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研究論文に着手する|ココカリ心理学コラム

大学病院での勤務が2年目に突入した。初年度は心理士の基本業務すらまともに出来ない惨めさをバネに、技量を上げることに専念してきた。多少は周囲が見渡せるようになり、先輩方からの勧めもあって、今、研究論文に取り掛かる下準備を始めている。

コロナ禍により社会の在り方が変容した。人々の生活へ大きな影響が及んだ、言わんや高齢者をや。認知症を患う、もしくは軽度認知障害MCIの高齢者から話をうかがい、その影響や変化の輪郭は掴めているものの、例えば認知機能検査の結果との関連を検証したデータはない。論文検索しても見つからないので、ここら辺が研究テーマになり得ると考えている。

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研究論文として発表できれば、広く社会福祉に貢献することになるし、また臨床心理士資格更新のポイントにもなる。臨床心理士には5年間で15ポイント以上の取得が義務付けられており、論文発表は10ポイントが認められることになる。

なお、日本臨床心理士資格認定認定協会では資格更新制度の概要を、以下のように定義している。

臨床心理士の専門的資質の維持・向上については、有資格者自身による自覚的な自己研修がとくに要請されるだけでなく、入念な教育研究を幾重にも求める制度的な整備を図ることも必要です。そこで臨床心理士には、5年ごとの“資格更新”が義務づけられています。これは臨床心理士の生涯学習的課題ともいえるもので、本協会が主催する研修会への参加や研究論文の公刊などを行うことでポイントを取得し、それが資格更新につながるシステムです。生涯資格ではなく、研修を義務づけたうえでの資格の更新という、日本の公的資格制度に限らず国際的にも注目される、専門業務性を社会的に担保しようとする資格制度です。

学び続け、研鑽し続けよ、ということなのだ。これでいいとか、これが自分のスタイルだからと思った瞬間から、ダメ心理士になっていく予感がある。臨床心理士に求められる4つの役割は、査定、面接、地域援助、研究調査である。疎かになりがちな研究領域に対し、牛歩でもいいから挑み続けたい。

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大学病院の医師陣は、外来診察、入院診察、院内業務をこなしながら、自身の研究業務にも勤しんでいる。常に頭が下がる想いである。彼らのパワーやパッションは凄いけど、同じ人間だし俺だってやってやれないことはないんじゃないか、というなんともアホっぽいノリを大切に、研究活動を進めてみようと思う。