赦ください)

他では絶対に聞けない、辛苦をなめ尽くした(笑)神崎桃子の出版ヒストリー。

第一章:突然の別れ

恋がこれほど人を変えるとは思わなかった。
酒でもないのにこんなに人を酔わせるものとも思わなかった。
しかし、酒なら朝になれば抜け落ちる。

が、恋は一晩寝ても抜けやしない!

相手への思いを寝て忘れることができたらどんな楽であろうか……。

恋は人を翻弄させる。

恋は人を盲目にさせ、嫉妬させ、不安にさせ、憎しみをわかせる。人を惨めにさせ、そして脆くさせる。

“恋愛”は人間のあらゆる感情を引き出すもの。
恋がこれほど人間を振り回すものとは思いもよらなかった。
それまでの常識も知識もすべて覆すくらいの威力を持っているのだ!

いい意味でも悪い意味でも
これがこの先の自分に“影響力”を与えるものとはその時は知る由もない。

わたしはあのとき、恋に夢中になった。
しかも、その恋はあっけなく散った。

この失恋の痛手は大きすぎた。

その別れは一方的なものであり、理由も告げられずわけがわからなかったからだ。

何も手につかず、四六時中いなくなった彼のことを考えた。

そして、激しく後悔した。

「したこと」に対して後悔する女など“大嫌い”だったはずのに
自分はその大嫌いなことを何度もやっていた。

「あのときのあの言葉がもしかしたらいけなかったの?」
「もっと違う言い方をすればよかったの?」
「あの日、彼に誘われたとき、友達の約束なんてほっぽって彼に会いに行ってしまえば良かった」
「彼以外の約束などドタキャンしてればよかった」

「あの時、ほんの少しでも会ってさえいたらこんなことにならなかったのかも」

……と、タラレバを繰り返す。

好きな相手を手離すことになるのなら、恋を失うことになると予め分かっていたら絶対そんなことはしていなかったのに……。

わたしは自分自身を責め呪う。

こんな別れ方ははじめてだった。
それまで幾度も恋をしてきたし別れも経験してきた。
自分が相手への気持ち(もしくは自分への気持ち)が無くなってしまえば仕方のないことでもあるし
別れ話をどちらかが言い出すことができれば
そのとき苦しい思いをしても、別れること自体は形の上では可能だ。

しかし今回は勝手がまるで違う。

別れたい理由は分からず、
相手の考えも分からず、
真意も分からず、
何も言われず、
終わった”のだから……。

女は付き合いながら“なんとなく感じるもの”がある。
「最近なんか違うよな」とか、
「ホントにこの人でいいのかな?」とか……。

ふたり一緒にいても虚しさを覚えるようになると別れはもうそこまで来てるものだ。

そんな“別れの予兆”があれば心構えはできる。
それによほど空気が読めない人間じゃない限り、”別れの空気”だって読めるはずだ。

しかしラブラブな状態、つまり盛り上がってる最中で
いきなり一方的に切られるというのは狐につままれるようなもの。

「いきなり姿をくらます」という相手の去り方には
誰でもうろたえるはずだ。


またこの突然の出来事に
自分を自分でどうしたらいいのか?自分自身をどう扱えばいいのか?
対処不能……。自分を立て直す方法もわからない。

消化不良の恋心だけが残り、何週間もため息をついて過ごし
食べ物も喉に通らず、
「いや、まだキチンと別れたわけじゃない」という僅かな希望から連絡を待ってしまう。

連絡がない、連絡がつかない
それ自体が「もう終わりにしたい」という彼の答えなのに恋に溺れたバカな女は認めようとしない。

だって、だって、こないだまで、あんなに仲良くやってたのに納得なんてできるわけがない。
「仕事が忙しいだけかも?」
「嫌っていたら着拒するはずだし……」「メールも電話もつながってるから返事する時間がないくらい繁忙期なのかも……」

と、自分の都合のいいように考える。

一緒にすごした時間や彼の言葉をどこかで信じたかった。
あまりにも予期せぬ別れ……それを受け入れるのには時間を要する。
こんな簡単に終わらせられる、何も言わず人をバッサリと断捨離できる男がいるなんて思えなかったのだ。(※今ならわかる。そのときまでの歴代の彼氏らは本当にいい人だったってことがww)

キチンとふって欲しかった。
「キミとはもう会わない」「キミとは遊びだった…」
なんでもよかった。
わたしを傷つけてもう二度と期待させないようドン底につき落としてくれたらよかったのに。

別れを告げられてしまえば、自分の気持ちがどうであれその別れを受け入れるしかない。

しかし、彼はわたしと別れてはくれなかった。
彼は彼の中で勝手に終わらせ、自分だけで完結させただけ。

彼は完全にわたしを無視した。
別れたのではなく”逃げた”のだ。

「無視する」「放置する」ことは相手を否定する一番ひどいやり方だ。

会社でも学校でも、人と喧嘩することより絶対に無視されることの方が辛いはず。

一度でいいからキチンと話をしたい。最後に会ってちゃんと終わらせたい。

連絡してもいつでも電話は鳴るだけ。または留守番電話に切り替わる。ずるいよ、ズルすぎる……。

わたしはその恋を上手に葬ることもできず
自分の思いの処理ができない。
消したいのに消えない灯火がブスブスと煙をたてていた。

このままだと相手の会社に乗り込んでいってしまいそうな自分がいた。(※怖っ)

どうする?どうしたらいい?桃子。

次回へ続く……

次号の神崎桃子の出版ヒストリーは「第二章:人には文章にしないと伝えられないことがある」です。




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