川田十夢

新著『拡張現実的』。季刊『WIRED』で巻末連載中、J-WAVE 『INNOVATIO…

川田十夢

新著『拡張現実的』。季刊『WIRED』で巻末連載中、J-WAVE 『INNOVATION WORLD』が毎週金曜20時からラジオ放送、BSフジ『AR三兄弟の素晴らしきこの世界』がたまにテレビ放送。TECTURE、知財図鑑、テクノコント、BTC理事。要するに、通りすがりの天才。

マガジン

  • ミスターお題から考えるタイプ

  • 日本列島拡張論

    日本の問題点を洗い出したうえで、具体的な拡張計画について明文化。

  • 自閉症レトロスペクティブ

    3歳のとき自閉症と医者に診断されて普通の学校へは行けないと言われた。スイミングスクールや民謡教室へ通ううちに自信をつけて、普通の小学校へ行けたはいいけど、やはり自閉症の影は払拭しきれず。苦悩と思考実験を重ねながら、やがて生きる道が拓けてきました。かつての僕と同じように自閉症に悩んでいる当事者、そしてかつての母親のように苦しんでいる親御さんの参考になれば幸いです。

最近の記事

ニュー・トリコロール・ネイションズ

パリオリンピック2024の開会式、賛否両論いいですね。いやいや東京2020だって負けてないとか、ロンドンのほうが良かったとか。バルセロナのときの弓で聖火を点灯させたおじさんのメンタルいまさらどうなってたんだとか。意見はいろいろある。この反応こそ国際色。通りすがりの天才としては、フランスという国が受容する美的感覚に、国民感情の豊かさに、現代になってもなお色濃く残る市民革命の余韻に。ただただ感動、爆笑したというのが率直な感想だ。メディアもSNSも、どこか断片的で直列つなぎのイメー

    • BUCK-TICK 櫻井敦司さんが司っていたものについて

      櫻井敦司さんの急死2023年10月19日の午後6時30分、BUCK-TICKが横浜市内でファンクラブ限定のライブを行っていたところ、曲の途中で体調不良によって救急搬送。その日の午後11時9分、脳幹出血で櫻井敦司さんは亡くなりました。享年57歳。心よりご冥福をお祈りするとともに、このシンガーソング・タグ・クラウドを櫻井さんとBUCK-TICKのみなさん、そして今も変わらずBUCK-TICKを大切に思っているあなたへ捧げます。 シンガーソング・タグ・クラウドとは?音楽と接続した

      • パパになったら、メロウな立ち話が増えた。

        生活感がないですね。よく言われてきた。実際のところ、生活感というよりは生活そのものがなかった。四六時中、新しいアイデアを探して実装手段を試してきた。何かを犠牲にしないと、何も生み出すことはできない。パブリックイメージはもう少し温和かもしれないけど、実際の僕にはそういうところがあった。AR三兄弟の次男三男とさえ、プライベートな話はほとんどしてこなかった。開発と関係ない話は何もしてくれるなオーラが満載だった。 2022年12月7日、僕はパパになった。生放送のラジオで伝え、SNS

        • 未練を胸に、何度でも。

          ヴァーチャルドリカムの拡張をイノフェス2022の舞台で果たした。セガを代表するゲームのキャラクターであるソニック、サンライズ(バンダイナムコ)を代表するモビルスーツのガンダム(G-セルフ)、そして日本の音楽の金字塔を建ててきたDREAMS COME TRUEの中村正人さんご本人が六本木ヒルズの特設アリーナに登場。豪華な演出が続いた。ドリカム楽曲のクオリティの高さに改めて驚いたし、普段隣り合うことがない次元を融合できてひと安心。多くの観客、そして配信視聴者にとってはどうだっただ

        ニュー・トリコロール・ネイションズ

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        • ミスターお題から考えるタイプ
          3本
        • 日本列島拡張論
          6本
        • 自閉症レトロスペクティブ
          4本

