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書籍出版ヒストリー第二章:人には「文にしなければ伝えられないこと」がある

「諦めない女・神崎桃子~作家への道」

ここでは自分の武装を脱ぎ捨てます!

旅の恥は「かき捨てる」といいますが、今回、自分の人生の歴史の恥を「書捨てる」ことにしました。「こんなこと普通しないでしょ」「こんなことホントにあるの?」「昭和のドラマ?」「コレってスポ根??」と誰かに笑ってもらえるために……。

黒歴史である「逃げる男」の出版悲話から、プロライター/コラムニストになるまでの舞台裏をお話します(※こちら仕事ではないので編集は一切入りませんw誤字脱字等ご容赦ください)

辛苦をなめ尽くした!?(笑)神崎桃子の出版ヒストリー。

今回は第二章から(※前回の第一章はコチラ)

第二章:人には「文章にしなければ伝えられないこと」もある

彼は何も言わずに私の前から突然いなくなった。

消化不良の恋……。

私はその恋を上手に葬ることもできずオロオロしていた。

消したいのに消えない炎がブスブスと煙をたてる。
「なぜ突然私の前から消えたの?」このままだと相手の仕事場に乗り込んでいってしまいそうな自分がいた。

どうする?どうしたらいい?

携帯はいつでも呼び出し音が虚しく鳴るだけ。
もう一度、話をしたい。せめて話をしてから終わらせたい。
このままじゃ行き場のない“この想い”はあまりに可哀想ではないか。
死に場所が見つからない恋はあまりに気の毒ではないか。

どうやって彼に会う?やはり彼の会社に……?

いやいや、それはやっちゃアカンやつだろう。職場での彼の立場を考える。
何も告げずに私を突き放した彼を”思いやるゆとり”など本当はないくせに、仕事場に訪ねて行くのは「マナー違反」だと思い直した。

そこで、桃子は職場には乗り込まず、
張り込むことにした!!(※牛乳もアンパンもナシで)

彼が利用する駅で待ち続けるという荒行?を決行した。
その日の仕事が終わるとその駅に行き、目を凝らして彼の姿がないかを探す。駅構内は人混みで見失ってしまうと思い、階段の下の入り口でずっと張り込んでいた。
だいたい18時位から終電まで、休みの日はもっと長く見張っていた。

彼が何時に出勤するか何時に仕事を終えるのかそれすらわからないのに。

(※今思うと、彼の職場も名前も嘘かもしれないっつーのに)

そのときのアホな自分は無謀な行為であっても「待つ」という以外、彼に会えるチャンスはないと判断した。

だが、この張り込みは寒さの厳しい2月のこと。
靴下を重ねて履き、厚手のレギンスを履き、腰とお腹にカイロを貼りつけ、手袋をはめたけれども
アスファルトの足元からつたわる冷気や、ときには耳がちぎれそうになるくらい容赦ない風に襲われながら歯をガチガチ震わせて何時間もその場所に立っていた。日によっては雪が降ってくる夜さえもあった…。

「寒い……早くお風呂に浸かりたい。でも、もしここで辞めてしまったら?もしかしたら10分後に彼が現れるかもしれない」と思えてしまいその場を離れることが出来なかった。
駅前でじっと待つ姿はさながら渋谷の“忠犬ハチ公”か?
いや、忠犬というよりも“負け犬モモ公”である。

幾日も待ち続けた待ち伏せ女はとうとうダウンした。
友達からはもちろん止められる。
「そんなヤツのせいで自分の身体を壊したら元も子もない」
「いい加減に目を覚まし~!今の桃子、チョ―カッコ悪いよ」
「もうやめな!そんな男にエネルギー使うのもったいないよ。アンタやるだけのことやったじゃん」

布団の中に蹲りながら自分の情けなさに呆れて涙が溢れる。

せめてもう一度会いたかった。
会ってサヨナラしたかった。

しかし神サマは彼に会わせてはくれなかったのだ。
いや、神サマは「会う必要はない」「己の力で立ち直れ」と言っているのだろうか?

