栗林千奈美

北海道岩見沢市在住。フリーペーパー「これっと」編集長、氷室冴子青春文学賞事務局長です。…

栗林千奈美

北海道岩見沢市在住。フリーペーパー「これっと」編集長、氷室冴子青春文学賞事務局長です。地域の情報発信を中心に、人がつながる仕事と活動をしています。

マガジン

  • これっと

    • 19本

    北海道岩見沢市からの発信。地方の生活の幸せを一緒に考えます。

  • 氷室冴子青春文学賞

    北海道岩見沢市出身の作家、故氷室冴子さんを顕彰し次代の才能に継承すべく創設した「氷室冴子青春文学賞」に関する話題を掲載します。

最近の記事

【読書日記13】『溺レる』/川上弘美

単行本は1999年、文庫版は2002年刊行。女流文学賞・伊藤整文学賞受賞の短編集。恋愛というよりは、愛欲に「溺れる」男女のお話8編。不安定な関係で、それだけに溺れて行く男女8組が描かれている。 なんだか怖い本だった。目隠しされてびっくり箱に手を入れたらぬめっとした感触の何かに触っちゃう、みたいな怖さ。易しい言葉でカタカナ使い、短い会話で読みやすいのに、深く世界観に溺れてしまう。川上弘美さんはすごいな、と改めて思った1冊。 https://www.amazon.co.jp/%

    • 【読書日記12】『今日、誰のために生きる?』/ひすいこたろう✖️SHOGEN

      サブタイトルは「アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語」。SHOGEN(ショーゲン)さんというペンキアーティストが絵の修行中暮らしていたアフリカ・タンザニアの「ブンジュ」という村で体験したお話がベースとなっている。この村では村民がずっと幸せなんだそう。 https://www.nzu-risana.com/ 作家のひすいこたろうさんが温泉で初めて会ったショーゲンさんから聞いたという数々の体験談なのだが、これをきいたひすいさんが、あまりの素晴らしさに感動

      • 【読書日記11】『言語哲学がはじまる』/野矢茂樹

        「ミケは猫だ」。この一文を考えることから始まる哲学の本。哲学ってほんとに面白い。「ミケ」「猫」だけで何時間も、いや何年も、いや、なんなら永遠に議論できてしまいそうだ。 https://www.amazon.co.jp/-/en/%E9%87%8E%E7%9F%A2-%E8%8C%82%E6%A8%B9/dp/4004319919/ref=sr_1_1?adgrpid=152841729973&dib=eyJ2IjoiMSJ9.d5oplKF435leUUliiSDPy6zY

        • 【読書日記10】『SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ』/戸谷洋志

          SNSの使い方というマニュアルではなくて、現代生活に欠かせないSNSの観点から自分について考えていく本。興味深かった。 https://www.amazon.co.jp/SNS%E3%81%AE%E5%93%B2%E5%AD%A6-%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%A0-%E3%8

        【読書日記13】『溺レる』/川上弘美

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        記事

          【読書日記9】『なぜ日本人は怒りやすくなったのか』/安藤俊介

          アンガーマネジメントの本。わかりやすく、腑に落ちる部分も多かった。特に、怒りが生まれるメカニズムが、ライターの着火を例にして解説されていたのだけど、着火スイッチは自分の「〜べき」が裏切られた時入るのだそう。仕事はこうあるべき、妻はこうあるべき、子供は勉強すべきなどなど、自分の信念なのか価値観なのか、個人で大きくかわるものの、きっと多かれ少なかれ「べき」がある。それが例えば、「マスクすべき」と思っているのにノーマスクの人を見かけたら、もしくはその逆などのシチュエーションが起こっ

          【読書日記9】『なぜ日本人は怒りやすくなったのか』/安藤俊介

          【読書日記8】『転落』/カミュ(前山悠◉訳)

