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文章完成法SCT、解釈中のささくれ|ココカリ心理学コラム

文章完成法(以下SCT Sentence Complete Test)は、主に性格特性の把握を目的とした心理検査です。検査内容などは以下のサイトがとてもわかりやすいので、詳しくはこちらをぜひご参照ください。

私が病院勤務していた際に、割と多く実施した心理検査のひとつです。記入された情報を読み解いていくのはかなり大変で、それは半構造化された検査とはいえ投影法なため、つまり抽象度の高い情報を具体化していく作業だからです。科学的な手法と想像力を駆使して言葉に落としていきます。結構な時間と労力を要します。これら一連を大学院の授業で教えてもらっていてよかった、と思えた検査でした。

セラピストも大変ですが、当然クライエントにも負荷が掛かる検査です。でも、掛けて頂くだけの価値はあります。みえてくるものがありますし、使えます。クライエントにとっては自己理解や困難解決の糸口になりますし、セラピストにとっては支援策の選定に役立ちます。双方にとってメリットがあるでしょう。

クライエントのメリット度合いは、所見(検査報告書)によって決まります。また、その所見をどのようにクライエントへフィードバックするかも大事です。

所見作成

所見作成で気を付けるポイントは、検査結果からいえることを、どう困り事の改善や生活の工夫に落とし込むかです。つまり、「こういう性格なところありますね」だけでは、ほぼ意味がなく、「…あるので、生活場面ではこういうやり方するといいかもしれませんね、どう思われますか?」「であれば、こんな改善の仕方があるかもしれませんね、どうでしょう?」と、繋げていくのです。

心理検査は、無意識の表出、未知なる自分の発見などの、好奇心を満たすだけのツールで終わらせては勿体無いのです。

フィードバック

大学院で教えてくれるのは理論や解釈の仕方までです。解釈をもとにクライエントの最大福利に還元するすべは、実際に打席に立って、トライ&エラーを繰り返すことで鍛えていくしかありません。生もの水ものはやっていくことでしか上達の道はありません。邁進しましょう。

フィードバックをおろそかにする検査実施者をみると残念に想います。心理検査は単なる病院の売り上げツールじゃないし、こんな性格傾向があるねの一言で済ましていい代物ではない。反面教師として少なくとも私はそうならないように気をつけてやっていこうと心に誓ったのでした。

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