詩『感覚と現実』

小さな白いクラゲがふわふわと宙に浮かんでいた。私は微笑んで耳をすませた。
柔らかな鈴の音が耳の中から聞こえた。私は息を止めて手を伸ばした 。
華やかな茉莉花の香りが鼻の奥から香った。私は静かに目を閉ざした 。
夕闇の色、朝のアスファルトの匂い、雨の気配、誰かの視線、ごわごわとした服の感触。私たちが認識できるのは五感が触れたものだけ。
僕らは確かな情報をふわふわと受け取る愚かな脳の中、小さな窓がついた暗い部屋の住人でしかない。

現代詩創作サイトビーレビ初出の作品です。

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