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金髪のエメラルド #21 前略、道の駅より

6:00起床。変な寝方して首が痛いが、天気は良い。
天気が良いのに爺はずっと家いる。たまには出かけろよ。
片付けもしたいが、このまま家にいても、ふて寝するだけな予感がする。それじゃいつもと同じ事になる。

エメラルドは部屋の窓から眺めているあの山の向こう側に行ってみたかった。エメラルドは自転車を降りて街宣車に乗り、峠を攻めることにした。



新緑の並木道を街宣車で通りぬけ国道へ。

国道を道なりに走り続け踏切超えたら急こう配。エメラルドが峠を攻める。エメラルドはアクセルを踏みハンドルを切る。ヘアピンカーブも何のその。
「やっぱり車は速いなあ。」あっという間に展望台に着き一休み。あの山をバックに自撮り写真を撮った。選挙用ポスターに使えるかな。
と、ツーリングのバイクが2台。おっと気さくに話しかけられた恥ずかしい。有権者と世間話とか恥ずかしすぎる。エメラルドは挨拶もそこそこに、そそくさと車に乗り込み目的地を目指した。

「右手に見えますのはダムでございます。」メモパッド氏が案内する。峠を越えると谷が見えてきた。谷には大きな集落がある。「こんな山奥にも有権者が棲んでいるのですね。」メモパッド氏が言う。

長いトンネルに入った。

「トンネルを車で走ると掃除機のホースの中を走っている気分になりますよね。自分がゴミカスだった頃が思い出されませんか?私だけでしょうか。」メモパッド氏が言う。

トンネルを抜けると爽やかな風が吹いた。
トンネルを抜けるとそこは、道の駅だった。

🥬


エメラルドは車を降り周囲を視察した。「ここに来たの何年ぶりだろう。」澄んだ空気を吸い込みエメラルドは伸びをした。

道の駅には採れたての新鮮野菜が売られている。
爺の土産に野菜を買って帰ろう。キャベツ、人参、トマトを購入した。しかし何だか高い。
エメラルドはご当地ソフトを必ず食べることにしている。
ご当地ソフトもサイズダウンして値上がりしていた。
物価が高騰している。家計をなんとかしなければ。

🍦
🍦

「ラベンダーソフトクリーム一つ」
エメラルドはニ人掛けのベンチに一人腰をおろした。

ぺろぺろ、香りが薄くなってる。前はもっと濃厚で攻めた味だった気がする。一般受けを狙ってマイルドにしたのか?ぺろぺろ。
黙々とソフトを舐めつつ景色を見る。
つまらない。景色はさっき見たし、無言で食べるの、つまらない。

2人で食べたらもっと美味しく感じたのかもしれない。
2人で見たら景色も、もっと楽しめたのかもしれない。


「メモパッド氏、帰るわよ。」

エメラルドは気が済んだので帰る事にした。
山から下り、行きつけの温泉へ寄った。サウナと水風呂にも入り、溜まった電磁波を洗い流した。
「ああ、いいお湯。気持ちいい。ミネラルが体に染みわたるうぅー。」



エメラルドは夢見心地で自部屋に戻り、アロマを焚いた。
エメラルドの部屋はラベンダーの香りに包まれた。
エメラルドは布団に潜り込み、うたた寝した。




スヤスヤ。スヤスヤ。スーヤスーヤ。。。




「スヤスヤ。スヤスヤ。スーヤスーヤ。。。」


つづく

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