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上司との面談を契約更改だと思って挑んでみた

我が社では、秋に上司との面談がある。夏までの評価をフィードバックされて、その時に大体「今後どうしていきたいか」って話になる。

この面談が大の苦手だった。大勢の女性社員を束ねている上司から、一番大事なことは協調性で、あなたにはそれがない。と言われたことがある。

言わんとしていることは、よく分かる。わたしに協調性はきっとない。明日はきっといい日になる、いい日になっても協調性はない。協調性はないでしょう。


小学生や中学生のとき、このグループに属していたら、スクールカースト上位間違いなし!みたいな集団ありませんでした?クラスの女子みんなが、仲良くなりたいと思う女子いませんでした?

大人になった今、当時を分析すると、その子には野心が透けて見えなかったんだと思う。彼女は、それなりに勉強が出来て、そこそこ足も速くて、わりと絵が上手で、当時我が地元では最先端のスポーツ、その名もバレーボールを習っていた。

それでも、20人いる女子を横一列に並べたとき、ひとりだけ、一歩先を歩いているようには映らなかった。ナチュラル何でもできる人だから、女子から嫉妬や反感を買わずして、羨望を得ていたのだと思う。

わたしはというと、昔からみんなと同じことをするのがどうも苦手で、せっかく違う人間に生まれてきたんだから、同じ能面被ってないで、違うことしようぜ!とか思うヤツだった。

育った家庭環境も大いに影響していると思う。老いた両親は言う「群れるな、強い虎になれ。と育てたら、本当に虎みたいになってしまった」と。協調性などサバンナのどこかに置いてきた。(サバンナに虎はいない)

本来、集団生活のなかで培うはずの協調性を、ベンガルに置いてきたわたしは、30歳を目前に、オフィスレディ100人が在籍する営業事務に転職した。世界は広いことを知った。


話を戻そう。毎年秋は、あなたには協調性がない提唱月間だったわけだが、今年はひと味違った、という話がしたい。

ちょうど秋から冬にかけて、プロ野球選手の契約更改の時期である。

契約更改(けいやくこうかい)は、プロスポーツ選手のチームや企業などとの所属契約が一定期間経過して切れる時に、改めて所属先と契約を交わすことをいう。シーズン終了後に、所属球団と選手が翌年の選手契約に関して協議することを示す。同時に、契約の調印・保留といった内容を球団やマスコミを通じて公表する。

Wikipedia

プロ野球選手の年俸は、まさにピンキリ。会社員の年収と大差ない選手もいれば、1年で5億円を貰う選手もいる。(アメリカはもっとすごい)その契約を交わすのが、毎年この時期だ。

野球選手は球団職員ではなく、個人事業主になる。そのため、現役の選手たちには、球団と結んだ契約以外の後ろ盾はなく、それが自分と家族を守る。

契約更改後の会見で、今回の契約がどんな感じだったか、ふんわり教えてくれるのだが、中堅・ベテラン選手は、その時に今のチームや若手に対して思うことを率直に意見してくれたりもする。ハッパかけてるんだと思う。

「おぉ…結構言うじゃん」「あなたが…そこまで言う…?」みたいな感情に全くならないと言ったら嘘になる。

それを見ていたら、思ってもないことを無理やり捻り出して、嘘の意見を言う必要はないけど、発言できる機会を棒に振って「また言いそびれてしまった…」と落ち込むのは、もう止めようと思えた。そうだ、上司との面談を契約更改みたいに挑もうと。

迎えた面談当日。難敵:今後どうしていきたい?という問いに

「わたしには協調性がありません。だからこそ、相手を不快にしない接し方を意識してるつもりです」
「公私のバランスが取れているので、今の立場で頑張りたい」
「ただし、未来のことは誰も分からない。だって、中日ドラゴンズが、中田翔の獲得交渉をするなんて3年前は想像できましたか?それはそうと、先のことは分からないので、未来の可能性や選択肢を消すことはしたくない」

自分は涌井秀章だと念じたら、言いたいことが全部言えた。そして意外だったのが、目の前にいる上司が、全く怪訝そうな表情を浮かべていなかったこと。

相手が望む答えを言わないと…相手が望む成長をしないと…相手の期待に応えないと…それで自分を失っても、相手が責任を取ってくれることはない。周りの期待に応えたい、その気持ちが良い作用を齎すこともあるから、聞き入れる内容や相手をしっかり見極めないと。洗脳は、その延長線にあると思っている。

無いものは無い。あなたに絵心はありますか?ありません。と同じで、無いものは無い。それが、たまたま協調性だったというだけの話。

大人になると、少しずつ小技が身に付いていく。自分を労わるためのお金と時間を得られるようになる。無いことを悲観するより、有るものだけで、きっと乗り越えられる。無事に、今年の契約更改、ならぬ我が評価面談が終わりました。


いきなりですが、このCM知ってますか?2018年の東芝のテレビCMです。ブルーハーツ「情熱の薔薇」名曲です。

応援している野球選手の登場曲が「情熱の薔薇」でした。プロ入り前は、社会人野球の東芝でプレーをしていた縁で「情熱の薔薇」を登場曲に選んだそうです。

未だに、推しを思い出しては泣いていますけど、それ以外は強く生きております。良い影響を与えてくれる存在は、意外なところで現れる。

それが青いコアラの着ぐるみだったり、テレビ越しの野球選手だったりする。だから、人生って面白い。

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