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短編グルメ小説『パンプスで食事に行く』


 7720文字の短編グルメ小説です。2023年5月ごろの情報をもとに執筆しています。エッセイではありません。


 EPILOGUE


 週末に旅行をした。食べログやwebで片っ端から美味しそうなものを探して、食べることを目的に旅をした。

 そもそも旅行に行こうと思った最初のきっかけはありきたりなのだが、失恋である。

 恋の傷を癒すものは次の恋だなんて言われたりもしたが、私はそれを否定する。「他人は黙っとれ」、「うっせえわ」、である。

 自分が何でどのように癒されるかを最も知るのは、自分自身である。

 その私が三十年間分の記憶データベースをもとに出した解答が、『食べること』である。美味しいものは間違いなく人生をより良いものにする。

 自分の金を自分が好きなように使って何が悪い、人に迷惑もかけないし、経済も回してるし、私って最高! パーフェクトヒューマンじゃん。『TANAKA・TANAKA』ってオリラジが言ってくんねえかな~。『絵美ちゃん、かっこいい!』って。

 ちなみに私の名前は田中絵美である。以後、お見知りおきを。

 そして、そんなかっこよくてパーフェクトヒューマンの私は大阪に行っちゃいま―す! ……私が決めた、今決めた。

 休日の昼前だというのに妙なテンションになった私は、片っ端から美味しいものをサーチし、予約した。ひどい別れ方をしてるから、変な方向に箍が外れてることには目を瞑る。いいんだ、人様に迷惑かけてないから。

 ……立ち止まるな、行け行け、私! このまま最後までやり遂げろ!

 その勢いのままに、躊躇わないうちに、深夜バスのチケットとホテルもとってしまった。

 今の私は正に火を噴く車、だれにも止められない。幸せを目指し、闘牛のように突き進む。 


 朝


 深夜バスに乗って、淀橋タワーバスターミナルに着いた。そこからめちゃくちゃ歩いて堂島の『London Tea Room』に着いた。履いてきたのが、柔らかめの素材で出来た履きなれたパンプスで良かった。そうじゃなきゃ、今頃足を引きずっていただろう。まあ、それでも執念で辿り着くとは思うけど。ここまで来たんだぞ、這ってでも行ってやる。

 しっかし駅から歩いて二十分……こりゃタクシーを使った方がよかったな、五月ともなると滅茶苦茶暑い。

 汗を手の甲で拭いながら、薄暗い階段を下り地下一階におりた。



『London Tea Room 堂島本店 客席』


 店の中を見て思ったのは、結構薄暗いんだなということ。バーかと思うような明るさである。そしてかなーりお洒落だということ。著名なバンドである『Beatles』や有名なアニメである『ポパイ』の写真やイラストが壁にいっぱい貼ってある。そしてかなりどっしりとした仕切りが、席と席にあった。商談とかできそうな雰囲気である……ああ、だから入り口に『混雑時は占い、商談等の長話はおやめくささい』と書いてあったのか。どんだけ長居してたんだ、その人ら。でも気持ちは分かる。喫茶店って心地よいよね……。

 私は予約していたことを告げ、案内されるままに予約席に着いた。うーむ、中々にしっかりとした座り心地である。

「ご予約された『イングリッシュブレックファースト』はお時間をいただきますが、よろしいでしょうか」

 食事しか予定を入れていないので、すぐ頷いた。これを食べるために来てるのだから、待つなんて造作もないことである。

「ロイヤルミルクティーはアイスですか? ホットですか?」

「アイスで」

 ホットの方が氷で味が薄まらないから好きなのだが、体温が高くなっているこの状態で熱い飲み物を摂るのは御免被りたい。

 待つのは苦に感じない方だ。とはいえ、何もしないで待つのは流石に退屈なので、持参してきた本を開いた。事前に本屋で注文しておいた『笑う月』である。数十ページ読んだあたりで、注文していた商品が来た。


