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入院生活23日目〜才の祭への応募小説を書いて見た〜必ずオチはある。


こんにちは!!☺️


今回は下記の才の祭という企画に参加してみました。
何度も考えて編集し、期日に間に合うかかなりハラハラしましたがなんとか提出できました。
全くの初心者ですがよろしくお願いします。🙇‍♀️‼️



ーーーーー


メインテーマ
『20歳の恋とクリスマス』
サブテーマ
『クリスマスプレゼントは人生の教訓』


9月、
突如として大学内に流れた速報に女子学生たちがざわめいてる。


10月から「特別客員教授」が来校し、週一回の講義が開講されるという内容だ。



学内掲示板を見る限り、
その客員教授とやらは、
誰もが一度は聞いたことのある大手出版社の編集部長。


顔写真などの掲載は無かったが、プロフィールから伺う限りは超がつくほどの優秀、エリート街道まっしぐらな経歴の持ち主。


というかそもそもなんで
そんな人がうちの大学(中の上くらい私立)に?
と思うくらいだ。


東京の大手出版社で、編者部長、その雑誌の裏面を見ればその方の名前が「編集者〇〇氏」と必ず書いてあるくらいの人みたいだ。


そんな、出版業界のプリンスが
(何度も言うがまだ誰も顔見てない)
講義をするとなれば


あわよくば
一歩でも、いや二歩でも三歩でも、
いや、この際1キロくらい離れていても良いからお近づきになりたい、


オゾン層くらい酸素なくても二酸化炭素で呼吸します的なテンションで、
学内女子達がメスライオンになったことは言うまでもなく、
オスライオンたちは、せっせと、学業に勤むという構図がなされたのである。



始まる前からそんな大人気な講義は
学内で1番大きな教室(400人くらい収容)をもってしても不可能と考えたのか受講は抽選となり、当選者のみ講義を受けられるとのこと。



今年の運をすべて使い果たす





そんなメスライオン達の意気込みは鼻からスイカが出るのではないかほどの鼻息の荒さと熱感で抽選への申し込みが殺到した。



すんげーな。



そんなメスライオンのプチお祭りを横目に抽選に申し込んでまで受けることないや、とほぼ興味がなく

そんなことよりも
ニヒリズム(虚無主義)をどピークに迎えていた20歳のわたしは雑誌編集の仕方などは良いから生きる意味を教えてくれ、くらいに思っていた。



ただ、
やはり友人からの誘いは予想的中で
無料だから申し込みだけはしようよ!と。


ケチなわたしは、
まあ、確かに無料なし、デメリットはないかなと思い申し込みをしたのであった。



当選者発表の9末が近づくにつれ、沢山の憶測が飛ぶ
見た目はどんな感じで
年齢はこれくらい
既婚者か否か、
大手出版社の編集長ともなれば
どれほどの年収なのかetc..


そして、わたしはまさかの当選をしたのだ。



来たる第1回目の講義日を迎えた記念すべき10月。銀杏の葉がちょうど咲きかける気持ち良い日だった。



教室に行き驚いた。
400人ほとんどが女子で埋め尽くされており
中学校の男女別の体育の保健授業ですか並みのソワソワ感で空気は満ちていた。




14時のチャイムと共に、
生唾を飲み込む女性陣、ガラリとドアが開く、
ついに超エリート編集部長が登壇した。





......。





これ以外に表現する方法が見当たらない。
約400人揃ってがこれだ。




キャーでも
ワァーでも
クゥーでも

ない。


ハッキリ言えば黄色い歓声では無かったことでもうお察しの通りだが、




普通だった。




キングオブノーマル
シンプルイズベスト
牛丼の並 



よくわからなくなりそうだが
とりあえず端的に言えば
普通のおじさん



だった。


というか、この人からしたら迷惑な話しで
メスライオン達が勝手に想像と妄想とイマジネーションを働かせ、ハードルをエベレストくらいまで上げてしまったと言うだけで普通に大学の教授として見たら、全く問題のない知的な感じの人であった。



エベレストのハードル高さだったが故に一気に北極くらいまで温度の下がる教室、
感嘆なのかため息なのか、落胆なのか


とりあえず、なーんだ、
のような雰囲気になり、一斉にメスライオン達が
興味を無くし携帯をいじり出す光景は今でも忘れない。


そんながっかりムードの中1人だけ
目を奪われ、時が止まってる人間がいた。





わたしだ




みんなからしたら期待外れだったのかもしれない。



おそらく年齢は48歳手前
少し白髪
細マッチョとも言えないほどの細さ
でも、180センチ以上の長身
身につけてるものは普通
なんなら大学の若手教授の方が良い時計つけてる
知的には見えるが編集長というオーラはない。




