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いちばん好きな季節をくらして、

今日のこと。
8時に目覚ましをかけて、20分ほどうとうとしてから起きた。もそもそと動き出してパンを焼き、グレープフルーツも食べた。10時からNPOのスタッフたちと打ち合わせがある。画面を挟めばごまかせる程度の化粧をして、コーヒーを飲みながら昼過ぎまでプロジェクトについて話をした。

お昼はラポッキを食べると決めていた。スープから自分で作ることも多いけれど、今日は戸棚にある市販のストックを出した。ただこれ、2人前。毎回「まあいけるでしょ」と挑んでは食後動けなくなる。夕飯は食べなくてもいいか、ということにして、ぐつぐつ赤いスープを煮立たせる。葱と、ゆで卵と、ベーコンを乗せた。この組み合わせが個人的にだいすき。コチュジャンベースの甘辛い味は定期的に食べたくなる。ちょっと汗をかく。だめだ、おなかぱんぱんだ。しかしなぜか冷蔵庫のコンビニスイーツに手を出す私。正真正銘追い込まれ、這い上がるようにベッドにのり、身体を斜めに寝かせてため息をつく。ふう

スマホ片手にYouTubeを見ながら、なんとなく意識は別のところへ飛ぶ。今日は思ったより過ごしやすいなとか、韓国料理をお店で食べたのいつが最後だったっけとか、助成金集めるの難しいなとか。顔が見えないやりとりってやっぱり不安になるなとか。でも私今心に波風立つことないみたいだなとか。1.5倍速で流れる番組と並行していろんな気持ちがすうーと飛ぶ。穏やかさと、寂しさと、居心地の良さ。度を越した満腹だからしょうがない、今日はこのまま過ごすしかないのだ。

コンディショナーがそろそろなくなる。17時手前になって買い物に出る。夜はたぶんなにも食べられないだろうけれど、一応スーパーにも寄る。トマトを欠かしたことがない。今日は128円、少々お高い。

夕飯を作らなくていいならこのまま映画タイムに入れると気がつく。『溺れるナイフ』だとピンとくる。咽せ返るほどの激情が原作には詰まっていて、キャスティングに満足しつつも実写は観ていなかった。小松菜奈ちゃんがだいすきなのである。観てよかった。でも、人成らざるものの空気はさすがになかった。みんな人間だった。そういう意味で観てよかった。(ただこれ、原作知らないと意味わからないんじゃないの?)

お風呂を沸かした、今日はユーカリの入浴剤にした。一人暮らしだけれど、潤沢に、頻度よく湯船に湯を張るようにしている。ここ数年、代謝が急によくなった気がする。汗が滴るまでの時間がどんどん短くなっていく。本を読むか、スマホで文字を追うか(依存症)、ぼーっとしている。蒸気の中で、ふと大学生の頃の自分を思い出した。

当時人前に立つ仕事をしていたけれど、自分自身が、特に外見が商品であるということが小さな棘になっていた。他人に評価され続けるうちに、コンプレックスがよりコンプレックスになっていく負の構造がある。今や趣味として筋トレをするけれど、昔は「そんなことより今すぐ魔法で脚痩せしたい」と思っていた。努力がある日急に成果を生むというタイミングがあるけれど、あの頃は「その日を待つ」時間がとてもとても不安だった。すぐ手にできないものは、保証がない。頑張ったとてどうにもならなかったら、私どうしたらいいんだろう。

今はそういう気持ちもだいぶ減ったな〜というふうに気持ちが帰結した。それと同時に、関わる少女たちのことが頭に浮かぶ。自分が何かを達成できると思わない、一人で勉強する方法を知らない、心の預け先がわからない。そんなみんなの姿を振り返る。彼女たち自身の未来への信頼の薄さは、大学生の頃の私の不安と近いものがあるのではないかとふと思った。なにが待ってるかなんて、なにになれるかなんて、わかんないもん。幸か不幸か、現代スマホを開けば「たった今の気持ち」を満たせるコンテンツがたくさんある。でも私は彼女たちの"これから"も一緒に考えていきたい。簡単じゃないなと思う。でもできることはあると知っている。

さすがにお腹がすいてきてしまう。しかしすでに21時を回った。ひとまずお風呂を出てスキンケアを済ます。冷蔵庫の中を一旦眺めて、胃をプロテインでいなすことに決める。腹持ちのいい牛乳で溶かして、髪を乾かしながらチョコレート味を飲み込む。あーあ、野菜あんまり摂らなかったな、でもサプリとプロテイン飲んだからいっか。熱をもった髪の毛を梳かしながら、ベッドで文字を並べている。

そのままの私を放出する土曜を過ごした。想いは時にあたたまって、腹の具合によって平坦に戻される程度に左右する。心地よい日だった。ずっとそうであるといい。自分と誰かに意識が行ったり来たりできるといい。他人に触られるように、髪の毛先を撫でてみる。コンディショナー間に合ってよかった。

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