ロイヤルミルクティーのアイス

 この店の看板商品であるは無造作に砕かれた氷の向こう側に琥珀色のその身を透かしていた。喉から手が出るとは、まさにこのことだろう。

「いただきます」

 キンキンに冷えた銀色のグラスを引き寄せ、口をつけると美味い。……1977年からの歴史の重みがこの舌に乗っているのだ、美味くないわけがない。

 紅茶なのに、ココアを飲んでいるような濃厚さを感じ、ミルクのコクと砂糖の甘さがちょうどよい。強いて似た味をあげるならば、『Afternoon Teaのチャイ』だろうか。

 さて、紅茶も味わったことだし、次はプレートに盛られた食事に手を付けよう。しかし何から手をつけるべきか迷ってしまう。


イングリッシュブレックファースト

 なんせ輪切りのトマト、焼いたウィンナー、スクランブルエッグ、炒めたマッシュルーム、ベーコンが載っているのだ。あれ、これってもしかしてトーストに挟んで食べれば美味しいんじゃない?

 そんなことを考え出したら、キリがない。ええい、ままよとトーストにトマトとスクランブルエッグを挟んで食べた。……美味しい~、塩気がちょうどよい。パンも甘すぎずにサクッサク。こんなんいくらでも食べれちゃう……。

 折角だからジャムも塗らねば、と思い立ってバターを掬う。その滑らかさと伸びの良さと言ったら、今までで一番であった。そこにこれでもかといちごジャムをオンして、口に頬張れば幸せが広がった。口の中がサクジュワトロッでいっぱいである。

 幸せはここにあったのだ。あっさりと幸せになってしまった……これこそ至福である。

 プレートの中身を全部平らげ、私は両手を合わせた。

「ごちそうさまでした!」

『London Tea Room 堂島本店』大阪府大阪市北区曽根崎新地2丁目1-23 JPR堂島ビルB1F

【イングリッシュブレックファースト】 2,000円也


 昼


 私は迷っていた。探している店が見つからないのだ。

 私はウィンドウショッピングをしていたサウスゲートビルディングから、人混みに揉まれながらJR大阪駅近くのLUCUAに来たが、お目当ての店がないのだ。コインロッカーにスーツケースを預ける際に、場所を再確認したというのに。

 エレベーター前にあるフロアマップとにらめっこしたが、ない。左から右に数えていってもない。パンプスの爪先でコツコツと地面を叩きながら考えた。

 ……まさか潰れた? 食べログで予約したの、数週間前なのに潰れるなんてある?

 スマホとスーツケースを片手にフロアマップの前で陣取っていた私に、

「あのー」

 と声がかけられた。

「あっ、すみません、邪魔でしたよねっ」

 私は頭を下げながら、慌てて避ける。

「いや、ずーっとおるから、困っとんかと思って」

 顔をあげて、見るとその人はガードマンのようだった。……心配されるほど、突っ立っていたのを見られて、とても恥ずかしい。

「すみません……探してたお店がなくて、つい」

 急いでその場を立ち去ろうとした私にその人は、

「もしかして、行こうとしてるのルクアイーレやない?」

 と言った。

イーレ、とは何? 

きっと宇宙猫の顔をしているであろう私に、

「ほれ、あそこの看板にLUCUA1100って書いてるやろ、1100って書いてイーレ。LUCUAとLUCUA1100があるから、迷う人多いんや」

 それじゃん、と私はそれを聞いた瞬間に思った。

 私が行きたい店、きっとそこにあるよ! と私は心の中で盛大にゲッツのポーズをした。似た名前の建物と駅を横に作るのを禁止する法律を誰か作ってくれません?

「ありがとうございます。私、1100に行ってみます」

「ん」

 その人はひらひらりと手を振ってくれた。私は頭をもう一度下げてから、その場を後にした。

 どうかあのおっちゃんに、良いことがありますように。例えば、自販機でもう一本ドリンクが当たるような。そんなラッキーがありますように、そう念じながらしっかりと人差し指と中指を交差させておいた。

 私はLUCUA1100の前にあるフロアマップに辿り着き、それをまじまじとを覗き込んで、7階の列を探した。……あった。ちゃんと『bills』って書いてある。

 小躍りしたいのを押さえながら、私はタイミングよく来たエレベーターに乗り込んだ。にやけるのだって、人前ではちゃんと我慢できますとも……なんたって、いい大人ですから!

