夕飯前、宿屋にて。
「おかみさーん。いるー?」
宿の店主に用があったから、一階の食事処まで顔を出したのが厄介事のはじまりだった。
オレの見た目はまんま十四の男。背は特別高くない。剣は振るってるけど、筋肉モリモリというわけでもない。加えて室内なので得物も持ってない。
そんな無い無い尽くしのオレは、珍しく幼馴染二人から離れて単独行動していた。手分けして作業した方が早かったのだ。いや、経緯はこの際どうでもいい。
「どうしたんだ? ボウヤ」
その声が返ってきた方を見て、目があった瞬間、何となく直感した。