見出し画像

【読書日記11】『言語哲学がはじまる』/野矢茂樹

「ミケは猫だ」。この一文を考えることから始まる哲学の本。哲学ってほんとに面白い。「ミケ」「猫」だけで何時間も、いや何年も、いや、なんなら永遠に議論できてしまいそうだ。

https://www.amazon.co.jp/-/en/%E9%87%8E%E7%9F%A2-%E8%8C%82%E6%A8%B9/dp/4004319919/ref=sr_1_1?adgrpid=152841729973&dib=eyJ2IjoiMSJ9.d5oplKF435leUUliiSDPy6zY9D3Vh6bzZa5FutOPnBnc7gJ34SQfJblAD86X3Z2M6Z0Xm2u9xOAc9OowGSPQOVZOiE1H-sRzMxvjmxd_oCTP_v3UxyKeha6-wgmVO0CvqOCsXA_riEsNxV5YzdA54Tm6SHuSvC4WRTwGmjJWBjmTiHENPMpaQ9IiAbjoflQgP8NZ4tjkKJtyO6cXydU8gm0PiXVhuj38AuBLhqwbhw9nWfZ4EzbBh_DqMQnfdOZebWuDJbsPmsbPbBBpkzSbUGlqm-Upxp2tYlTrYoSjlNI.eTRqIJ17cn_rYo3fIz2zdboa33XOFY03Py1xLr9NoRc&dib_tag=se&hvadid=679054829753&hvdev=c&hvlocphy=1009045&hvnetw=g&hvqmt=e&hvrand=12304014377330155351&hvtargid=kwd-2203441882266&hydadcr=16039_13711628&jp-ad-ap=0&keywords=%E8%A8%80%E8%AA%9E%E5%93%B2%E5%AD%A6%E3%81%8C%E3%81%AF%E3%81%98%E3%81%BE%E3%82%8B&qid=1708911517&sr=8-1

「ミケは猫だ」、という文章を読んだ時、私の頭の中に浮かんだのは・・・1.三毛猫のミケちゃんが縁側で寝ている
2.そこに現れる猫を見たことがない3歳の男の子「わんわんかわいいね!」
3.優しく見守るおじいちゃんが「いや、ミケは猫なんだよ。わんわんじゃなく、にゃ〜っていうんだ」
さらに浮かんだのは
「吾輩は猫である。名前はまだない。あそこにいるのも猫である。名前はミケだ。」という半分創作であった。他にも「ミケは猫だ」を日常で使う場面などが目まぐるしく浮かんでくるくる。
そんな暴走を、言語哲学が、ちょっと待って、と止めてくれた。本書に沿って、言葉一つの意味するところや文脈からの理解、固有名や述語についてなど一つ一つほぐして考えていくと、今まで何も考えずに、「フツー」に使っている言葉や文章について、「あれ、ほんとに私、理解して話したり書いたりしている?」となる。

フレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタインと、言語哲学の分野は、興味があってもなかなかとっつきにくさを感じていたが、ほんの少しだけその入り口に立てたような気がした。野矢先生の易しい話し言葉のような文章が時折出てきて、ほっとさせられる。

「言葉はただ生の流れの中でのみ意味を持つ」というウィトゲンシュタインの言葉が紹介されていたが、これが、私の腑に落ちている言葉の理解と芯は同じなのだろうか、と不安と期待が交錯するのだけど、わからないこともわかったという意味ではきっと1歩前身したに違いない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?