 エレベーターでお目当ての階に着くと、見えたのは窓ガラスに書かれた『bills』の文字と行列。食べログやブログでの評価高かったもんな……本当、予約してきて良かった~。『ご予約の方はスタッフにお声がけください』という紙を見ながら、内心ガッツポーズをした。

 行列に並ばず、店員さんに声をかけるとすんなりと席へ通された。おまけにボックス席だ。最高。

 メニュー表を渡そうとしてきた店員さんに、

「リコッタパンケーキをください」

 と告げる。食べるものすらも、全て決めてから来ている自分の用意周到さに心の中でダブルピースをしていたが、

「お飲み物は何にされますか?」

 と言う言葉ではっとした。飲み物……頼まない、という選択肢も店によっては出来る。だけどお高めなお店ではドリンクを頼むのがマナーって聞いた気がする。……とにかく、お店の利益のためにもドリンクは入れるべきって、飲食業についてる友達が言っていた。

「まだ決まってないので、メニュー表をください」

 メニュー表を渡される直前に、食事の注文をした分滅茶苦茶恥ずかしい……。ちょっと顔が赤くなっているかもしれない。

 恥ずかしさを振り払うように、急いでドリンクのメニュー表を開けるとかなり充実したラインナップだった。

ドリンクの種類が多くて、普段見ない横文字が多いと、悩む。……皆さんもそんな経験はありませんか?

 しかし私はこういう時のための必殺技を持っている。私は手を挙げて、店員さんを呼んだ。

「すみません。よく売れる商品ってどれですか?」

 『秘儀:人気商品は何?』である。今まで、この質問をして分からないと言われたことはないし、売れてる商品は大体美味しいので、悩んだ時に重宝している。但し、ホールがうまく回っていない時は迷惑になるからしない。

「オレンジジュースがよく出ますよ」

「ではそれをください」

 と言って、オーダーは終了だ。

 そもそも『bills』はシドニー発祥のオールデイカジュアルダイニング、つまり朝から晩まで食べられるお店である。1993年に一号店が出来てから、次々と世界に支店を出している。そんな店がまずいわけがない。そして看板商品ともされば猶更だ。

 期待が高まりすぎる。ドキドキしながら待っていたら、オレンジジュースが運ばれてきた。お洒落なコースターがまた素敵。


 

オレンジジュース


 まずは一口。

 ……美味しい。この味のオレンジジュースが売っていれば、箱買いするのに。

 何が良いって、濃すぎず、薄すぎないこと。さっきそこで絞ってきました、というのがありありと伝わる香り、味。それでもって、自分で柑橘類を絞った時に出るような繊維みたいなものが一切ない。最高の一杯。

 感動していたら、パンケーキが運ばれてきた。


 

リコッタパンケーキ


 なんだこれ。

 三枚重なっているパンケーキのふわふわ感が極上なのは当たり前なのだけど、その上に乗っているバナナの輪切りみたいなもの何? ネットで見た時、バナナの輪切りだって思ってたけど、茶色の点々がたくさんある。

「そちらの蜂蜜入りバターを塗り、メープルシロップをかけて、お召し上がりください」

 これがバター!? この茶色い点は固めた蜂蜜……こんなの見たことないよ。食べるのがもったいなく思えてきたよ。

 無論、食べるけど。

「いただきます」

 まずはシロップ無しで。これだけでも甘じょっぱくて、いける。外はカリッ、中はしっとりふんわりな食感が舌を喜ばせる。蜂蜜がバターの隙間から、溢れてくるのが見た目にも良い。そこにシロップをかけてから、口に運ぶ。

