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注意機能の4分類と悲観しないコツ|ココカリ心理学コラム

認知機能とひとことに言っても幅が広いわけです。厚労省によれば認知機能とは、「理解・判断・論理などの知的機能のこと。認知とは理解・判断・論理などの知的機能を指し、精神医学的には知能に類似した意味であり、心理学では知覚を中心とした概念を指す。知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解といったさまざまを包括して認知と呼ぶ」とあります。ね、広いでしょ。

私は日々、高齢者の認知機能の健康度を確認する心理検査を行っています。検査を実施しながらまずは次の3項目に注目しています。1つめは見当織で、日付・時間・場所など「今現在」を把握する力です。2つめは記憶機能で、短期記憶・近似記憶を中心にみています。3つめが注意機能です。この注意機能が立体的で交差的で複雑なので、いまだに自分の中でスッキリ構造化できていません。

公認心理師のテキストを読んでいて、「基本は4分類で考えればいいのかな」と思えてきました。

【持続的注意】注意力や集中力を持続させて、ひとつのことを続ける
【選択的注意】多く情報の中から、今必要な情報だけを選ぶ
【分配性注意】複数に同時に注意を向けながら行動する
【転換性注意】ひとつのことに注意を向けているときに、他の別のことに気づいて注意を切り替える

臨床場面では、前頭葉機能とか遂行機能などが絡んでくるので、必ずしも4つに綺麗に切り分けられないんですが、まずはこの分類なのでしょう。

私自身、今回の試験勉強で「持続的注意の低下」を如実に感じました。大学院受験の5年前と比べても落ちたと思います。漫画喫茶では今でも3時間くらいは休憩なしで読み耽ることはできますが、好きで好きで仕方のないもの以外での持続性注意は、結構きついなと。

選択性、分配性、転換性は、車の運転時に必要な注意力です。持続性が低下しているということは、恐らくこちらの力も低下しているでしょう。勤務で高齢者デイケア利用者さんの送迎をしているので、安全運転を心がけます。

昔と同じだと思わないことです。昔できたことができなくなるのは悲しくもありますが、今もできることや今やっとできるようになったこともあるわけです。喪失ばかりに囚われず、維持や獲得にも目を向けましょう。今やれるやり方で、なんとかやりくりしていけば、それでいいのです。