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「ごはん食べれてますか?眠れていますか?」 臨床心理士への随録 心理学

精神疲労のバロメーターのひとつとして、食欲と睡眠が挙げられます。実感値ある方も多いのではないでしょうか。うつのセルフチェックシートであるCES-D(うつ病自己評価尺度)にも、食事と睡眠についての質問項目は入っています。

先日、産業領域で活躍されている教授の心理面接デモンストレーションを拝見したのですが、こと睡眠に関しては、入念に尋ねていました。

・いつもは何時頃ベッドに入るのか?
・ベッドに入ったらどれくらいで眠りにつけるか?
・朝目覚めるのは何時頃か?
・すぐにベッドから起き上がれるか?
・夜中に目覚めることはあるか?何時?何回?その後すぐ寝れるか?
・お酒飲んでから寝たりするか?

「何時間くらい寝ていますか?」だけでは不十分なことを学びました。睡眠障害には全般不眠だけではなく、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒など種類があります。眠りは質も大切なのです。

食事に関しては、別の日に、摂食障害の病院入院棟に勤める臨床心理士の講演を拝聴したので、ダイエットについて。まず、摂食障害とは、食行動とボディイメージに対する認知の歪みに関する障害で、神経性やせ症と神経性過食症に大別されます。10:1の比率で女性に多く、罹患時期は思春期に多いのが特長です。必ずしもダイエットが高じて摂食障害に発展するわけではないのですが、視聴したインタビュー映像に登場する当事者は「ダイエットがきっかけだった」と答えていました。

「痩せている=美しい」という単義的な価値観を捨てるところから始めたいものです。今は健康的でその人らしい美が賞賛される世の中に移行しています。また、ダイエットは止め時がわからならくなると友人が言っていたのを思い出しました。摂食障害に発展する場合は、「痩せれる自分は有能」という心理が強くなり、本来の目的からズレていくことが多いそうです。BMIが下がりすぎることで起こる思考力低下や判断力鈍化も一因なのでしょう。ダイエット自体は悪いことではありませんが、適度な運動、バランスよい食事、目標体重や期間を定めて、健康的に取り組みましょう。

話を元に戻して、もしみなさんの周りに、疲れている感じの人がいたら「ごはん食べれてますか?眠れていますか?」と声をかけてあげてみてください。食べれていなかったりぐっすり眠れていないと言うなら、医師への受診や心理相談室を勧めます。あなたのほんの少しのおせっかいが、人ひとりを救うことになるはずです。