 これを幸せと呼ばず、何が幸せだろうか。

 夢中になって食べていたら、あっという間に皿は空になってしまった。

「ごちそうさまでした」


『bills 大阪』大阪府大阪市北区梅田3-1-3 LUCUA1100 7階

【リコッタパンケーキ】【オレンジジュース】 2,900円也


 夜


 洋服を試着したり、コスメを眺めていたら午後六時半になっていた。楽しい時間が過ぎるのは、なぜこうも早いのか。『熱いストーブの上に一分間手を置いてみると、1時間にも感じられるでしょう。かわいい女の子と1時間座っていると、1分ぐらいに感じるでしょう』、とアインシュタインも言っていたっけ。

 私はLUCUA1100を出て、大阪駅前第一ビルへ足早に向かう。歩き回って、お腹も空いたし、今日のディナーが待ちきれない。

 今日のディナーは日本ではあまり一般的ではない、ロシア料理である。私は旅先では普段絶対食べないものが食べたい派である。それに今回は食べることが第一目的で、ショッピングは二の次なのだから当然である。

 ルンルンで大阪駅前第一ビルに向かう。地下から行った方が、早く着きそうだったので駅ナカを通っていく。すると第一ビルの入り口を見つけたが、思ったよりも入り口が小さい。

 本当にここであってる? と思ったが、他にも入っている人がいたのでついていった。

 角を曲がるとエレベーターがあり、そこにはフロアマップがあった。年季の入ったマップには地下2階と書いてある。確かお目当ての店は地下1階だったはず。

 エレベーター横の階段をのぼって、フロアマップを確認すると『モスクワプリュスシェミ』という文字があった。頭の中にマップを叩きこんでから、2分程度歩くとお目当ての店に着いた。

 思っていたよりもずっと入りやすそうな店構えであった。楽し気な声が店の外からもよく聞こえる。店を入ってすぐ左にある厨房に声をかけた。

「午後7時に予約していた田中なんですが」

「お待ちしておりました」

 そう言われ、『予約席』と書かれた札の置いてある席に通され、メニュー表を渡された。

 事前に調べて気になっていたボルシチを探そうと、表紙をめくるとすぐに現れた。鮮やかな赤色が目に染みる。

 コースは一人では食べきれないかもしれないし、色んなものを食べたいから単品をいくつか頼むことにしよう。ビーフストロガノフ、ピロシキ、このあたりは食べたことがある。でも他のメニューは名前を聞いたことすらない。悩む……。予約の際に、『料理は当日、ご注文ください。また当日、品切れになっている商品があるかもしれません。ご了承ください』って言われたから、事前に決めてこなかったんだよね。

 数週間楽しみにしてて、『ありません』って言われるのも悲しいし……。

 お、この『カツレータ・パ・キーウスキー』って美味しそう……バターたっぷりのチキンカツ。でも五十分待つのか……その間に私の腹の虫が暴れるかもしれない。この『シュクメルリ』っていうの良いな、鶏肉をガーリックや乳製品で煮込んだ一品。

「すみません、ウーロン茶とピロシキ、シュクメルリください」

「シュクメルリは調理時間に四十分いただきますが、よろしいですか?」

 ……シュクメルリも調理に時間がかかるのか。なら、

「『カツレータ・パ・キーウスキー』もください」

 四十分待てば五十分も同じようなものである。それまで本を読んでいよう。『笑う月』は読み終わったので、『先生、ワラジムシが取っ組みあいのケンカをしています!』にしよう。

 黙々と本を読み進めていたら、まずウーロン茶が来て、それからボルシチがやってきた。名前は聞くけど、食べたことはなくて気になってたんだよね。


ボルシチ

「いただきます」

 スプーンでスープを掬って、口に運ぶと思ったよりもかなりあっさりとした味わいに驚いた。もっとこってりした味を想像していたのだが、塩と牛肉のさっぱりとした味わいが口に広がった。中に入っているビーツはどんな味かと、一口食べるとこれもさっぱりとしたものだった。牛肉とカブが入った塩味のスープという説明だと日本人には分かりやすいと思う。真ん中に鎮座しているのはアイオリソースだろうか。酸味のアクセントが心地よい。

