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『「繊細さん」の本』はHSPというより発達障害全般や刺激敏感型の特性症状対処本として有能だった|ココカリ心理学コラム

結論、とてもよい本でした。発達障害の特性をお持ちの方や、生きづらさを感じている方が、日常のストレスを低減させるヒントや助言が、具体的に数多く提示されています。

最初はHSPの本だと思っていました。著者の武田友紀さんの肩書きが「HSP専門カウンセラー」なので、そう思うのは当然ですよね。実際、著書の前半部分はそうでした。

白状すると、私はHSP反対派です。

いや、HSPの存在は肯定しているんです。実際に先天的な特性をお持ちの方はいらっしゃいます。何を危惧しているかというと、HSPは診断基準や判別基準が明確に定義されぬままに世に出てきたので、実際には後天的に、例えばトラウマ体験や認知の偏りから生まれた症状に対して、自己判断で「自分はHSPだ」と盲目的に信じ込む人が出現し、根本がHSPでなければ対処法も変わるわけで、事態が更に悪化しないか思案しているのです。

が、本の印象は後半部分で一変しました。特性の対処法を、感覚器視点や機能視点、症状視点など、投網漁のごとく多角的に数多く挙げてくれています。これはHSPか否か関係なく、特性や症状にお困りの全員が、ヒントや助言として受け取れる情報です。対処法は相性があるので、色々試してみたらいいいでしょう。

例えば、視覚からの刺激に弱い人は、●メガネやコンタクトの度を落として、あえてぼやかす●サングラスをかける●伊達メガネをかける●縁の太いメガネをつけて「ここだけ見てればいい」とみる範囲を決める、などの工夫があります。

人の怒りやイライラに敏感な人は、例えば向こうで誰かが怒られている場面を見て、自分のこころが侵食されそうになったら、●2人のやりとりはテレビの画面の向こうのだとイメージしてみる●自分と相手方の間に分厚い透明なアクリル板を下ろしてみるて、自分は安全で相手のエネルギーは直接ここまで辿り着かないイメージをしてみる、のはどうでしょう。

自分は刺激に対して繊細かも、繊細さで疲弊しやすいかも、人の目を気にしすぎてしまう、細かいところまで気が回ってしまい仕事が遅くなる、などの認識がある方は、ぜひお手に取ってみてください。さらに心理士と一緒に二人三脚で行えば、原因分析から打ち手への精度が上がり、より高い効果を期待できると思います。

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