晴れ、どしゃぶりの合間
ついに夏の兆しが見えた。冬より夏が好きで待ち遠しいくらいだったのだけれど、いざ迎えてみると身体がどろどろと溶けそうな暑さが記憶に蘇って少々身構える。それでも今日を照らす爽やかな明るさは何にも代え難い。
GW前からの不調を持ち直してはぶりかえして、なんとなく落ち着かない5月を過ごした。そうしてようやく悩むことに疲れた、飽きた。気持ちの良い日々を取り戻したくなり、勢いをつけて自分を励ましている。お気に入りの本を読み返したり、映画を観たり、お菓子を焼いたりした。少し先にたくさん楽しみな予定を詰め込むこともした。
「今を生きる」という言葉はすてきだけれど、ひとあしふたあし未来の毎日に焦点を当てる方が生きやすいフェーズにいるようだ。明日に胸ときめかせられるように、今を超えていけばいい。そんなマインドでなんとかかんとかやっている。
午前中に用事がありすこし早起きをした。ここ数日上手く眠れていなかったが、ようやく睡眠に成功したらしい。心地よくスタートできたおかげで、「ご褒美の買い物」に気持ちが乗った。
なにかしらで調子がよくないとき、私は自罰的になりやすい。「自分を甘やかしている場合じゃないのでは」と嗜める声が聞こえて、目の前のタスクに切なく視線を落とす。けれど今こそ "甘やかすべき場合"のはずだ。普段なら躊躇ってしまう数字が並んだ値札も、目の端に追いやってお会計を済ませた。いずれいずれ、と立ち寄ることを先延ばしにしていたアクセサリー屋さんで、お気に入りの指輪を見つけられた。包んでもらわずそのまま人差し指にはめて、一緒に帰路についた。
なんと明るい気持ちだろう。ほんの少し前まで、びしょびしょの枕で眠っていたというのに。明日からまたみぞおちがキリキリと痛むのかもしれない。それでもこの明るい日差しはきちんと私に味方してくれる。
いいんだよ、爽快に生きてしまえば。その通りだとひとりで頷いて、夕飯のレシピに想いを巡らせる夕方。
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