結局、彼が突然消えた理由はわからずじまい……何ひとつとして問題解決はしなかったが、彼とのことはもう無理やり封じ込めるしかない。
だから……飲み歩いた。
散々、飲んだ。とにかく飲んだ。いっぱいいっぱい飲んだ。

泥酔して寝てしまうことでヤツのことを考えないようにしたかったのだ。

そして……何ヶ月か経った。
すると彼に対して未練だとか好きとかいう感情が薄れと反比例して、どうしようもない悔しさや焦燥感が募っていったのだ。

“想い”は新たな“思い”に変わっていく。
違う感情が育っていく。

恋は死んでも違う種類の思いが生まれそれが今生きている。この感情のエネルギーをどこかに使えないかと考えた。

そうだ!この体験を、惨めに終わったこの恋を紙(正しくはPC)にぶつけてみるのはどうだろう。
桃子は宝の持ち腐れ状態の全く使っていなかったパソコンを引っ張り出した。
だが当時「パソコンを使って原稿を書く」というのはどっぷりアナログの女にはキツイ作業だったw(※それまでの職場は決められた入力くらいで、ほとんどPCを使う仕事は携わっていなかったのだ)

原稿に格闘するというよりパソコンに格闘。男に振り回されるならともかく、機械に振り回されることとなる。(※単に操作をしらなかっただけ)

「チクショー!こいつ何様のつもり?馬鹿にしやがって!」
「人様が作った機械のくせに、その人様に逆らうとは何事だ?」
「ギャ~~ッ!書いた文が勝手に消えやがった!コイツ喧嘩売ってる?」(※復元の方法をしらない)
となどと毎晩パソコンの前で奮闘。

そんな中、日に日に“書く”という過程の中で、私は自分の体験を綴りながらしっかり読者になっていた。

「だめだ!行くんじゃない!その男についていくんじゃない!」
「う~~ん、アンタは残念ながらセカンドだよ」
「ここで、もっと上手くやっとけばよかったのに」
「この男、サイテー。この時点で人としてダメじゃん」
「あんたの頭、お花畑すぎるわ~この言葉を信じるなんて」
などなど、書きながらツッコミを入れていた。

書いていると自分は観客にもなれたし、書くことで冷静になれた。
そのシーンを思い起こしながら文字を書いていると自然と男側の気持ちにもなれて、違う視点から物を見ることもできる。
自分で“しでかしたこと”を書いているのに共感あり、気づきあり、発見あり、反省あり、戒めあり、見下しあり、笑いありで、楽しんでいた。

なるほど、書くという行為はこんなに素晴らしいことなんだ!!

そこで思い出した。遠い昔のことを……。

小学生の時に桃子が可愛がっていた隣の家の犬が死んでしまった。名前はチョビ。(※超貧乏な自分の家は犬などとても飼えない状態)
チョビが死んだこと、生命がなくなることはまだ子供のワタシでも衝撃的な事件だった。その悲しみを国語の授業で「作文」に書いた。

「チョビへ……」という作文、チョビとの思い出やチョビへの気持ちを綴ったその作文を先生が皆に読んでくれた。クラスの友だちはそれを聞きながら頷き、最後に拍手してくれたのだ。

引っ込み思案で、素直に自分の気持ちを表現できずにいた子供の頃の桃子はチョビが死んだことも、泣いたことも友達には言えなかった。自分ちの犬じゃないのに「え?隣の家の犬なの?」とバカにされるかもしれないという懸念もあった。

しかし直接は口に出して言えないことを文にしたことで、形にしたことで人が耳や目を傾けてくれる。

作文ってすごいなぁ……と。

それは自分の苦い経験や思いを知ってもらう機会だったのだ。

人には「文字にしないと表せない気持ち」があったり「文にしなければなかなか伝えられないこと」もある。

「逃げる男」を書きながらそんなことを思い出した。

自分の中に潜んでいた本音、隠されていた心の声、滑稽すぎて打ち消そうとしていたことも書くことによって暴かれる。

書くことで己を知る、自分と向き合う、見つめ直すキッカケにもなるのだ。

こうして桃子の初めての作品、いや、もとい……作文「逃げる男」が出来上がったのである。
書きだしてから一ヶ月は経ていなかった。

この書き上げたこの原稿、さてどうなる?

<次号へ続く…>第三章:出版社へ乗り込む


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ヤッター!!また見てね(*´∀`*)桃子
30
2011年プロライターとしてデビュー。男女のズレや生態を言及し、自ら経験して得た恋愛の教訓を各メディアで公開。2014年に執筆したコラム「男ってこういう生き物なんです!」は100万PV以上を集める大ヒット記事に。https://www.kanzakimomoko.com