マガジンのカバー画像

【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

712
心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

短歌 如月 十首


モーションはスローでエモーションはリピートで若さは早送り


勾配のきつい坂道下るひと「ああ人生ってこういう感じ」

3
残高の0が減るたび天国が近づいてくる(そういう仕組み)

4
きみの傷、憂鬱、死にたくなる気持ち わたしのせいで滅んでほしい

5
設定を間違えたのかきみからの着信にだけ猫が頷く

6
秘密基地を破壊した日の衝動にとても似ている今日の告白

7
今までで一番軽い父を抱き仰

もっとみる
短歌 ねこ 十首

短歌 ねこ 十首


フライパンのうえで色づく目玉焼きはいつも私をじっと見ている


合い挽きを合成獣と認識しハンバーガーを口にする夜


問)黒い帯が目元に描かれた履歴書を受け取る人の気持ちは?


渦巻きを眺めていると右側に首が傾いていくのはなぜだ


猫背だと指摘されても今日だけは許されるはずの2月22日


猫の日にいぬのきもちを買いに行く我は孤独なフロンティアにいる


もし生まれかわっても魚

もっとみる
短歌 ゆれる 十首

短歌 ゆれる 十首

1
ゆれるゆれるゆれるゆれるゆれる(存在をさせていただいております)

2
おくすりをもらいにゆく日許可されてもう一ヶ月生き延びてみる

3
八月は今も苦手だ終わるとき左手首が疼いてしまう

4
あなたこそ雨 と走り書きされたきみの日記の最後のページ

5
ポケットにいつかのレシートが出てきて今日まで生きてきたんだなって

6
糸糸糸 きみがあやとりする糸はわたしの神経 楽しかろうね

7
「異国

もっとみる
短歌 「は」 十首

短歌 「は」 十首

1
白シャツでカレーうどんを食べるひとだから私は惹かれたのです

2
真夜中にきみの寝言で目覚めても首を絞めたりはしないからね

3
おやすみは優しい響き また明日目を覚ましてもいいなと思う

4
あなたにはわかるはずない痛みまで電子カルテの海に沈んで

5
ぼんやりと過ごしていたら五歳児に生き急ぐよう叱られるとは

6
髪の毛を揺らすそよ風私には私にだけは巡らない春

7
白シャツを着られない日

もっとみる
短歌 癖 十首

短歌 癖 十首

1
風を呼ぶさかさまつげにマスカラを塗ったとたんにほころんだ春

2
苦しいと瞬きをする癖があり診断したがる人種がいる

3
大丈夫大丈夫って口癖は大丈夫じゃないときに出てくる

4
雨上がり間違いなんてなかったとスタッカートを舗道に刻む

5
コーヒーが冷めきっている 傷は芽をこういうときにずるっと伸ばす

6
満たされたとたんに欠けてゆく月が昔から教えてくれていたこと

7
爪を噛む癖があるの

もっとみる