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「ともにあるⅡ 湯布院・緩和ケアの集い」神田橋條治著|ココカリ心理学コラム

臨床に向かう朝の通勤電車で読んでいます。「必ず」と言っていいほど、章の途中で降車駅に到着し、歯切れの悪い想いで本を閉じています。ふと「心理カウンセリングとはそういうものなのかもな」という考えが浮かんできました。『すっきり終わる心理カウンセリングなんて、ロクなものじゃないぞ』と言われているような。神田橋先生からのスーパーヴィジョンです。臨床家でなくとも、人のこころや終末期に関心がある方には、おすすめのシリーズです。

「ともにあるⅡ 湯布院・緩和ケアの集い」神田橋條治著

自分が素人としてやれる分はしてあげて、あとは別の専門家につなぐのがプロの仕事。
ズレを扱うのは心理療法の重要なテーマ
限りなく多弁な沈黙
「がまん」の持続は疲れます
ひとつの面接は、ひとつの箱庭である。その中にその人の歴史や匂い、雰囲気などが封じ込められて構成される。
周囲に嘘をつくことでは不健康にはならないの。自分に嘘をつくことは不健康になる。だから、スパイで神経症にはならんの。スパイには自分がスパイであるというアイデンティティがあるからね。
自分の悩みにそれを意識して取り組んでいる人は、連続性への志向を内在しています。つまり、連続性を得る方向への動きは、心の自然な志向です。不連続は、緊急時用のコーピングがそのまま続いているだけなのです。
ベクトルに対して「それでいいの?」と問いますが、「これでいいのだ」との答えが返ってきたら、こちらの反応は「それでいいのだ」となります。最後に本人が選択した方針は、必ず尊重さるべきです。選択こそが、その人です。
自分の言葉の用法を細やかにしていくだけで、聞き取りは必ず敏感になります。


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