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最近読んだ本たち(気ばかり走った12月分)

年が明けた。時が過ぎるのは早すぎるといつもぼやいている私は、年末が近づいた頃からへんに開き直ってしまっていた。「まあ、もうすぐ2024年になっちゃうよ。しゃーない」。そう思っていたので、年越しは落ち着いて迎えられた。よかった。

ただ、12月は忙しくて気が急いてしまい、あまり本が読めなかった。

今月の2冊。

『悲しみの秘儀』 若松英輔

悲しみにフォーカスしたエッセイ集。11月に義父を亡くして、ぼんやりとした悲しさがずっと続いていたから手に取ったのかもしれない。

数々の名作から心に響く箇所が引用されていて、ついそちらも読みたくなる。「9 師について」にある神父さまの言葉には胸を打たれて涙ぐんだ。

悲しみのさなかにある人だけでなく、自分の感情を俯瞰したい人におすすめの一冊だと思う。

『娼婦の本棚』 鈴木涼美

読書エッセイがとても好きだ。人さまの書評を読んでいると、どうしてもその作品を買いに走りたくなる。昨年読んだ『本を読んだら散歩に行こう』(村井理子)で知った『出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記』(宮崎伸治)も、とても面白かった。

この本は、これから思春期を生き抜いていこうとする「若い女の子たち」に向けたもので、私のような年齢層の者はターゲットではないようだ。でも、少女期の感受性や、その時期特有の生きづらさをよく映していて、筆者と同世代の人間としてものすごく興味深く感じた。

紹介されている作品に対する考察がどれも個性的で、思わずうなる。『大胯びらき』(ジャン・コクトー)を私は同じようには読まなかった。これだからやはり読書エッセイはやめられない。「この人はこう読んだのか!」と驚かされるのは、快感といってもいい。そして、そういう多面的な作品を生み出すクリエイターには尊敬の念しか湧かない。

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12月はとにかく忙しくて、気ばかりあたふたしていて、泣きそうになることもあった。でも、自分の時間を確保するすべは少しずつ身についてきたかなあ、と思っている。

年もかわって2024年。1月はなにを読もうかな。

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