          比較的薄い本なので、早く読めるだろうと思ったら、ことのほか時間がかかってしまった。そりゃそうですね。カミュだし。学生の頃、他の方の翻訳で読んだが、その時も結構時間がかかった記憶がある。ちなみに、その時は『転落』の他に『追放と王国』という短編集が併録されていたが、今回の翻訳では、『転落』のみの収録だった。 順風満帆な弁護士である主人公クラマンスが、いかにして転落していったのか。バーで出会った男に自分の人生を語るというお話。 単純に「おもしろ〜い!」と言えるほど理解はできていな

          【読書日記8】『転落』/カミュ(前山悠◉訳)

          【読書日記7】『私が鳥のときは』/平戸萌

          第4回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作品。 物語は、主人公蒼子の中3の夏休み、母が職場の同僚で余命わずかの「バナミさん」を「さらってきた」ところから始まる。一緒に暮らし始めたバナミさんのずうずうしさに悩まされながらも、受験勉強をともに励むことになる蒼子。家庭や友達、進学の問題が深刻にのしかかってくる中3生たちにバナミさんの存在が関わってくる。 シチュエーションは特異だけど、ガラスのような青春時代は誰しも同じかもしれない。キラキラしていて壊れそうで、人や自分を傷つけることもあるけ

          【読書日記7】『私が鳥のときは』/平戸萌

          【読書日記6】『ゲッターズ飯田の金持ち風水』/ゲッターズ飯田

          すごく全うな事を言うなあと思う著名人が、たまたま占い師だった、その名はゲッターズ飯田さん。無償で7万人以上の人を占い続け、占い本はシリーズ累計1000万部を超えているという。霊感的な占いというよりも実測に基づいた占いには説得力が半端ない。いちいち、言うことが「ごもっともです!」という内容なので、自分の生活や人生を振り返るきっかけとして響くことが多い。日々、動画やX、FBなどで発信されているが、出し惜しみが全く感じられなく、お世話になってます!(ここでお礼) 「幸運は今日から

          【読書日記6】『ゲッターズ飯田の金持ち風水』/ゲッターズ飯田

          【読書日記4】『家康、江戸を建てる』門井慶喜

          平成28年に刊行、30年に文庫化、ドラマ化もされた本だけど、たぶん当時読んでもチンプンカンプンだったに違いない。 日本史の知識は中学卒業くらいしかない私が、大河ドラマを見始めたのは数年前の「麒麟がくる」から。新しい明智光秀と織田信長像に度肝を抜かれ、それからというもの、俄然、日本史に興味が湧き、昨年の「どうする家康」ではこれまた斬新な徳川家康の姿に胸が躍った。今年の大河ドラマの吉高式部に魅了されながらも、現在家康ロス中。 直木賞作家である門井氏によるこの本では、秀吉から東へ

          【読書日記4】『家康、江戸を建てる』門井慶喜

          【読書日記3】『ハコの牧場』/北村恵理

          北海道岩見沢市に北村というところがある。石狩平野の大自然に囲まれた、農家さんが多い地域。数年前、ひょんなことから、明治時代にこの北村を開拓した兄弟について調べ、冊子にしたことがある。 その冊子について講演をお願いしていただけることがあり、講演を聞きに来てくれた地元の小4の児童が、北村をさらによく知ることができる本ということで貸してくれたのが『ハコの牧場』。 主人公は北村の牧場の子、春子。通称ハコ。家族や友達や近隣の人や動物たちと繰り広げられる日常が四季折々に表現されている

          【読書日記3】『ハコの牧場』/北村恵理

          【読書日記2】『最新決定版!誰でもできるスポーツメンタルトレーニング』/笠原彰

          箱根駅伝にわいたお正月。青学の選手の皆さんが大会後のインタビューで、プレッシャーは感じたが楽しかった!と笑顔だったのが印象的だった。原監督のお声がけもいい意味で脱力できたり、気合いが入ったりで相変わらずスイッチが絶妙。日頃の練習の成果を遺憾無く発揮できる姿には賞賛しかない。 スポーツにおいて、メンタルが大事だということはよく言われるけど、アマチュアスポーツにおいては、技術的な指導が中心で、メンタルトレーニングはあまりなされていないのではないだろうか。メンタルが強い、弱いの判