        記事

          よくわからないねじの正体

          深堀りという言葉があまり好きじゃない。言葉の意図とは裏腹に、悪い意味で軽薄な感じがする。何かにハマることを軽やかに沼と表現するのも同じ。好きじゃないけど、コストパフォーマンスを示すタイプの用語を使わないと引きがない現代の都合もわかる。何しろ情報が多い。不可分所得が少ない。税金は安くない。自由な時間が足りない。生きるためのコストが高過ぎる。 コスパなんて略称がまだ存在していなかった頃、下らないものをたくさん観た。そのなかでも最高だったのがシティボーイズのコントで、横殴りに登場

          よくわからないねじの正体

          表現は不器用な人のものでもある。

          昨晩、元たまのランニング(厳密にいうとパーカッション)の石川浩司さんとラジオで話した。石川さんは、器用なタイプではない。小さい頃、図工の彫刻刀を使ったら血だらけになっちゃうし、体育の授業では準備体操がひとりだけ動きが違うと笑われた。この笑いが、石川さんにとっての光になった。不器用な自分を笑ってくれる人がいるならば、みんなが楽しくなるような不器用を目指せばいい。そこから石川さんの表現は始まった。やがて、石川さんが中心になって結成したたまは、社会現象を生み出すほどの人気となった。

          表現は不器用な人のものでもある。

          鍋をかぶるおじさんの自由

          ラジオが好きです。インターネットも同じくらい大好きです。たったひとりの声を届けたり、聞いたり、読んだりすることができる奇跡的なメディアだからです。ここに残すのは、ラジオで話すためにまとめておいた原稿。放送に収まりきらないところがあったのと、鍋をかぶったおじさんについても補足したいところがありました。 ラジオといえば、いまだに引っかかっていることがある。2022年3月14日放送のラジオ番組、テリー伊藤さんが、日本で通訳をやっているウクライナ人のオクサーナさんと交わした会話。テ

          鍋をかぶるおじさんの自由

          名刺代わりのごあいさつ

          名刺ネタが各所で人気だ。現段階でフォロワーが800人くらい増えた。1日で名刺を800人に配るのは大変なので、開発してよかった。 映像の再生数は公開して1日でうっかり45万再生。膨大に寄せられた感想のなかで「これはただの映像ギミックに違いない」みたいな、クオリティを逆に裏付けるコメントがあって嬉しかった。一応リアクションしておくと、僕らは開発ユニットで映像ユニットではないので、映像ソフトなどで作ったギミックではネタが完成しません。実際にアプリケーションとして動くものを実装し、

          名刺代わりのごあいさつ

          バカになれない人たちへ

          自分を重たく見せることだけが人生の最終目標の人がいる。決まって偉そうなんだけど、その偉さの根拠があまりない。不確かな分、表面的に気を使ってもらっている状況を好む。周囲も、面倒くさいからそうしてるだけなのに。かと思えば、誰々さん知ってるからさ。自分の言うこと聞かないと痛い目にあうよ。こんなうっすらとした関係性と脅迫だけがキラーワードだと思っている。国家元首から国民に至るまで。思い当たる人、あなたの周囲にもいませんか? そこまで極端じゃなくても、自分をかっこよく見せたいだけの人

          バカになれない人たちへ

          ボーイング767の機長と、まるで長いフライトをともにした副機長の気分だった話。

          JALが好きだ。海外も国内も、時間さえ合えばもれなくJALを利用している。機内食は工夫を凝らしているし、機内サービスにも抜かりがない。シートも清掃が行き届いており気持ちがいい。ロゴのデザインも洗練されている。ピンバッジを持っている。空港で旅客機が飛び交う様子をビールを、飲みながらただ眺めるのも好きだ。まだ大手を振って遊びに行けるタイミングではないけど、旅行のシーズンが開幕したらまた利用したい。旅客機周りの航空工学も、開発者としてはネタの宝庫だ。1994年に初飛行を遂げたボーイ