 食べ終わってから、また暫く読書をしていると、

「お待たせしました」

 と言う言葉と共に、『シュクメルリ』がやってきた。


シュクメルリ

 ワクワクしながら、頬張るとこってりとした濃厚な味が幸せを連れてきた。

 様々なハーブが入っていて味が深い。そしてバターたっぷりなのに、しつこくない。ボリューミーなのに、いくらでも食べられそうだ。お肉もしっかり煮込まれてて柔らかい。そして何よりバターにパンを浸して食べるのが至高。

 私が『シュクメルリ』を堪能している間に、『カツレータ・パ・キーウスキー』もやってきた。


カツレータ・パ・キーウスキー

 『カツレータ・パ・キーウスキー』は拳骨二つ分はあろうかという大きさのカツ様であった。思ったよりも遥かにでかい。どう食べるんだろ、端から? それとも真ん中から?

 ちょっと悩んだけど、真ん中から割って食べることにした。

 中に入っているチキンからチーズが蕩けだしていて、これはもう眼福である。フォークとナイフで一口サイズに切ろうとしたら、衣がぬるんと外れて中のお肉様が飛び出した。

 駄目です、お肉様。裸にならないでください。衣を着てください。

 心の中でそう言いながら、そっとくっつけた。

 気を取り直して、衣と肉を一口サイズに切って、放り込んだ。いや、美味しくないわけがないよね。チーズ×肉×カツ、全人類大好きだよね? 濃厚×ジューシー×サクサクが口の中で止まらない。

 ひえー、幸せすぎる……。

 『シュクメルリ』と『カツレータ・パ・キーウスキー』でチキンがダブったことで、チキンの持つ万能さがよく分かる……。

 そんなことを思いながら、ぺろりと私は平らげた。これなら、コースでも普通に食べ切れたかもしれない…。ま、いっか。

「ごちそうさまでした」


『モスクワプリュスシェミ』大阪府大阪市北区梅田1-3-1 大阪駅前第1ビル B1F

【ウーロン茶】【ボルシチ】【シュクメルリ】【カツレータ・パ・キーウスキー】3,150円也


PROLOGUE


 いやー、美味しかったな。

 私は深夜バスの車内で、携帯の写真を眺めながら口元が緩むのを感じた。

 元カレ? そんな人もいましたねってぐらいに思えるようになった。というか、この旅行のきっかけを間接的に作ったのは奴なので、そのことに関しては小指の先ぐらいの感謝をしよう。

 絶対、またご飯一人旅しよう。大阪じゃなくて、今度は京都もいいかもしれないな。


あとがき

 はじめましての人ははじめまして。そうでない人はいつもありがとうございます、アオです。

 暫く、noteに文章を上げていませんでした……本当にお久しぶりです。長編を書こうと思いつつ、筆をおいたままで数か月経過し、何か書かねばと思っていました。

 思ってはいたものの、長編を書くためのBGMが見つからない(私なりのスランプ状態のようなものです)。そんな時に、『マニュアルのようなものを書くのでも、作家さんごとに文体が違うからやっぱり個性が出る』と、ある人が言ってくださいまして。

 ……なるほど。

 ありきたりな内容でも個性が出る……そう考えるとなんだか気が楽になりました。それに短編なら、BGMの力を借りなくても多少なら書けます。

 あと『他とは違う、個性が滲んだ長編小説』を書こうとすると、あれこれ考えてこねまわす労力が必要だと個人的には思っています。そしてその労力を正装でパーティーに行くこと、と例えるならば、経験したことをそのまま書き散らすことは、サンダルでコンビニに行くことではないでしょうか。だとしたら事実を元にあれこれ考えて創作するのは、パンプスで気軽に食事に行くようなことでしょうか。

 パンプスで食事に行くくらいなら、出来そう! そう思って今回筆をとりました。


 ちなみに、長編を書くためのBGMは常に募集しています。この作品にはこの曲、というのを決めてヘビロテしないと長編が書けないんです……。音楽を中毒性高め、テンポ速い、暗い雰囲気、の良い音楽があれば教えてください。

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