          【読書日記2】『最新決定版!誰でもできるスポーツメンタルトレーニング』/笠原彰

          【読書日記1】『貧乏ピッツァ』/ヤマザキマリ

          昨年は、いや昨年もせわしなく過ぎてしまって、本好き、などと自称しているわりに読書しなかった。これではいかんね〜と、一念発起、今年は100冊読もうと年頭に誓ってみた。 というわけで今年の1冊目。『テルマエ・ロマエ』でおなじみのヤマザキマリさんの食に関するエッセイ。1年の始まりにふさわしい示唆に富んだ1冊であった。17歳で留学されたというイタリアを始め、世界あちこちにいかれている著者が、食の体験を入口に文化や歴史や家族の在り方などについて言及していく。例えば、タイトルにもなって

          【読書日記1】『貧乏ピッツァ』/ヤマザキマリ

          第5回氷室冴子青春文学賞 御礼

          昨年中は皆様からのご支援、ご協力を賜り誠にありがとうございました。さる11月26日、第5回氷室冴子青春文学賞の授賞式が無事に執り行われ、大賞の宇井彩野さん、準大賞の桃実さん(授賞式は体調不良にてご欠席されましたが素敵なメッセージをいただきました)のお祝いをすることができました。ご観覧いただきました皆様、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。 作家の氷室冴子さんがのこした功績を顕彰し、その才能を次代へ受け継ぐべく創設した文学賞。まずは氷室さん出身の北海道岩見沢市の有志を中心に

          第5回氷室冴子青春文学賞 御礼

          こだわりの学校給食でまちを元気に!〜インタビュー:岩見沢市教育委員会学校給食課 田公寿幸さんと橋本拓さん

          小中学校時代の思い出は、給食なしでは語れない。そうお思いの方は少なくないはず。朝からどんなに授業がつらくても、お昼にはあの大好きな給食メニューが待っている! と思ったら何とか持ち堪えらたことでしょう。それが大好きなメニューの日だったらなおさらのこと。そんな小中学校時代を過ごしたのではないでしょうか。私が子どもの頃は、パンが多かった給食がいきなり毎日のようにお米が続くようになり、牛乳の形も変わったり、大好きだったミルメークがなくなったりと、目まぐるしく変化したものでした。今の子

          こだわりの学校給食でまちを元気に!〜インタビュー:岩見沢市教育委員会学校給食課 田公寿幸さんと橋本拓さん

          ビーチサンダルとサッカーと私〜Be-山(ビーサン) 片山誠司さん

          いわみざわ元気計画ゲスト 4年に一度、サッカーの猛者が世界中から集まるW杯が開幕。寝不足の日々が続いているのではないでしょうか? 岩見沢市のコミュニティラジオ番組「いわみざわ元気計画」今回のゲストは、バー Be-山を経営す片山誠司さん。サッカー好きが集まりパブリックビューイングも行っているとのことで、サッカーの話題を中心に伺いました。 Be-山って? 片山さんが経営するバーの名前は「Be-山」・・・。なんて読むかって? それは「ビーサン」。どうしてかって? それは、片山

          ビーチサンダルとサッカーと私〜Be-山(ビーサン) 片山誠司さん

          第4回氷室冴子青春文学賞スタート

          2018年にはじまった氷室賞も今回で4回目。昨年の第3回目では残念ながら受賞該当なしという結果でしたが、たくさんのご応募をいただきスタッフ一同大変感謝しております。4回目も、みなさまからのご応募をお待ちしています。応募について詳しくは、エブリスタ特設サイトからご覧ください。 かれこれ6年くらい前に、法政大学院の増淵教授から「地元なんだから氷室冴子を次につなげるために文学賞やってみたら?」とご提案いただき始まった氷室冴子文学賞。当時は、「活字離れの中なんで今更文学賞?」「夏目

          第4回氷室冴子青春文学賞スタート