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戦争は終わってない。『ゴジラ-1.0』を観た感想。

こんばんは!ねむるこです。
映画館で『ゴジラ-1.0』を観てきたので感想をまとめました。
本当はあの場面のこのシーンいいよね!と大いにネタバレしたいところなのですが……ぐっと堪えて。

私独自の『ゴジラ-1.0』のゴジラについて感じた事を語っていきたいと思います。
展開の前情報なしで観た方が断然楽しめますからね!

(※台詞や演出についてほんの少し話しますのでネタバレ完全回避したい方はご注意を!)

私は子供の頃からゴジラの映画を観てきました。
最初はゴジラのことが恐ろしくて堪らなかった。同時上映の『とっとこハム太郎』を観るために、その恐ろしさに耐えてきたのです。(笑)

ゴジラは最初ただの怪獣……だったと思います。
人類の敵。前代未聞の怪物と戦う人間ドラマをメインに描いていたように思えます。その中に家族愛、仲間との絆などなど……。ゴジラという強敵に立ち向かう人間の強さ、助け合うことの美しさを描いていた印象を受けます。
大人になった今。私はゴジラという存在に何か意味を持たせて描かれいてると考えるようになりました。

『ゴジラ-1.0』のゴジラは お前らの戦争はまだ終わってないぞ という使命を持って描かれているように思いました。

だからゴジラの暴れっぷりも、姿も凄まじい。
前作よりも小型化したにも関わらず、ゴジラから強い殺意、憎悪を感じました。体つきもがっしりしていて、かなり戦闘向き。
鳴き声もいつもと違って低音、敵意が倍増しているように思いました。

今作の舞台は第二次世界大戦を終えたばかりの日本です。
人々の生活も復興し始め、これからだという時にゴジラがやってきたのは、戦争が終わっていないことへの怒りを表現しているのだと思いました。
日本では終戦を迎えましたが、世界は違う。いや、厳密には戦争はずっと続いていたんです。そのまま時代は冷戦へと突入しますからね。

1946年に行われたアメリカのクロスロード作戦による水爆実験で更なる進化を遂げたゴジラ。

戦争が終わらないことへの怒りをぶちまけているように見えました。

それはゴジラの怒りというより人類の怒りのように思えます。私には人類の怒りがゴジラという化け物に成り代わって暴れてるように見えました。

「お前らは本当に懲りないな」とゴジラが、というより声なき人の声で聞こえてくる。そんな気がするのです。

本作の主人公、元特攻隊員である敷島(演者:神木隆之介)も言っていました。

「俺の戦争は終わってない」

正確な台詞ではありませんが、そのようなことを言っていたのが印象に残っています。
それは当時、戦争を経験した誰もが抱いていたかもしれない感情です。
平和になった日常で戦争の記憶がふと蘇って来る。
助けられたかもしれない仲間たち。空襲で跡形も無くなった家族、家。
忘れられない、辛く重い記憶。元特攻隊員でありながら生きながらえてしまった後悔……。

戦争を経験した人は戦争が終わった後も戦争のことを思い出す。例え社会的に戦争が終わったとしても、その人の中で戦争が終わることは無いのです。

主人公の心情がゴジラの使命と重なる、不思議な構造に胸がずしんっと重たくなりました。
そしてこれは何も、戦後間もない物語の中の人物達に限った話ではないのです。
今を生きる私達にも向けられていると強く思いました。

私達が生きる2023年、戦争は終わっていません。

『ゴジラ-1.0』の最後のワンシーンからも暗示されています。
エンドロールの、段々と近づいて来る足音も「次はお前達の番だ」と言っているみたいで……鳥肌が立ちました。

また、いつものことながらゴジラに立ち向かう登場人物たちが格好いい!
映画鑑賞中はずっと鼻をすすったり、涙を流してしまいました。周りにもそういう方が多かったように思います。

やっぱり非常事態に助け合える人間関係というのは心が熱くなりますね。
どんなに最悪の状況でも、もがいてあがく。時に衝突し、励まし合ってお互いの手を取り合う。人間ドラマからも目が離せません。
個人的には戦争を生き残ったことで負い目を感じていた人たちが報われるような展開に本当に涙しました。

戦時中は死ぬことこそ美徳だと言われてきた。だから今度は生きることを尊重したい。
そんな人々の強い意志を感じて、涙しました。
ゴジラを撃退する役目を引き受けるのは元海兵隊達なのですが、作戦参加は強制ではありません。しかも作戦内容も人命を尊重したものでした。
作戦立案者である、元兵器開発者の野田(演者:吉岡秀隆)は言います。

「これは明日を生きるための戦いだ!」

死ぬための戦いから生きるための戦いへと身を投じる姿に胸が熱くなりました。

ゴジラシリーズの楽しみのひとつとして、「ゴジラの倒し方」が挙げられます。戦力も装備も他国の助けもない戦後の日本。どのようにしてゴジラに立ち向かうのか……。その驚きの方法にも注目です。
また、余談ですが「ゴジラのテーマ」が流れるタイミングが素晴らしかった!今まではゴジラが上陸し、暴れ回る時に流れていたのですが……まさかあのタイミングで流れるとは。感動しました。

最後に、戦後処理の特殊任務を担う船長、秋津(演者:佐々木蔵之介)の言葉を拝借して終わりたいと思います。

「この国は変わらねえのか。いや、変われねえのか」

戦後と比べて現代の日本は、私達は変わっているでしょうか。
……ゴジラの足音が今にも聞こえてきそうです。

最後の最後まで楽しめる作品となっていますので是非、劇場で感動を味わってください!歴代のゴジラ作品と比べて観るのも楽しいかもしれません。

本日も最後までお読み頂きありがとうございます!




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