PR(パブリックリレーションズ)を深堀し、言語化してみた!
PRって、ほんとゆるふわ!
PRという施策(領域)というのは、本当に形がなく、つかみどころがない、かなりふわふわとしているイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。というより、そこまで厳密にイメージを持っていない人のほうが多いかもしれません。私もその一人でした。本を読んでもいまいち理解しづらいとも感じておりましたが、最近一定まとまってきたので、ご紹介したいと思っています。
◆この記事が必要な方はこんな方
ー PRという施策がなんのことかわからない方
ー 今「PRがプロモーションや広告の略」だと思った方
ー PRを正確に言語化したいと思っている方
といったように、広告関連業界に携わっているすべての方が対象となります。
お決まりですが、「PRとは?」
公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会が定めるPR(パブリックリレーションズ)とは、によると、組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方である、と定義されています。駒橋恵子先生がしっかりまとめてくださっておりますので、学術的な観点でいうPRは、こちらをぜひ読んでください。
PR=社会課題解決?
PRとは、望ましい関係を創り出すための考え方および行動と規定されていることは分かったと思います。一方で、アワードなどを見てみると、社会課題を解決するような文脈が様々な賞を取っています。社会にとって望ましいことを実施することがPRなんだと曲解している人が出ているのも事実です。実際やれたらよいのですが、多くの企業は「なんでそんなことをうちがやらないといけないの?」と思ってしまうでしょう。そうなんです。社会課題というのはあまりに大きすぎて、「今商品を売る」というところから考えるとかなり遠回りな施策にしか見えないですよね。PRって回りくどくて、長期戦な施策なんだな、じゃあうちにはまだ必要ないかも、と思っても仕方がありません。
PRには3つの意味がある
以前PRしたい、には3つの意味があると解説しました。
プロモーション(販売促進。PROMOTION、の略として。)
パブリックリレーションズ(学術的な意味同様、Public Relationsの略として)
広報活動(PRESENTATION、の略として)
「PRしたい」と言われた際に、私は上記の3つのうちどれを指すのか?と考えます。3つの意味がある施策なんて聞いたことがありません。PRはこのおかげで非常に難解な考え方であり、すり合わせが難しい施策であることは間違いありません。が、この記事では、「PRを正確に理解して発注すべきだ」ということを言いたいわけではありませんが、結局のところどんな事業でも、わかりやすい言語を用いてコミュニケーションが取ることは重要だと思っているので、私はクライアントや関係者と話すとき、あまりPRという単語を使わないです。
すべてが合わさった施策もPRと言える
プロモーションは「今これ買って」の説得、
パブリックリレーションズは「これよさそうだよ」の空気感醸成、
プレゼンテーションは「これが私です」という自己表現、
と分類できると考えています。
(パブリシティ獲得は、パブリックリレーションの活動のone of themです。)
そう考えると、広くとらえるPRの活動は、
プレゼンテーション→パブリックリレーションズ→プロモーション、と消費者の思考を移していくすべての施策、ともいえるでしょう。意味を理解して会話することも大事ですが、個人的には、上記の流れでマーケティング施策を施すこと自体はPR活動と言えると思っています。望ましい関係を創り出しただけでは、結局ものは売れないですし、サービスは普及しないですしね。
3つの土壌を整える=パブリックリレーションズ
パブリックリレーションズが一番理解が難しいと思いますので、以下はPR(パブリックリレーションズ)の施策に限定して話を進めます。パブリックリレーションズ的な施策がしたい、と考えたときに、学術的な解釈である「望ましい関係を創り出すための考え方および行動」とは何でしょうか?望ましい関係を作るためには、以下3つの土壌環境を整える必要があります。
社会環境
市場環境
事業環境
① 社会環境を整える
たとえば自社商品・サービスについて好意的に話される市場環境にはない場合。文化や風習などが事業成長の邪魔をしているときに耕すべき一つ目の土です。
ソフィさんがとても上手です。「生理用品をSNS上で気軽に話せる環境づくりをすることで、口コミを生みだし、自社商品購買につなげたい」という目的の上で、生理について話しやすい社会環境整備を実施。今ではSNSをはじめ、生理に関するコンテンツが多く発信されているところを肌に感じているのではないでしょうか。
生理用品は「これがいいよ!」というUGCが非常に発生しにくい商材でした。ゆえに社会の環境から変えていった、それが成功した、というのがソフィさんの事例です。
② 市場環境を整える
新しい技術や商品には、一定の否定感情が生まれるものです。その場合は市場環境を整える必要があると考えます。例えば「まだみんなそんなもの使ってないよ」「使っている人見たことないよ」という意見に対して、「こんな人やあんな人は使っているよ!」「使っている人は成功しているよ!」というポジティブなメッセージを送る手法などです。
たとえば朝にグラノーラを食べてもらう施策を実施したカルビーの事例は有名です。
この解説が非常にわかりやすいので、ぜひ読んでみていただきたいのですが、要約すると、「グラノーラっていつどうやって誰が食べるのものなのかよくわからない」を、「忙しいが健康意識は高い人が、朝に手軽に食べる栄養補助食品」という、売れるための環境づくりを行ったという事例です。記事によるとこれにより、売上が約10倍の300億円規模にまで登ったと記載されています。
③ 事業環境を整える
これが広報活動やブランディングの活動に近い、耕すべき第3の土です。会社や商品に好印象を持ってもらうあらゆる施策を指します。ファンを作り出すということに言い換えているブランドも多くありますが、ファンコミュニニティとか、ファンマーケティングというものは、もともとPRの発想から生まれたものだと解釈しています。この件については、実に様々な事例がありますが、個人的にはナイキの事例が好きです。
結局PRはマーケティングの大部分をカバーする
プレゼンテーション→パブリックリレーションズ→プロモーション、と消費者の思考を移していくすべての施策がPRである、というのが持論です。また、「望ましい関係を創り出すための考え方および行動」とは何なのかが不明瞭だった方は、3つの土の耕し方を眺めながら、ぜひ自社のマーケティング活動に活かしてみてくださいね。
私のプロフィール
リクルート関連会社で求人広告の企画営業、カフェプロモーションの企画制作会社でのシニアアカウントエグゼクティブを経て、ブランドプロデュースカンパニー株式会社マテリアル入社。化粧品/日用品メーカーの新商品販促企画、PRディレクションを経験。クリエイティブやプロモーションと連動したPRコンストラクチャーを得意とし、PRに紐づくクリエイティブディレクションも行う。現在新規事業を推進するため、株式会社CONNECTED MATERIALに出向し、広報とメディアとのマッチングプラットフォーム「CLOUD PRESS ROOM」のカスタマーサクセス責任者、広報アドバイザー、PRプランナーという顔つきで従事。
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