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エメラルドからのエアメール ㉑

エメラルドは正体不明の主に宛てた手紙を書き連ね、パソコンのメモに保存するという作業に汗を流していました。
2022年の夏の事でした。



2024年9月14日

--5:00起床。せっかく早起きしたのにあいつも早起きしてきた。生活リズム合わせてくんなよ。
こっちが通る順路を予測して待ち構えている。いつもはすぐに散歩に出るくせにラジオ体操が始まってもまだ居る。さっさと外出て体操せえや。玄関で新聞広げてこっちが降りてくるの待ち構えているああウザイ。


デリカシーのカケラもないお坊ちゃま気質。
4人の姉と歳が近い伯母にチヤホヤされてきたから
三つ子の魂100迄なんだね、可哀そうに。

私の方が可哀そう。このままココに居たらエネルギーが、時間が吸い取られていく。


口を開けば自分の事は棚に上げ、きれい事ばかり。

「もっと大人になれ」
「もっとおしとやかにしろ」
「お姉さんだろ」
「そんな事じゃ世間に出せん、笑われるで」

って後ろからイラつく言葉を投げてくる、もっともっとを要求してくる。
そんなじじいは元野球部。
やかましいわ。黙っとけ。
飲み屋に夜中に送迎にいったり、こないだも救急車呼んで応急処置してやった恩を、もう忘れたのかボケー!!
急いでるのに洗面所で長々と歯磨きするなボケー!
使った糸ようじをそこらに投げておくなボケー!
キッチンに脱いだ服を脱ぎ散らかすなボケー!
キッチンに畳を敷いて大の字で昼寝すんなボケー!


だから嫌いなんだ野球部は。全員とは言わないが学校内の花形の部活でチヤホヤされてきたから勘違いしてる奴が多い。団体で気が大きくなるのか、こないだだって入浴施設で野球部小僧共が席を陣取ってスマホで音出してゲームを・・・。おっとここまでにしておこう。グチを垂れ流すわけにはいかねえ。



拝啓、クリソベル・キャッツ・アイ様

こちらエメラルド。2024年9月14日の世界です。

画面越しからのプロポーズ、ありがとうございます。
今度、直接指輪を受け取りに伺わせていただきますね。

さて、私は今、図書館におります。太宰治の「人間失格」を読んでいます。
ふと昔の事がよみがえり職場の先輩、ブス代に「人間失格」と罵られた事を思い出したので、この本をチョイスしてみました。

太宰はあなたが敬愛している作家でしたよね。
走れメロス、女生徒は読んだことがあります。
割と読みやすかったように記憶しております。

……。

それにしても同じブスなのに燥いでる系のブスってなんで攻撃的なんでしょう。私と正反対です。きっと生育環境に恵まれていたのでしょう。大人に可愛い可愛いと褒めちぎられ、天性のずるがしこさで立ち回り周りを従えスクスクと育ってきたのでしょう。ブスという事実に気づかぬまま。

あるいは家庭環境がすさんでおり家庭内で厳しくされその反動で外で弱そうな者を対象にストレスを発散するしかなかったのかもしれません。
いずれにしても同じ職場にいたら敬遠したいタイプです。


そうそう、小説「人間失格」ですが、人間失格というキャッチ―なタイトル、「恥の多い生涯を送ってきました」というキャッチーなコピーは面白いなと思いました。
主人公が演じなければ人と接することができない道化でワザと失敗して笑いを誘ってたとか、女は友達が帰るとすぐ悪口を言うなどは、あるある、自分と重なる部分があり共感できました。
ですがそれ以外は良く解りませんでした。なんというか会社で「眠たい」「気持ち悪い」「昨日も残業疲れたわ」と、ことあるごとに体調悪いのをアピールしてくる愚痴100%の局のようでした。毎日愚痴ばかり聞かされるとこちらもダウナーになってきます。そんな作品でした。
純文学って何なのでしょうか。こむつかしくて学がない私にはわかりませんでした。この小説の面白さがさっぱり解りませんでした。
ごめんなさい。そこだけは価値観が合わないですね。異なる環境で育ってきたわけですから、性格も違いますし、考え方や習慣が違うのは当然です。

そこはお互いすり合わせていきましょうや。


クリソベル、あなたの事をもっと知りたい
飯はちゃんと食っているのか
好きな物、嫌いな物
普段何をしてるのか
あなたの住処

まだまだ知らない事ばかりです
私の好きな物も今度会ったら教えてあげます
ではまた次回



ふう、元気してるかなー、パン屋でいきってたブス代さん。

ブス代が「人間失格」と肩を押してきた時、
「おめえは太宰治か!」
と、その場で言い返す瞬発力と気の強さを持ち合わせていたのなら、リウマチになっていなかったかもしれません。




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