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分析ではなく、理解しようとする 「心理臨床講義」伊藤直文編 臨床心理士への随録 心理学

カウンセラーがクライエントを目の前にしてとる、分析と理解の姿勢とは。

分析の姿勢は、自分が相手に入っていっていません。自分を保守して刺激を感受することを避けている状態。一方で理解しようとする姿勢は、クライエントを自分の中にも流し込んでいく感じで、同調とも同化とも違うけど、なんとかわかろうと努力している状態です。言葉で説明するのはとても難しく、正確に表せていないけれども、このふたつの姿勢は全く違うもので、クライエントにも完全に伝わってしまうものだと思います。自分がクライエントの立場だったら……、分析姿勢のカウンセラーに信頼を寄せることはできないでしょう。

「心理臨床講義」伊藤直文編

グローバリゼーションの潮流のなかで、どういう能力が大事かっていうと、私は一つは寛容度だと思います。違った考え方に対してどれだけ寛容になれるか。違った価値観をどれだけ許容できるか。二つ目は企画力。今ある問題を早くやるってことだけじゃなくて「新しい問題設定」ができるかどうか。

クライエントの要求してこないことに対して、余計にもう少し助けてあげようなど、いろいろやらないほうが良さそう。

心理支援とはクライエントや家族というかに協働して苦しみや問題をのり越える作業を進めるかということであり、苦しむ人々と環境との関係性を抜きにしての支援はクライエントのみを問題視する偏った見方である。

学生たちに幼い頃「何やってた?」と聞くと、無意識にその人が好きになっていたことの”芽"みたいなものがあって。つまり、どこかに芽があるんだけど、その芽が見えていなかったり、無視していたりします。

分析しようとするんじゃなくて、理解しようとすることが大事だ。

言葉に対して意識的であるということは、実はこれは人を大事にするということにも繋がってくる。

臨床心理は社会適応モデルや病理モデルにいきすぎる気がします。どう解決するかになってしまう。でも、本当の解決は本人がするので、こっちができるものではないです。

自己実現とは、今ある自分を大事にすること。自分の持っている資質を活かすのが自己実現。今の自分でよい、というところからスタートする。

葛藤は解決するものではなく、抱えていくもの。葛藤を抱えつつダメにならないにはどうしたいいかを考える。

カウンセラーはある具体的なレベルにすっと落とし込む力が、とても大事なんでしょうね。つい我々は、情緒的なところに話を持って行ってしまうところがあります。


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