アオ@見世屋ねこ

《 見世屋ねこ》という個人サークルの主です 小説、絵を中心に気ままに作っています🐈

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最近の記事

新刊『同行二人?』

2023年9月10日に開催の文学フリマ大阪11で発売した新刊です。 『同行二人?』 文庫/192p /800円 R18G あらすじ 多重人格である『私自身』が有する人格の一つ『キリ』は松山に行く。そこで頭に光る輪を載せた少女コダマに出会った。コダマは魂と引き換えに願いを叶えるという契約を結ぶ。そんなキリが気に食わない他の人格達の策謀により、自らの知らぬうちにキリは事件に巻き込まれていく。  R18Gの作品となりますので、18歳未満の方の閲覧は固くお断りします。(グロシー

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    • 小説『同行二人?』試し読み

      文学フリマ大阪11にて発売予定の新刊の一部を抜粋してアップしております。 『同行二人?』 文庫/192p /800円 R18G あらすじ 多重人格である『私自身』が有する人格の一つ『キリ』は松山に行く。そこで頭に光る輪を載せた少女コダマに出会った。コダマは魂と引き換えに願いを叶えるという契約を結ぶ。そんなキリが気に食わない他の人格達の策謀により、自らの知らぬうちにキリは事件に巻き込まれていく。  R18Gの作品となりますので、18歳未満の方の閲覧は固くお断りします。(グ

      • ラジオ体操カード作りました!

        夏休みも近いので、ラジオ体操カードを作りました。ポストカードサイズのpdfデータです🐈‍⬛ それとカレー好きが高じて、カレーのスタンプカードも作りました。こちらはポストカードサイズのjpegデータです🐈

        • 短編グルメ小説『パンプスで食事に行く』

           7720文字の短編グルメ小説です。2023年5月ごろの情報をもとに執筆しています。エッセイではありません。  EPILOGUE  週末に旅行をした。食べログやwebで片っ端から美味しそうなものを探して、食べることを目的に旅をした。  そもそも旅行に行こうと思った最初のきっかけはありきたりなのだが、失恋である。  恋の傷を癒すものは次の恋だなんて言われたりもしたが、私はそれを否定する。「他人は黙っとれ」、「うっせえわ」、である。  自分が何でどのように癒されるかを最

        新刊『同行二人?』

          飲み干す仕事

          2517字の掌編小説です。  私の仕事は液体を飲み干すことです。  私が出勤し、デスクに座って待っていると、 「おはようございます、先塚亜梨子さん」  と言いながら、配膳係の人が部屋に入ってきます。配膳係の人は一日一回、ガラスのコップになみなみと注がれた黒い液体を持って来るのです。 コップはデスクに座って待っている私の前に置かれます。持って来るのは、岡田さんの時もあれば前林さんの時もあり、佐々木さんの時もあります。持って来る人はまちまちです。でもそれ以外はすべて一緒

          狂気の国

          7068字の短編小説です。架空の国という設定ですが、不快な表現や差別的な発言がありますのでご注意ください。 「君たちは、このンポツ国からイバヤ国へはじめて遣わされる使節団だ。国を代表している者としての心遣いを忘れず、交流を深めてくれたまえ。この一九八四年を私達の希望の年、としてくれたまえ! 」  閣下は私達から、飛行機の前に貼られたテープ越しに手を振る民衆に視線を移し、 「それでは、国民の皆さま、拍手でお送りください!」  と言った。私達は同時に敬礼をし、 「はい!

          まだ生きている公園

           人は忘れ去られた時に二度目の死を迎えるという話を聞いたことはないか?   俺はある。  一度目の死は肉体の死。その死を悔やむものがある限り、そのものの存在は記憶の中で生き続ける。という話だ。記憶なんて曖昧なものだ、ビデオデッキと同じで繰り返し再生されれば変質し元とは大きく異なっていく。  ……あぁ、だから死んだ後に『惜しい人を亡くした』『あの人は仏のような人だった』なんて言い出す輩がいるのかな。どんなクソ野郎でも。  そんなことを思いながら、俺は煙を吐き出した。吸わないとや

          まだ生きている公園

          小説『バス通勤のとある人』

           夜にバスに乗ると、夜の底に辿り着いたような錯覚を覚える。眩暈に襲われているような感覚がどこか心地よい。  移動している途中なのに、別の世界に着いたようなちぐはぐさが好きだ。特に冬の十八時半頃のバスが良い。仕事や学校から帰る気だるさでぼんやりとした意識の中で見る、藍色の空に包み込まれた橙色の灯は異世界への入り口を照らしているかのようだ。  不安定な色が織りなす空気が、不安を運ぶ。何とも言えぬ心細さが夜を深めていく。それは確かに不安であるが、冬の朝の布団のような心地よさもあ

          小説『バス通勤のとある人』

          猫に口紅

          「うちら、親ガチャ失敗組だね」  朱里はスマホを弄りながら言った。私は公衆トイレの手洗い場の鏡越しにちらりとそちらを見やったが、俯いているため朱里の顔はよく見えなかった。日も暮れて木々の輪郭も曖昧だ。その中で電燈に照らされた朱里だけが、くっきりとした輪郭を保っていた。  朱里は喋り続ける。 「『朱里のせいで生活が苦しい』っつってヒステリー起こして子供に当たってさ。あたしは適応障害だなんて言われるようになったし。子供を気違いにするぐらいなら、最初から産むなって思う。誰も産

          ナニ見て跳ねる?

