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PR・広報担当は、もう4P分析を卒業しなければならない。~PR施策で売上を上げた企業の事例を添えて~

はじめに

みなさん、こんにちは。
マーケターの中には、もう4P分析なんて古臭い!と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、PRの領域においてはなぜか4P分析思考が色濃く残っていると感じたりします。もしかすると、古臭い話していると感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、PR・広報活動をするうえで注意すべきことも記載しましたので、温かい目でご高覧いただけましたら幸いです。

多くの人は、PRを勘違いしている

このnoteでは何度も聞いてしまっておりますが、PRは何の略かご存じでしょうか?

残念なことにいろいろな誤解があり、PRは3つの解釈が存在していますが、本来PRはパブリックリレーションズの略でしかありません。過去以下のように説明はしてますが、このスタンスは変わっておりません。

プロモーションとパブリックリレーションズは、まったく別物です。そして最近注目されている手法も、パブリックリレーションズです。カンヌのPR部門ができたということが証明です。このPRは当然パブリックリレーションズの略です。

4P分析は、PR施策には合わない

マーケティングの超基礎分析 4P分析

実はマーケティング戦略を考えるうえで定番の4P分析ですが、PR・広報担当者はこれに流されてはいけません。パブリックリレーションズは、そもそも先述の通りプロモーションの略ではないですし、プロモーションだけに使われる施策ではないからです。
のっけから、ハテナ飛ばしちゃったかもしれません。4P分析をいろいろ調べると、やはりプロモーションの部分に「PR」と明記されていますから。いや、間違ってないんです。売り方を考える、という意味で言えば間違ってないのですが、この考え方してしまうと、結局パブリックリレーションズは、販促活動の域を越えないんです。それってとてももったいない。パブリックリレーションズの思考術を用いて成功している企業はみな、売り方という意味では使っていても、プロモーション(販売促進)だけにフォーカスしてません。

4P分析の最大の落とし穴とやるべきこと

PR・広報の担当者はなぜ、4P分析に流されてはいけないか。それは4P分析が企業側の視点分析だからです。パブリックリレーションズを担う方は、そもそもコミュニケーションで情報を広く届けることが至上命題です。コミュニケーションとは相手あって成り立つものなので、当然企業本位の情報だけで関係を良好にすることは不可能です。それはただの、価値観の押し付けです。
PR・広報担当者がしっかり整理すべきは、4Pではなく、4Cでの分析になります。4P分析が4C分析に移行していると言われていますが、皆さんの企業ではどうでしょうか?4Cに則って話ができているでしょうか?

4C分析とは

4C分析の説明はほかの方が丁寧にしてくれているので省きますが、簡単に言えば顧客側視点でマーケティングを捉えるものです。

  • 顧客価値(Customer Value)

  • 経費(Cost)

  • 顧客利便性(Convenience)

  • コミュニケーション(Communication)

この4つの総称です。PR・広報担当こそこちらの目線でステークホルダーと対話をしなければなりません。詳しく見ていきましょう。

① 顧客価値

4Pでいうプロダクト(Product)に呼応するものです。その商品は、顧客にとってどんな価値があるか?を言語化することが求められます。つまり、「これはどんな商品ですか?」という質問に、自社視点で回答するか、顧客視点で回答するかが相違点です。みなさんは商品を顧客価値で語れているでしょうか?プレスリリースを今一度見直してみてください。多くはない量の自社視点リリース=オレオレリリースが存在しています。いいリリースは必ず、顧客視点で、相手の気持ちを慮った文章になっています。メディア掲載を獲得したいと考えている担当者は少なくないと思いますから、まずご自身が書いたリリースが顧客視点で書かれているか、今一度チェックしてみてください。

② 経費

4Pでいうプライス(Price)に呼応するものです。企業が設定した価格が顧客にどのような影響を与えるかを考慮しながら設定すべきと、多くのマーケティング指南書には書かれています。つまりこれは価値観の値付けです。自社視点だと価格以上の会話は成り立ちませんが、顧客視点で語ると、そこにどんな価値があるのか?を語るようになります。敏腕カーディーラーさんが車を、移動手段ではなく、生活を豊かにするものとして販売すると言われているように、その商品に一体どんな価値があるのかを語るかどうかで、魅力の伝わり方は異なります。

③ 顧客利便性

4Pでいうプレイス(Place)に呼応するものです。顧客にとってその商品はアクセスしやすいか?手に取りやすいか?検討しやすいか?を検討すべしと指南書には記載がありました。PR・広報担当者が流通部分を担うということはないと思いますが、ブランドサイト内のアクセシビリティ、SNS投稿からのリンク推移など、コミュニケーションにおけるアクセシビリティの確保は考えておくべきです。
例えばメディアで紹介されたとして。例えば顧客がSNSで商品を紹介してくれたとして。その情報に触れブランドサイトを訪れたときにちゃんと購入しやすい内容になっていますか?ここがおざなりだと、せっかくのメディア掲載も、せっかくの紹介も、水の泡です。しっかり両輪で考えるようにしましょう。

