FA宣言は勇気ある実力者の証明

コブ山田です。
ようこそいらっしゃいました。

今回は、プロ野球選手のFA宣言・移籍について、記します。
加えて、自分自身のキャリア論についても言及します。

FA宣言しての移籍に対して、ネガティブな感情は持っていません。むしろ、よく勇気を持って決断・表明した、と、その選手に敬意を表します。
裏切りだなんてとんでもない。

ただ…
中学生初期までは、積み上げたお金で選手を引き抜く、汚いやり方だと思っていました。

小学生の時、中日ファンより巨人ファンの同級生が少し多かったように思います。実況パワフルプロ野球で遊ぶ時はチームがかぶらなくていいのですが、実際の試合となると、少なからずいさかいが起こります(笑)

落合博満がFAで巨人に移籍し、その落合さんも西武からFA移籍してきた清原和博と入れ替わりで退団。
巨人は、FAでスター選手を次から次へと獲得します。

先に釈明しますが、中日も1998年のオフに、福岡ダイエーから武田一浩を獲得しており、中日だってその積み上げたお金で選手を引き抜いていたわけです。ただ、それはそれで別問題として喜んでいました。

ところが、99年のオフには、広島の江藤智と福岡ダイエーの工藤公康が巨人にFAで移籍します。代わりに、広澤克実が巨人を退団。
辰年に連覇を狙った中日ですが、巨人には09勝18敗。ペナントレース中、中日打線は工藤を打てず、江藤には優勝決定試合で同点満塁ホームランを打たれてしまい、ますますFAが憎くなりました。

「なんだ、山本昌も立浪も移籍せずに頑張ってるんだぞ!」
と悔しがっていました。
2000年の中日新聞にも、巨人の優勝は悪いニュースだ、理由はお金で選手を集めた方法が気に入らないという意見が載っており、当時の私は何も考えずに同調していました。

そうして、2001年のオフには、前田幸長が巨人にFAで移籍しました。

はい、幼少期の私は、中日至上主義で、中日だってFA宣言した他球団の選手を獲得しているのに、その事実には知らんぷりの、自己中な子供でした。
ヤクルトから川崎憲次郎、横浜から谷繁元信が移籍してきて、やっと均衡感覚を得たのでした。FAは悪いことじゃない、チームを強くしようとしているんだ、と思うようになったのです。

時は流れて2007年オフ、プロ野球のニュースを見た私ですが、東京ヤクルト石井一久と西武和田一浩にはかなり好意的な評価をしていました。

特に、
「和田さん、かつてファンだったチームに本当に移籍してきてくれるとは!日本シリーズではやられたけど、03年前の敵は今日の友だ」
と感激していました。幼き頃の夢の職業を叶えた、素晴らしいことです。

ただ、ひとり、首をかしげた選手がいました。

「カープが大好きなので、つらかったです」

と泣きながら話した、新井貴浩です。

今でこそ、阪神の金本知憲と一緒に野球したかった、上がり続ける自分の年俸が広島球団の重荷になるのも感じたなどの事情を聞けば心情はわかりますが、当時はそんなこともつゆ知らず。私が広島ファンだったら、間違いなく激怒。端から見ていても、大好きなチームを泣きながらFA宣言して移籍するというのは、理解に苦しんだものでした。

ちなみに、FA宣言ではありませんが、東京ヤクルトから巨人にアレックス・ラミレスとセス・グライシンガーが移籍したことに関しては、

「巨人だから仕方がない。ただ、ケンカは発生するだろうな」

と思っただけでした。

さらに時計の針は進み、私は新卒就職の内定をいただきました。その2010年オフです。

横浜の内川聖一がFA宣言し、福岡ソフトバンクに移籍することとなります。その際、古巣の横浜に対して辛辣なコメントを発したことがいくつも明るみになりました。
恩知らずだと批判されるのが当然ですが、ただ、弱かった横浜には弱かった理由があったんだなと納得していました。いくら応援してくれるファンがいても、勝てないと張り合いがありません。
もし、私の就職先がブラック企業で、あまりにも意識が低ければ、内川と似た行動をとっていたかもしれません。
その後、2017年には福岡ソフトバンクと横浜DeNAが日本シリーズで戦いました。翌年の横浜スタジアム40周年記念動画に、内川が出演しています。



