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これからの地域コミュニティのために知っておきたいこと。

「昔ほど近所付き合いが無くなったよね」

と言われるようになって随分と時間が過ぎ、時代も令和に変わった。

映画ならALWAYS三丁目の夕日、漫画なら海街dairyに描かれているような暑苦しくもどこかホッとするような光景を浮かべる人も多いと思う。

このような光景が少なくなったなどと感じるのは、情報発信元であるメディアのほとんどが都会をホームグラウンドとしているからだと思うが、

人口そのものが減っている日本で、地方においては若者の流出に歯止めが効かないために、全世代が揃う地域コミュニティも目立たなくなってきているのかもしれない。

地域コミュニティに求めるモノ

僕が小学生くらいの頃はテレビとかでも「近所付き合いは面倒臭いし、古い価値観」と発信していたように思う。

利便性を最優先し、経済成長こそ国の発展と捉えてきた昭和の感性をひきずる形で不況の平成を終えた日本だが、

ここにきて、利便性の追求だけでは何か不足していると感じる人や、どこか違和感を感じる人が「やっぱり地域での人間関係に幸せがあるよね」と言っているように思える。

一個人の生活においても経済成長が色濃く存在した世の中で、定量的な損得や価値・無駄という考え方に疲れたようにも聞こえる。

身近な地域コミュニティに所属するのは、他人同士が距離の近いところで過ごすので当然面倒なこともあるが、それよりも日常生活で実感することができる「損得ではない、つながりによる安心」が目的ではないだろうか。

魅力的なコミュニティとは。

僕は人が集まる時、大きく2種類の集まり方があると思う。

①集まることが目的である”グループ”
②目的達成・課題解決のために集まる”チーム”

これはクジラ/SEKAI HOTELでも組織論として口酸っぱく言っていることであるが、①で取り組むことは「グループワーク」で、②で取り組むことが「チームワーク」である。

SNS上であれ、リアルな場面であれ、今の時代「共感」が無いと人は集まらない。テーマのもとに集まった人たちが、主体的に活動しているチームになっていないと魅力的なコミュニティとは言えない。

つまり人々に求められるコミュニティの特徴がグループではなくチームに変わったのだ。

SHOWROOMの前田氏も「スナックこそコミュニティビジネス」とし、優れたコミュニティの条件のひとつとして「共通目的を持つ」というのを挙げている。

お店と客という境界線を越え、洗い物をするお客さんもいれば、客同士が協力してスナックのママを助けるなんて場面も見られる。

主体的にひとりひとりが活動するチームと言えよう。

“所属”から”参加”へ

地域においても会社においても、昔のコミュニティでは「所属」に目的があったのではないだろうか。

しかし、現代では自分のコミュニティを容易に選ぶことができる。

終身雇用の概念も希薄になり、転職もしやすい時代である。プライベートにおいても様々なコミュニティに参加することが可能になった。

魅力の無いコミュニティに人を留めることはできないということだ。

こうして“所属”が重要視されていた時代から、所属を手段として何かのテーマにアプローチすることを重要視する時代に変わった。


選ばれる努力。

“コミュニティをつくるホテル”であるSEKAI HOTELでは、観光をフックにより多くの人に、より強く共感されるテーマについて試行錯誤を繰り返している。

地方創生に興味を持ってからたくさんの視察や研究を続けて、地方における“観光”の持つポテンシャルは理解したが、「消費・消耗は本当に豊かさを生むのか」という疑問が生まれた。

観光客は"まだ訪れたことのない観光”を追い求め、ガイドブック頼りに観光コンテンツを片っ端から消費している。

常に観光客を呼び込むことに、地域住民はアイデアも労力も消耗し続けている。

そんな中でこれからの観光は、消費・消耗し続けるような観光ではなく「共存する観光」を目指すべきだとSEKAI HOTELは考えている。


帰りたくなる街、応援したくなる街というものを旅行をきっかけに見つけていき、現住所・出生地・職場以外にも自分の居場所を見つけることはこれからの旅行のトレンドになるだろう。

地域の日常にフォーカスしたORDINARY MARKET
https://ordinary.sekaihotel.jp/

日本全国のまだ見つけてもらえていない地域の魅力をSEKAI HOTELが発掘し練り上げることで、多くの人が共感する「応援したいテーマ」に昇華させたい。

地域の人でもいいし、初めてその地を訪れる観光客でもいい。

地域の未来に一票投じるような感覚で、このコミュニティの一員となってくれるきっかけを創出したい。


すべての人が主役。

誰かが掲げたテーマに共感した人が集まるチーム。ここでは世代や経験ではなく、強い共感性が全員を主役にする。

そんな中でいつの間にか“集まること”そのものが目的にすり替わってしまい、チームがグループ化するのは絶対に避けなければならない。

そして、昔のコミュニティのように特定のリーダー層に管理されるのではなく、自分自身の意思で選んだテーマの元で、主体的に未来を目指すのである。

これからの地域コミュニティはいかに魅力的なテーマを掲げ、集まった人たちをチームビルディングできるかが鍵となるだろう。

ここでは強固なルールではなく、共感によるマネジメントが必要である。

地域コミュニティを新たに作ると言うのであれば、自分自身がテーマの代弁者として強く共感される姿勢を見せなくてはならない。


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