④ コミュニケーション

4Pでいうプロモーション(Promotion)に呼応するものです。もはやこれが言いたいがためにこのnoteを書いたと言っても過言じゃありません。そうなんです。PRはコミュニケーションの施策であり、断じてプロモーションではないのです。指南書には、どのようなツールで顧客と接点を持つのか、円滑なコミュニケーションとはどのようなものかを顧客視点で検討し、質問や相談のしやすい関係を構築することがポイントと書かれています。めっちゃPR視点だった!最近のマーケティング理論でコミュニケーションというキーワードが出てきているわけですし、そろそろPR=プロモーション、ではなく、顧客とどうコミュニケーションをとってどう売るのか?という視点で考えるようにするべきです。PR・広報担当者は、このコミュニケーション施策のすべてを担うわけですが、必ず対話を意識してください。プロモーションだと思うと、結局オレオレな情報提供になってしまいます。それは対話ではないです。

対話量は、売上に寄与する

さてここで、事例を見てみましょう。対話なのか単なる価値の押し付けなのかは、事例を見れば一発でわかると思います。

① 味の素 冷凍餃子「手間抜き論争」

言わずと知れた…だと思ってはいるのですが、PRアワードグランプリ2020のシルバー受賞作品です。これぞまさに、コミュニケーションの量を増やしたことで、売上を増やした事例です。冷凍餃子なんて手抜きじゃないか、と言われたとある主婦のつぶやきに即座に反応。「手抜きじゃなくて、手間抜きです」の公式ツイートは瞬く間に広がり、共感を生みました。施策の中で商品を紹介することはほとんどありません。手間抜きであることを強調し、対話することにコミットしています。ここまで商品出さない決断も素晴らしいのですが、まさにこれがコミュニケーション。生活者としっかり対話をすることで対話量を増やし、ゆえに情報露出量が増え、メディアでも紹介され、そして商品好感度が上がり商品売上が増えた。これは、すべての企業が真似をしてほしい事例です。

② クラシエ薬品「人にやさしくなるゲーム」

https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/CP2021/LP.html

このコミュニケーション施策は、法律上効果効能が直接的に謳えないというハードルをうまくコミュニケーション施策に昇華し話題を生んだ好事例です。誰にもいえない悩みを、家族や友人、パートナー、親しい仲の人たちとゲームを通して共有することで、ダイバーシティ社会を考えさせるという、コミュニケーションの範囲の広がりも感じさせる事例でもあります。詳細はアドタイでも掲載されておりますので、ぜひご覧ください。

③ HEINZ 「HOT DOG PACT」

海外事例も一つ。こちらはケチャップで有名なハインツのPR施策で、2022年のカンヌPR部門のシルバー受賞作品です。

ホットドッグのウインナーは通常10本入りで販売。一方パンは8個入りがスタンダード。2本ウインナー余っちゃうじゃん!というコミュニケーション施策を、まるで政治プロパガンダのように表現。なんとこの施策、結果として、パンとウィンナーの比率が夕方のニュースにOAされ、3万人の署名を集め、パン・ソーセージメーカーが対応を迫られる一大論争を巻き起こしました。いやはや、ほんとに一大事。
こちらも元々はtiktokでの投稿から始まったそうです。海外事例は広聴からの広報がお上手。ハインツはほかの事例も面白いのでぜひ見てみてください。

パブリックリレーションズは面白い!

いかがだったでしょうか?コミュニケーションを用いたパブリックリレーションズの施策は、面白そうなものが多いですよね?生活者はじめ、ステークホルダーと良好なコミュニケーションをとる方法は、まず自社目線からの脱却と、顧客目線化の訓練です。スタンスが変わればコミュニケーションが変わります。アメリカの心理学者、ウィリアム・ジェームズの名言にもこうあります。

心が変われば行動が変わる。 行動が変われば習慣が変わる。 習慣が変われば人格が変わる。 人格が変われば運命が変わる。

PRの考え方が変われば、行動が変わってきます。ぜひ試してみてくださいね。ではまた。


私のプロフィール

リクルート関連会社で求人広告の企画営業、カフェプロモーションの企画制作会社でのシニアアカウントエグゼクティブを経て、ブランドプロデュースカンパニー株式会社マテリアル入社。化粧品/日用品メーカーの新商品販促企画、PRディレクションを経験。クリエイティブやプロモーションと連動したPRコンストラクチャーを得意とし、PRに紐づくクリエイティブディレクションも行う。現在新規事業を推進するため、株式会社CONNECTED MATERIALに出向し、広報とメディアとのマッチングプラットフォーム「CLOUD PRESS ROOM」のカスタマーサクセス責任者、広報アドバイザー、PRプランナーという顔つきで従事。

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