          真っ白なうさぎが道路に飛び出したんだ。 俺はそのうさぎを絶対に捕まえなくてはと思い、必死で右手を伸ばした。そして車に轢かれた。 「打ちどころが良くて、何よりだったね。それに夏休みだから学校休まなくても良いってのが、不幸中の幸い!」 見舞いに来た母は俺の枕元に本を数冊置きながら言った。アブラゼミのがさつな声は閉め切った病室にも届く。窓の隙間から夏の熱気が滲んでいるのと同じように。 俺の頭には包帯が巻かれているものの、擦り傷さえ治ればこれも取れるらしい。鞭打ちも骨折もない。車に

          ナニ見て跳ねる?

          宝石の躰

          ※直接的ではありませんが、暴力、残酷、死の描写等あります。15歳以下の方は閲覧をお控えください。  ルイは間違えてこの世に生まれてきたのだと思う。  ルイの指先で温められたチョコレートが、その白玉石のような爪を僅かに汚した。ルイはそれを認めると、すぐにそれを投げ捨て、 「こんなものを食べろっていうの」  ウェッシウッドの皿に盛られたチョコレートを大理石の床に叩き落とした。宝石のように美しく艶々としたチョコレートがコロコロと床を転がっていく。  そして人間の足をイメージして

          小説『あべこべな場所で』

          「今日、ハンバーグ食べられた……」  私がそう言うと母は入院着に身を包んだ私の背に腕を回して、 「良かった……」  と言いながら抱きしめてくれた。油っ気のない母の黒髪が鼻先にこすれてくすぐったい。 「ずっと食べたいって言ってたもんね」  私は『ハンバーグが食べたい』という言葉は子供みたいで、母にそう言われるのは恥ずかしいと思ったものの思いっきり頷いた。私はずっとハンバーグが食べられなかった。難病に罹ってから。今日食べたのは豆腐ハンバーグだけど、それでもやっぱり嬉しい

          小説『あべこべな場所で』

          朗読シナリオ『飲み足りないハーブティー』

          真麻:もうそろそろ寿命だね 斗真:何の寿命? 真麻:精子の寿命 真麻は腹を撫でる。斗真は暫し考え、 斗真:ああ、この前の不妊治療の話? 斗真は読んでいた本を閉じる。 真麻:うん、そう。なかなかうまくいかないなって思って、色々調べてたの。そしたらね出てきたんだ、精子と卵子の寿命について 真麻はハーブティーの入ったカップに口をつける 斗真:へえ。考えたこともなかったな 真麻:最後に病院に行って卵管の近くに人工授精したのが1週間弱たったところだから。まだ生きてるの

          朗読シナリオ『飲み足りないハーブティー』

          『主人公』を探して

          私は物語の良い『主人公』になれなかった。 だから代役を探していた。 そしてふさわしい人が見つかったから、『君こそが主人公に相応しい』 そう言って、素敵な笑みを浮かべながら襷をかけてあげた。 私は君に背を向けて、『君ならきっと出来るよ』なんて無責任な言葉を吐き散らかした。 そうして新たな『主人公』を据えて、物語は書き変わる。君は観客の前で一人無邪気に笑っていたが、私は内心不愉快だった。首がすげ変わったのに、何も変わらない。物語は滞りなく進んでいく。 雨に濡れて本のインクが道路に

          『主人公』を探して

          詩『土星のうさぎ』

          羽をもがれた哀れなうさぎ 一羽、二羽と数えてもらえず 忘れられ 月に仲間がいるものの 誰もこちらをみやしない 土星で独り帰れぬ彼は 気づいて欲しくて手を振るが ピョンピョンと宙を掻く手は 決して月には届かない 詩投稿サイトビーレビ初出の作品です

          詩『土星のうさぎ』

          詩『感覚と現実』

          小さな白いクラゲがふわふわと宙に浮かんでいた。私は微笑んで耳をすませた。 柔らかな鈴の音が耳の中から聞こえた。私は息を止めて手を伸ばした 。 華やかな茉莉花の香りが鼻の奥から香った。私は静かに目を閉ざした 。 夕闇の色、朝のアスファルトの匂い、雨の気配、誰かの視線、ごわごわとした服の感触。私たちが認識できるのは五感が触れたものだけ。 僕らは確かな情報をふわふわと受け取る愚かな脳の中、小さな窓がついた暗い部屋の住人でしかない。 現代詩創作サイトビーレビ初出の作品です。

          詩『感覚と現実』