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第6話:先を見る力を養うには

◾️ビジネス世界の崇高で深淵な教えを説く師“森に住む哲学者”と、“森を覗くリス”の物語。実話をアレンジしてのメタファーによって、リスが学んだ大切な「ビジネス哲学」をわかりやすく解説します。人生とは。リーダーとは。プロフェッショナルとは。難解なことを簡単に、簡単なことを誰にでもわかりやすく、をモットーに◾️

地球上に病が流行って、ビジネス森も例に漏れず、不穏な年月を過ごして2年になった。

実はビジネス森では、病が流行る7年くらい前から“森の哲学者”がリス達に語っていた。「次に来るのはパンデミックだ」と。

“森の哲学者”には先を見る不思議な力があり、その教えが常々あったので、リスは本当にその時が来ても慌てずに、淡々と粛々とすぐに次に移れた。その動きにはこれまでのことに固執しないしなやかさが必要で、リスはリス仲間の中で、恐らく一番早く動けて功を奏した。イメージし、シュミレーションして。

先を見る不思議な力。先見力

これはプロフェッショナルと呼ばれる“森の達人”が持っている、不思議なすごい力だ。
リスは、その力を持つためにはどうしたら良いのだろうといつも思っていた。

「君たちの世界(業界)の10年後はどうなっていると思うか?」

哲学者はある日、皆に聴いた。
皆、モジモジと押し黙った。

リスも、モジモジした。
(なんて答えたらいいんだろう?
毎日食べものを集めることに必死で、10年後なんて考えてもいない。
普通に、今のままでやっていけたらいい。
パッとしない答えなんかしたら、カッコ悪いし。)

哲学者は、誰ひとり答えないことを怒ることなく、
静かに微笑んで、その日の教えは終わった。

リスは思った。
先を見る力って、こういうことから養われるんじゃないだろうか。

答えの無い問いを問い続ける力。
哲学者は、それを知性というのだと教えてくれた。

そして、森の哲学者がまた現れる日を待った。
一所懸命に考えながら。

しばらくして、次の機会がやってきた。
哲学者が静かに深い面持ちで現れた。

リスは思い切って手を上げた。勇気を振り絞って。

「ボクが…、ボクが、
リスの世界の10年後を創るリスになります。」

森中がしーんとなった。

(うわっ、やっちゃったかも。
傲慢な奴だと、これでお払い箱か?仲間はずれか?

哲学者はボクの目を見て、優しく強く言った。

「リスよ、それでいい。そうだ!」

リスの人生は変わった。
リスの小さな世界観が音を立てて大きく変わった瞬間だった。

(続く)

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