そんな内川のユニホームが、自宅にあります。

また時は流れて、2012年オフ。
これもFA宣言ではありませんが、中日から横浜DeNAに外国人選手が03人、移籍しました。

特に、04年間も中日の中軸を打っていたトニ・ブランコがあっさりと移籍したことに関して抱いた印象は、

「働く環境はとても大切だ。自分だってITベンチャーからヘッドハンティングを受けたら行く可能性が高い。それに、中日の指導者たちと関係が良好だったという話も聞かないし、本人がそれでよければいいことだ」

というもので、むしろ移籍に賛成だったのです。あの幼稚な子供も、このように変わったのでした。

このように、立浪和義や山本昌が中日一筋で現役生活を全うし、他球団からと言っても関川浩一のようにトレードで獲得したのを見てきたため、自分自身に当てはめても、他の環境を求めて自ら移ることには、あまり積極的な考えを持っていませんでした。谷繁や和田は例外。最初に選んだ場所、その選択に責任を持つ。辞めてしまうなんて耐性がないだけではないか、と。
その考えを長く持っていて、何より自身に実力がないからですが、2020年04月現在、転職経験はありません。

ところが、2017年のオフ、私に大きな影響を与えるできごとが起こりました。

北海道日本ハムの大野奨太がFA宣言!
しかも、かつてファンだった中日と結ばれるという、夢見心地の展開となりました。
北海道日本ハムで歌っていた応援歌が大好きで、歌えなくなった悲しみはありましたが、移籍は本当に喜びました。大野奨太のタオルと下敷き、自宅にあります。

一方、阪神の大和もFA宣言します。決断は、横浜DeNAへの移籍でした。
守備の評価が高い、珍しいタイプのFA選手でしたが、更なる出場機会を求め、新しい土地で勝負する…ハイリスクハイリターンなチャレンジをした大和、そしてそれを評価して迎え入れ、輝ける未来への道筋を作り出そうとした横浜DeNA球団に、心を打たれたのでした。

翌年も、広島から丸佳浩が移籍しましたが、好意的に見ていました。巨人がお金を積んだだのという話は聞きましたが、本人の意思で自分のキャリアをデザインできるのは尊いこと。ブーイングする人の気持ちが理解できません。

かつての私は泣いていたであろう、中日の選手がFA宣言した場合でも、残留を第一に願いますが、もし移籍が決まっても文句はありません。新天地で活躍できるように応援します。

「誠意は言葉ではなく金額」

って言っていただいて結構。
人間、変わるものです。


令和の時代になり、転職・独立は当たり前です。わかっていないことが多い新卒の就活で、その時に決めたことをずっと責任持ってやれは、いかに時代遅れな価値観か、恥ずかしながら最近になって思った次第です。終身雇用は、当たり前ではありません。昭和の高度経済成長期特有の雇用慣行に過ぎません。

2020年04月現在、具体的な話があるわけではありませんが、自分から新しい職場環境を求めて移ることへの抵抗・ためらいはすっかりなくなりました。
せっかくの自分の人生です。自分の自由でいい。ダイナミックがよければダイナミックでいい。私に耐性がないと思うのであればどうぞ。
もしかしたら、note執筆を重ねるにつれて、見えてこなかった世界が見えてくるようになるかもしれません。

そのため、自身の能力開発も、現所属の組織に貢献することを第一にするのではなく、自身の志向と社会情勢を踏まえて取り組み、結果として現所属組織に貢献できればいいという考えで勤しんでいます。
ただ、プロ野球選手は、現所属組織で居場所を作れることが優先で、それに沿った方法で能力開発しているであろうと思い、この点は、私と異なります。

そして、ひとつのチームから移籍することなく現役を全うすることも立派な選択だと思うとともに、FA宣言というハイリスクハイリターンな選択をしてチャレンジするプロ野球選手から勇気をもらい、一方で私も彼らを応援しながら、日々過ごしていきたいと思っています。

かっとばせ 大野

ありがとうございました。

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