将来の話

「お前ら結婚すんの?」
幼馴染の唐突な言葉に、ルークとリオノーラは顔を見合わせた。コーンの唐突な発言についてお互い知らないと見ると、また二人で彼に向き直る。
「…発言を略しすぎじゃない?」
「俺とリオノーラで結婚はしないな」
「あ、そういう意味じゃない。二人のどっちかでも、将来の結婚とか考えてんのかなーって」
つまり、誰かと添い遂げる将来を少しでも考えているのか、というのが正確な質問のようだ。
「そうね…何にも考えてなかったわ。いつかはした方が良いのは分かってるけど、あんまり気は進まないわね」
「俺達よりお前の方が早いだろ。村長の息子だし」
三人は幼馴染であり、互いの家の事情も全て把握している仲だ。そうでなくとも村の中は狭いので、ある程度の事情は筒抜けになるが、自らの口から話すというのが信頼の表れでもあった。
コーンは村長の息子、リオノーラは木こりの孫娘、ルークは村と町を行き来する商売人の息子だ。
「そもそも急にどうしたの? 私達、まだ十四じゃない」
「んー。さっきの宿で夫婦がいてさあ。何となくぼーっと眺めてたら宿屋にそういう話題ふっかけられた」
「なるほど」
「俺は早くしたいな、結婚。こうしてバカやってるのも楽しいけど、静かに暮らすだけなのはやっぱ楽だし」
「オレも結婚が嫌な訳じゃないけどさー……」
「けど?」
地面に手をついて、コーンが空を仰ぐ。その続きをリオノーラが促せば、気まずそうに頬を掻いてぼそぼそと続きを口にした。
「家庭があることで、こうやってお前らとつるめなくなるのは、ちょっと違うなって。それは嫌だなって思ったんだよ」
「「!」」
その言葉に二人はまた顔を見合わせた。それから破顔一笑。たまらないと言った風に笑い声が響く。
「そんなに笑うとこかー?」
「いや、コーンがあまりにも可愛いこと言うから……」
「心配すんなよコーン。収まる先は全員、同じ村だ。嫌でもこの先も一生つるむよ」

(いいわけ)810字。地の文少なめ。未来の話にもう少し書いてみたい。

お菓子一つ分くれたら嬉しいです。