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燃えているのは推しだけじゃない!『推し、燃ゆ』の感想。

こんばんは!

一冊本を読み終わったというこの興奮が冷めないうちに文章にしておこう!と思いパソコンの前に座っています。騒がしいと思いますがお付き合いください笑

今回は第164回 芥川賞受賞作品の『推し、燃ゆ』(作・宇佐美りん)について私なりに考えたことをお話ししていきます。 

以下、三つの観点にまとめてみました。

1. 推しを推す気持ち分かる!

そもそも推しとは…「人にものを薦めること。応援したい、評価したいという対象に挙げること」(『実用日本語表現辞典』)なのですがそこから転じてアイドルグループのお気に入りメンバーを指す言葉へと変化しました。

私の世代では…AKB48や嵐でしょうかね。「前田敦子推し!」とか「櫻井翔くん推し!」という言葉が飛び交っていたりとかして…推しというワードは聞き馴染んでいます。

推しという言葉はアイドルに留まらず漫画やアニメのお気に入りキャラクターを言い表したり…とにかく自分の好きなもの皆推し!のように推しという言葉の定義は現在とーっても幅広くなっているような気がします。

主人公のあかりもアイドル上野真幸を推す女子高生です。

その推し方(応援の仕方)が はあー分かるなあと思う部分 と そこまでやるの!?と思う部分があって面白かったです。

ここで共感できるかできないかで自分のオタク度を測ることができます。友達に読んでもらってどこまで共感できるかという遊びもできるかもしれないですね笑

推しのプロフィールや出演番組追いかけるのは分かるのですがあかりのすごいところは…推しの発言を一言一句ノートに控えているところです。

私の周りにも推しがいる人がいますが誕生日にケーキを買って祝う、部屋に推しの祭壇を作るというところまでは見たことがあったものの発言の記録までは見たことがなかったのであかりのオタク度の高さに驚きました。もはや専門家レベルです。

推しに生きるあかりを見て私はとても共感しました。私も某バンドグループに夢中になっていた時期がありまして…。ライブグッズも今しか買えないと思うと手出しちゃいますし番組も録画してしまいます。バンドグループだけでなく漫画のキャラクターも推し始めるとグッズとか無意識のうちに手にしてますね!(最近は鬼を退治する漫画とか…笑)

推している時って生きてるなって感じするんですよね…。何かに夢中になるって楽しくて、色んな問題を忘れることができるし問題があっても何とかなるかという気持ちになるのです。その楽しさがきっとあかりにとっての生きる活力だったのだと思います。

2. 普通って何だろう

私はこの本は「普通」という言葉が主題というか…テーマになっている気がしました。

読み進めていくうちにあかりは勉強もバイトも家族関係も上手くいかない保健室に通う女の子であることが判明します。

私も高校生の時一時的に保健室通いみたいになっていたのであかりの何とも言えない不甲斐なさや疲れた…みたいな気持ちが分かります。「保健室には時間の流れがない。」という表現がありましたが本当にうまく表現されていると思います。何故か保健室って時間が止まってるみたいに感じるんですよね。教室から少し離れただけなのに異空間みたいだなって高校時代思ってました。

そんなあかりの思いからこの本のテーマが読み取れそうな部分を引用してみました。

あたしには、みんなが難なくこなせる何気ない生活もままならなくて、その皺寄せにぐちゃぐちゃ苦しんでばかりいる。(『推し、燃ゆ』(作・宇佐美りん)37ページ)
「働け、働けって。できないんだよ。病院で言われたの知らないの。あたし普通じゃないんだよ」(『推し、燃ゆ』(作・宇佐美りん)91ページ)

どの言葉も刺さりました。休職中の私…まさに自分が普通じゃないんだってがっかりしてたところなんです!笑

皆普通に働けているのに何で私は駄目になってるんだ…。という風にあかりと事情が違えど根底にあるものは一緒のような気がして勝手に共感してました。

あかりも「普通」という言葉に、社会に呪われてしまっているんだなと感じました。とても辛いですし励ましてあげたい…。

「普通」って言葉難しいですよね。そもそも「普通」というものを言葉を説明できません。「普通」って簡単に言うと「一般的」って意味ですがその「一般」って誰の立場からの「一般」なんですか!?ってなります。

私にはもう呪いの言葉にしか聞こえません笑 社会も周りの人も皆「普通」というものになりたがり当てはめようとしてきますけど、あまりよくないと思います。というかとても息苦しい…。

できる人もいるしできない人もいる、それだけのことなのに…。

朝起きること、朝ごはんを作ること、歯を磨くこと…日常の些細なことも実は普通にできることではないのです。できない人だっているという想像力を持つことが大切だと思います。

「あかりは何もできない」とあかりのお母さんは言いますがそんなことないです!漢字が覚えられなくても計算が分からなくてもブログを書く力はあるし推しに力を注ぐ集中力もある!SNSの使い方も上手い!笑

「普通」という箱に押し込まれたからこそあかりの推しへの強い思いが生まれたと思うとあかりの境遇の全てを悪いとは思いませんがそれにしても辛いなと思ってしまいます。

あかりの姉、ひかりの優しさが身に染みます…。

3. 色んなものが燃えている

ここで遂に感想文のタイトルについて語りたいと思います!

この本のタイトル『推し、燃ゆ』ですが燃えていると直接表現されているのはあかりが推しているアイドルの炎上案件です。

推しが事件で燃えている。だから『推し、燃ゆ』なのですが私は推し以外にも色々燃えてるなと思いました。

まず あかりも燃えています

推しを推す姿は炎の如く燃えています。誰も近づけさせないほどに!推しに対することだけでなく自身への身を焦がすような怒りも「燃ゆ」というタイトルに含まれているような気がしました。

それと 家族も燃えています

主にあかりのことで喧嘩が勃発していたので家族も燃えてるな…という印象を受けました。よくお姉ちゃんが鎮火してくれましたが…。

それと関係ないですが作者さんは歴史がお好きなんでしょうか。タイトルから勝手に『燃えよ剣』作・司馬遼太郎 を思い出しました笑 本に登場するアイドルの名前も歴史上の人物っぽいなーと思ったりもしました。

まだまだ語り足りないこともありますが…若い才能にとっても感動しました!他の作品も読んでみようかな…。


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