澄み切った青空 睨みつける
シャララ ガムテープ 貼りつける
人で賑わう駅前で
自分好みの10代の少女を襲う妄想をする
髪は短めで ややでこっぱちで
赤い帽子をかぶっていて
見るからに明るくて活発な少女
僕は衝動的に走り出し
その少女に抱きついた
抱きついた瞬間 僕が今まで感じることのなかった
少女の蛹のようなあたたかさ
蝶の羽のようなやわらかさ
睡眠欲みたいな匂い
それと 後悔 絶望
でも もうどうなってもいいや感
遅れてほんの少しの罪悪感が
僕の身体の細胞のすべてを満たした
冬らしからぬ 澄み切った青空
僕と少女の 冬らしからぬ体温の上昇は
僕たちを照らす太陽の他にも原因があって
なんて思っていたときには
すでに少女は絶叫し 必死に抵抗し
周りの人たちがイノシシみたいに
こちらへ向かって走ってきやがった
2秒ほど 少女を抑えながら咄嗟に考える
こっから逃げるのは無理か
ただでさえ僕は力もないし足も遅いというのに
少女を抱えながら逃げるなんて無理だ
じゃあキスしたい せめてキスしよう
少女を抑えていた腕の片方を使って
無理やり顔をこちらに向けさせて
キスしよ と言った
当然というか 少女は全力で嫌がった
ので無理やりキスしようと顔を近づけた
そこまで妄想してやめた
僕には女性の唇の感触が分からない
多分僕の人生を一本のレールにたとえるとして
そのレールをまっすぐに進んだとしたら
女性とキスをするような機会なんてないだろう
そういう人生の歩み方をしてきた
そして これからもきっとそうだろう
澄み切った青空 睨みつける
シャララ ガムテープ 貼りつける
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