しかし、わたしにはとても魅力的だった。


普通なところがよかった。



そして講義を話し始めときの
人柄、肩書きを全く意識しない、
むしろ無頓着な振る舞い。


全てが、
わたしを取り巻く同世代の人間達とは異質だった。



そこからのわたしのメスライオンと言ったら
アフリカの大草原と肩を並べて走れる速さで駆け出していた。




毎回しっなり講義にでる、
前の席に座る、10分前行動
一捻りある印象に残りそうな質問を必ずする
目を見て授業受け、頷きながらメモ取る


ある程度存在を覚えてもらったタイミングで
質問したいことがあるが量が多いのでという理由で
メールアドレスゲット。




そこからメールでのやりとりが始まった。




相手は客員教授だ。
そもそも本職があり、職場がある。部下も沢山いるだろう。
返事は返ってこないものと思っていたら
まさか返ってくるではないか。


最初に会えたのは

ルノアールだった。


彼の指定した喫茶店。
20歳のわたしからするとルノアールってどこだよ。なにそこ?な、親しみないカフェ。


だけど、最高に楽しい。


一杯のコーヒーと、お上品なケーキ

いつもは女友達とスタバか、
タリーズしか行かない。


周りにいるお客さんも、
おじさまやおばさま


2回目に会えたのは
珈琲専門店伯爵 池袋店



ここも衝撃だった。
大人はこんなところを利用するのか。
コーヒーのためにこんな場所を知っているのか。




そのあとも、
渋い喫茶店に連れて行ってもらっては
彼の趣味や仕事の話し、
プライベートを聞くことが出来た。



なぜ、わたしとそんなにあってくれるのは
聞きたくても聞けない。
ただ、
職場以外の20歳で若い女子大生とコーヒーを飲みたいそれだけなのかもしれない。


結婚はしていないと。
趣味はトランペットで、カラオケ屋で練習をする
それ以外はコーヒー屋さん巡り
仕事はたまたま編集長になっただけで何も凄くない
と。


どんどん惹かれていった。
誘ってくれるのはいつもあちらから。
相手もわたしに興味があると確信する。



でも、特に進展はない。
コーヒー以外は
下北沢にある、
有名なカレーを食べに行ったくらい。


そんな矢先、
一通のメールが彼から来ていた。


内容は非常に短的。



「12月24日空いてる?」


何回確認したからわからない。
スパムメールではないかとアドレスまで確認した。
友達にも、アドレスが間違っていないかダブルチェックしてもらった。

当時流行っていた、チェーンメール的なものに返信してしまって架空請求なんてされたら溜まったもんじゃない。

彼だと確信できたのち、


空いてます。



と、答えると


OK、ブルーノート東京予約しておくからよろしく。




ブルーノート予約しておくからよろしく。
ブルーノート予約しておくからよろしく。
ブルーノート予約しておくからよろしく。



ブルーノートってなに
予約ってなに
青いノート?
私はノートは要らないですけど。



ブルーノート。




み、み、み、南青山にある
ジャズのクラブーーーーー!!!!!


まじか。
まじか。


24日って。クリスマスイブ。


オーマイゴット!!!

キリストさんありがとう。

アーメン!



何着ていこう、何を持っていこう、
というかジャズってなに
美味しいの?
聞いたことないよ、予習しないと。
トランペットどころか口笛も吹けないよ。


お正月でもないにのに 
もう〜いーくつねるとクリスマス〜と
鼻歌を歌い、
街、全てのクリスマスムードに感謝
街行く人々に紛れながら、指折りその日を迎えた。


ブルーノート東京は、ひっそりと
しかし、堂々と、
大人しか入れませんという雰囲気を全面に出し、
厳かの中にもポップで遊び心のある店内は
ミッキーランドよりも遥かにワンダーでエキセントリックで


20歳のわたしには、マチュピチュですか並の衝撃と感動と、東京タワー333メートルを遥かに超える高揚感がわたしを包み込んだ。



数々の食べたことのない美味しい料理、
聞いたことのないけれど心地よいジャズ



至福という言葉がベストマッチな
クリスマスイブ。


本当に素敵な夜。



そこで、彼は唐突に話しを切り出した。


神妙な顔つきで、少し言いづらそうに。


わたしは予想をした
というか予感しか出来ない。




わたしにも幸せって来るんだ!!



「君と過ごした数ヶ月、すごく楽しかった。
なんでも笑ってくれて、楽しそうにしてくれて、
美味しそうに食べていて。
客員教授とか関係なく知り合えてよかった。
自分のことをこんなに話したのも初めてで自己開示することの大切さを学んだよ。ありがとう。

そして、決めたんだ。

元嫁さんともう一度やり直してみよう。
って。
自分から自己開示して話をしていくことで元嫁との関係が修復できるんじゃないかって
気づかせてもらった。

ありがとう。
だから、今日は特別に良い席でこのブルーノートでお礼をしたかった。」




......。




失恋があるからこそ、人生って素晴らしくなるのよ。
- ただし五年後の話だけど。
 

- フィリス・バッテル -

(米国の女性ジャーナリスト / 1922~)



ありがとうわたしの20歳。
ありがとうわたしのクリスマスイブ。
ありがとうわたしのクリスマス。



5年後に期待いたします。



ありがとう、ブルーノート。
しばらくはノートは青色以外を使用いたします。




そんな20歳の甘く切ない
楽しいクリスマス。


今年もハッピーはクリスマスを。



ーーーーー


PJ様Twitter @PJukuleleguitar


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