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実はよく知らない? 「資本主義」を名著から読み解く①

「資本主義とは何か?」と聞かれたら


 
おそらく、ほとんどの人が資本主義について答えられないと思います。
 
なぜなら、資本主義は、「生まれたときかから備わっている」私たちの思考の前提にあるオペレーティング・システム(OS)のような概念だからです。
OSだとすれば、それは体内に取り込まれているので、説明不可能であることに気づくと思います。
 
例えば身近なスマートフォン
 
2000年代生まれのZ世代には、物が心ついた頃から触っているスマホはありふれた日常の一部です。
ところが、ダイヤル式の黒電話世代の高齢者にとっては、イマイチ使いこなせない未知の道具なのです。
 
これが、生まれたときのOSが違っている代表的な例です。
 
ですから、私たちは資本主義誕生以前までさかのぼって理解する必要があるのです。
 
 
 

まず「プロ倫」を読もう


 
ドイツの社会学者で経済学者でもあったマックス・ヴェーバーが、20世紀初頭に発表した『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(通称「プロ倫」)を、まずは読んでいただきたいのです。
 
これは、社会科学の見地から、体に埋め込まれた思考を科学的に取り出そう試みた論考です。
 
実はこの本、読む前にその主張を説明できるのです。
 
タイトル通り「プロテスタントの倫理が資本主義とつながって現実になったのはここからです!」というのが結論だからです。
 
 
 

「プロ倫」が分からない?


 
さて、なんとか一読したものの、「よく分からなかった」という感想しかない人も多いはず。
 
安心してください。
よく分からなくて当然なのです。
 
つまるところ、ヴェーバーの論旨の展開と観点の飛躍がぶっ飛んでいるからです。
 
ヴェーバーの生きた時代では、カトリック→教会は偉い→教会を通して神とつながる、という構図がありました。
それに対し、プロテスタントは「聖書」で神とつながるので、最後の審判で神に選ばれない不安がありました。
 
ここで新しいOSが提示されます。
 
①     自分が救われるかどうかは、もう神が決めちゃったから選べません
②     確かに仕事も選べなかった
③     ならば神が選んだ仕事(これを「天職」と呼びます)を超真剣にやろう
④     仕事でどんどんお金が貯まる
⑤     これも神への忠誠心と信仰心のおかげ
⑥     この合理性をもとに「止むことのない富への追求」が加速!
 
こんな思考OSが登場したため、ヴェーバーも予想しなかった近代資本主義の原型が出来上がったワケです。
 
 
 

ヴェーバーに「モノの見方」を習え


 
私は「プロ倫」の重要なところは、内容はさておき、「ヴェーバーってこんなモノの見方をするんだ」という視点にあると考えています。
 
資本主義を知るということは、新しいモノの見方をインストールすることなのです。
 
さまざまな資本主義に関する本を読むことで、違うOSのインストールを繰り返し、How(ハウツー)ではない、What(具体的には?)とWhy(なぜそう言える?)を磨く旅が始まるのです。


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