【読書日記9】『なぜ日本人は怒りやすくなったのか』/安藤俊介
アンガーマネジメントの本。わかりやすく、腑に落ちる部分も多かった。特に、怒りが生まれるメカニズムが、ライターの着火を例にして解説されていたのだけど、着火スイッチは自分の「〜べき」が裏切られた時入るのだそう。仕事はこうあるべき、妻はこうあるべき、子供は勉強すべきなどなど、自分の信念なのか価値観なのか、個人で大きくかわるものの、きっと多かれ少なかれ「べき」がある。それが例えば、「マスクすべき」と思っているのにノーマスクの人を見かけたら、もしくはその逆などのシチュエーションが起こった場合、カチッと着火。そしてその火を大きく燃え上がらせるのは、孤独や悲しみ、疲れや不安などのマイナス感情だという。確かに、いつもは許せる子どもの言動も、自分の心と体の疲れ具合で許せなくなって感情的に怒ってしまうこともある。
以前、コロナワクチンを接種した、と私が言ったことで友人が怒ったことがあるが、これも、彼女の「コロナワクチンはうたないべき」という信条が裏切られ、仕事のストレスもあると言っていたので、今思えば、そういうことなのかもと冷静に考えることができる。しかしその時は、なんだかうまく対応できなくて悔やまれている。
本の中には怒りのメカニズムや、怒りやすい人の特徴、回避のしかた、自分の怒りを見つめる方法などなど、具体的に書かれていた。知っていれば避けられる無駄なトラブルも多いはず。ためになった。
と、同時に、著者の安藤さんは、怒ること全部を否定しているわけではなくて、しっかり怒る時は怒ろうとも言っている。怒りはパワーになることもあるし、怒るくらい感情が動く自分を見つめ直すいいきっかけにもなりそう。最近の脱税ニュースを見るたびに怒りたい気持ちはやまやまだし、日本人は政治にもっと怒ったほうがいいと言われているのを時折聞くが、もはや、どこのどなたにどうやってこの怒りをぶつければいいのかわからなくなっている。おそろしいけど、これも教育なのだろうか。うむむ。安藤さんにきいてみたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?