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約束する、余すことなく使い果たすと


逆さに数えて残りを測っているの
確と最期から指折たったいままで
使い果たすのさ 今生のすべて
さまよえる心よ 振り返る勿かれ

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ああ打ち勝つさ 焦燥を呑込め
先立った頭よ 間違える勿かれ
斃る日に 丁度 終わるように
いまは何ひとつ 諦められない
椎名林檎, 『逆さに数えて』

何曲もあってはおかしいのかもしれないが、私のテーマソングといえる音楽のひとつ。『逆さに数えて』に限らず、椎名林檎はいつだって、命を存分に使い果たしていく覚悟を歌っている。

いつか終わりを迎えるとわかっているから、惜しむことはできない。勿体ない、生きることを節約している暇がない。ほんとうに、心の底からそう思っている。

太陽で光合成をするように、自身の英気となるような養分を見つけては満たして力に変えていくけれど、ふとした時に傷つけられて、ひゅんと心が抜け落ちてしまうような時もある。生き尽くすって大変だ、思うようにならない瞬間を何度も越えていかなくてはいけない。

昨日私はまた、ゆたかさの充電をした。ひとの力で紡がれた物語を目の当たりにしたら、心はぐっと包まれた。芸術の美しさを受け取る準備、いついかなるときもできている。おかげで潤いを保つことができるから、そんな自分で良かったと思っている。でもそれって当たり前じゃないよね、私はたしかに恵まれている。結局自立と自守の基盤が整っているから、足を明日の方向に進ませられるのだ。感謝しよう、ありがたいと思って、自分の人生を大切にしよう。誰かのかなしみを肩代わりすることはできないから、私はとにかく命を使い果たすように生きていく。


与えられやがて奪われる
そんな風に僕らは出来ている
込み上げる想いがあるだろう
叫べばいい 君は美しい
椎名林檎, 『孤独のあかつき』

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