          ボーイング767の機長と、まるで長いフライトをともにした副機長の気分だった話。

          拡張現実が、有象無象を扱えるようになるまで。

          AR三兄弟をはじめたのは2009年夏。ARという、当時はまだ目新しかった要素技術に可能性を感じて、10パターンくらいのネタを開発したのがはじまり。TシャツからTwitterアイコンとつぶやきが飛び出してきたり、ARマーカーから鳩がアニメーションで飛び出してきたり、漢字のマーカーを組み合わせたカンジブル・コンピューティングを発表したり。デモ動画として記録に残っているだけでも400以上のプロトタイプを開発してきた。開発環境は、WebカメラとFlashを組み合わせたものからスタート

          拡張現実が、有象無象を扱えるようになるまで。

          支援の矢印を可視化する。

          思考停止という言葉で政治的に牽制してくる人がいる。決まって声がデカい。一人称もデカい。やたらと国家という名称を連呼してくる。大声をあげるでもなく、僕はいち個人として静かに反論する。そりゃ、停止することもあるでしょう。数々の厄災、祈ることしかできない状況だ。人間が祈りを捧げるとき、ただ思考停止しているわけではない。次なるアイデアや行動へ向けて、バッファを貯めている。それが貯まるまえに行動するのはむしろ危険で、そういう軽率な行動が新たな諍いを起こすケースを何度も見てきた。国内で小

          支援の矢印を可視化する。

          (問題に反応する)時間ですよ

          ジェンダーをとりまく問題。番組やイベントの司会を通りすがりにやっていると、どうしても重たく取り上げてしまいがちな話題である。マイノリティとして虐げられてきた人たちの存在、男か女か。白か黒かをはっきり出さなくてはいけない時代は確かにあった。とはいえ、過去のことを声高に、かつ一方的に話をされても会話にならない。現在形でまだ制度的な問題があるにせよ、具体的にどうして欲しいのか冷静に教えてもらわないと、反応ができない。男性すべてが現行のシステムを全肯定しているわけではない。バランスの

          (問題に反応する)時間ですよ

          ZOOM飲み会 vol.2 ナイスミドル(任意)

          だいたい一ヶ月前に『やったことない人だらけのZOOM飲み会』というのをやりまして、たのしい時間を過ごしました。ただ、僕がひとり司会みたいな感じで進行したので、用意したお酒をうっかり飲む時間がなく、大量にお酒が残りました。なので、日本酒とホッピーのストックが無くなるまで、あるいはパンデミックが落ち着くまでは連続的にやろうと思います。日時は2月24日(木)20時から22時くらいまで、前回参加した人も参加できなかった人も、以下の条件に合えば参加可能です。 第2回目のテーマは、『ナ

          ZOOM飲み会 vol.2 ナイスミドル(任意)

          お金と想像力、その続き。

          小学生のとき、自宅のマンションの壁に絵を描いたことがある。直前まで賃貸のボロボロのアパートに住んでいた。自動販売機でジュースを買うのが憧れだった。ファミレスに行ったことがなかった。友達の家のカルピスは格別に濃厚だった。両親が苦心してお金を貯めてようやく分譲で購入した新築マンション。その真新しい壁によく描かせてもらったなと、ローンを自己責任で背負えるようになったいま改めて思う。画用紙に絵を描くのとは異なる、大胆な書き味に子供ながら興奮した。自分の想像を現実に描き込んでいる気持ち

          お金と想像力、その続き。

          やったことない人だらけのZOOM飲み会

          電車乗ってて、ふと「(この車両、雰囲気いいな)」「(みんなでこのまま車両倉庫という名の宴会会場に突入してそのまま朝まで飲みたいな)」思ったことないですか?入試会場とか就職の面接とか。会社の受付のロビーだとか。大きなイベントの直前の舞台袖とか。ちょっと固くなりがちなムードと出くわすと、「(軽く飲みにいきますか!)」って気持ちになる。世はパンデミックの最中だし、リアルでこんなこと言い出したらサンデーモーニングの関口宏のように吊し上げられるに決まってる。でも、リモートだったらどうだ

          やったことない人だらけのZOOM飲み会