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【読書感想文】フローレンス・ナイチンゲール「看護覚え書」

看護師であれば、誰もが一度は手にするもの。

何十年ぶりに手に取り、
少しずつ読み進めてみたら…

根拠に基づく人を観察する力、想像する力の大切さを辛口に、そしてしっかりと伝わる文言で記されている。

看護の手引き書と言うよりは、職場や家庭で看護、介護に関わる全ての人に対してのメッセージ。

本当に1860年に書かれたもの?

今、看護・介護に携わる全ての者へ、気づきを促すヒントがびっしりと詰め込まれている。

🌲テーマ
*換気と暖房
*住居の健康
*小管理
*物音
*変化
*食事
*栄養
*ベッドと寝具類
*陽光
*部屋と壁の清潔 
*からだの清潔
*おせっかいな励ましと忠告
*病人の観察
*おわりに
*補章
*付録 赤ん坊の世話

読み進めるにつれ、
『その通り』『そうだよね』
と納得できる。
現代に通じることばかり。

今病院で、施設で、在宅でどの程度意識され行われているのだろうかと思う。

当たり前のことが書かれたこの本は、簡単なことのようで、正確に実践するにはそう簡単にはいかない内容。

この本を読んで大切だと思ったことは、

*常に観察をすること
疾患を理解し、症状の変化に気をつける。
ひとりひとりの違いを意識する。

環境に注意を払うこと
衣食住に広がるためこれはかなり重要。
換気、気温、物音(音)、臭い、清潔、寝具、明るさ等考え、病状が悪化しないよう、不快と感じないよう調整する。

栄養に注意すること
食べる時間、形態、回数等考慮し口から食べられるように工夫する。

*病気に罹った人を思いやる気持ちを持つこと
例えば眠りを妨げない。無機質な部屋に変化をつける。前向きになれるような精神面への支援を行う。

まず「予防」を意識して看護している点に気づく。

約170年の年月を経ても、大事なことは病気を予防すること。

ナイチンゲールはその昔から、病人だけではなく、病になる以前に目を向けている。

そして病に苦しむ人に対しては、どうすればその苦痛が緩和されるか、ありとありゆる対策を考える。

病の知識を十分に持ち、病がこれからどのように進むと考えられるか、先を見通す。

病に苦しむ人に対して、細部にまで注意を払う。
尊厳を持って「おもんぱかる」姿勢だ。

また看護について触れた本でありながら、寝具、ベッド、マット、イス、ソファー、窓、ドア、床等住まいを意識している。

体の構造や働きを理解していないとわからない、生活用品や住居の効果的な使い方。
看護と密接に関わっている。

看護学生の頃、「環境整備」はまず基本的なこととして教えられた。
その頃は当たり前のことで、あまり重要にとらえていなかったように思う。

埃が与える影響、正しい換気の仕方、介護に適した床材、窓の場所、ソファーとベッドの高さ、マットの質…

「看る」と言うことはそう言うことなのだ。

介護保険での福祉用具の効果的な利用の仕方が浮かぶ。


そして「観察」の重要性。
この観察には、経験に基づくものと、知識に基づくものがある。

この観察による気づきの違いにより、病気が進み悪化につながるか、回復につながるかの分岐点になると思う。

「観る」ことができないと「看る」ことができないとわかる。

ほかの記事でも書いたけれど、観て「察する力」は本当に大切なこと。

「観察」は、上に挙げた環境、栄養、思いやり…
看護全てにおいて基本となるもの。


過去に読んだ物は、また年月を経て読み返すと、新たな発見があり、私の気づきにつながると実感。

看護もケアマネも基本、大切なことは一緒だと改めてわかる。

次この本を読むのはいつだろうか…

下の記事は「看護」に関係する記事2つ。
良かったらご覧ください。

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