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[まとめ記事] なぜプログラミング教育をしなければいけないのから、その環境と課題まで

皆様こんにちは。研究員のKです。今回はプログラミング教育について調べてみてわかったことのまとめしようと思います。

1.なぜプログラミング教育するのか

この記事に書きましたが、プログラミング教育はプログラミングできるようにするものでも、プログラマーを増やすためのものでもないというのが今の私の見解です。文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」のp.5にも下記の赤で囲ったところに、プログラミングの技能を習得することを目的とはしないことが明言されています。

リコーダーがリコーダー奏者を増やすための教育ではなく体験から音楽について広く学ぶことが目的であるように、プログラミング教育も広くITに関する下記のようなことを広く学ぶことが目的であると考えます。

・コンピューターの仕組みを実体験する
・タイピング、画像編集、PC、インターネットの使い方など基礎的なIT能力を養う
・プログラミングを通してITを仕事にしている人たちについて知る
・コンピューターを使った表現の創作を通じて創造性を養う

そのうえで、実際にプログラミングの道に進む人が少しでも増えて、その際の学習が少しでも楽になれば万々歳でしょう。

2.プログラミング教育を行う環境が整ってないのではないか

これまでもいろいろな記事で紹介してきましたが、ScratchScratchJrは非常に優れた教育環境です。革新的な点は下記です。

・タイピングができなくてもプログラミングできる
・グラフィックを持ったプログラムが簡単に作れて直感的である
・日本語でできる
・シェアすることで世界とつながれる

もちろん、指導要領との対応付けなどの問題はありつつ、既に独学で学ぶ環境はできつつあります。文部科学省や学校の対応も2020年までには進んでいくでしょう。

3.そうは言っても、まだまだ自分の子供には遠い話じゃないの?

先に述べたようにScratchおよびScratchJrの環境は非常に優秀です。Scratchによってプログラムが簡単に(キーボードレス、日本語環境で)できるようになり、小学生や幼稚園児でもプログラミングができるようになったので、プログラミング教育が始まった、と考えても差し支えありません。

実際、様々な工夫は必要ではありますが、私の3歳の息子はScratchJrを楽しく使いこなすようになりました。それだけではなく、子供の成長や創意工夫を見ることができ、家族の絆が深まったと思います。

4.では今起こっている課題は何なの?

1.教育者が反対にあい疲れてしまう
プログラミング教育と聞くと2か月前の私のように、「プログラミングの本質を教えることなんてできないだろう」「自分たちとは関係ない英才教育だ」と思う人は多いのではないでしょうか。そんな人たちの何気ない言葉や反対、それを説得しなければいけないこと自体が教育者を疲れさせているかもしれません。反対したり揶揄する前にScratchをやってみてほしいと思います。

2.プログラミング教育で悩んでしまう保護者の発生
逆にプログラミング教育させられない自分のふがいなさを心配になってしまうお父さんお母さんも出てくるかもしれません。そして、そこに付け込まれて高価なプログラミング玩具を買ってしまったり、高価な塾に通わせてしまったりするかもしれません。実際にはプログラミング教育は安く始められますし、お父さんお母さんでも教えられます。もっと言えば、やらなくても将来の職業選択が狭まったりすることもないと思います。本当にプログラミング言語を学ぶための学習は大学生になってからでも間に合います。いずれにせよ正しい情報を得て判断してもらいたいなと思います。

5.まだわからないこと

プログラミング教育の効果はまだまだこれからです。プログラマーが増えるのか増えないのか、知育効果や感受性を伸ばす効果があるのかなどです。プログラミング自体の習得を目的にしないと言ってもその効果は確実にあると思います。それがどの程度なのかは興味深いです。

またプログラミング能力の世代間再生産により格差が広がるのかどうかも興味深いです。個々人の範囲ではやる気のほうが幼少期に教育を受けているかどうかより重要ですが、統計的に見てどうなのかは興味があるところです。
実はこのブログを始めたことをSNSで紹介したところうちもScratchをやらせたことがあるという技術者の知り合いが何人かいました。技術者のお父さんお母さんがいる家庭のほうがプログラミング教育をさせやすいとは思いますが、それによって格差が広がっていくのかそうでもないのか気になるところです。

6.でも確信していること

まだまだ分からないことは多いですが、自分の子供を教えてみて、またこの記事のように妻がScratchJrをやるようになってみて、プログラミング教育は子供だけではなく家族を含め、世界を変えるぐらい力があると考えるようになりました。

さらに、小学生、中学生がプログラミングを勉強するようになることで、他の教科で習った内容を能動的に使用する機会となり全体的に学力にいい影響を及ぼすでしょう。このあたりのことはまた別の機会に詳しく説明したいと思います。

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