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【リスキリング最先端事例】シンガポールのスキルズフューチャープロジェクトとは?

日本でも人生100年時代を見据え日本政府が学び直し「リカレント教育」という方針が打ち出されました。
現在日本でもリカレント教育やリスキリングの記事が話題になっていますよね。

認知されていても2割以下しか

実施されていないリスキリングの実態


日経新聞などでもよく取り上げられていて、政府の統計でもリスキリングが重要だと言われています。しかしながら日本では体系的なリカレント教育は2020年で13.1%とリスキリングも実施、実施予定は2割以下※という調べもありまだまだ普及していない状況です。
https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20220307.htmlより




日本でも学び直し、リスキリングへの関心がどんどん増えている状態ですが
しかしながら必要な人には届いていない状態だと言えます。


そのため、海外事例の中でも先進的な取り組みを政府主体で行っているシンガポールの最新事例から学べることは多いのではないでしょうか?

ここでは、具体的な取り組みについてみていきたいと思います。

人口約570万人の国、シンガポールで画期的な国民を巻き込んだリスキリングの新たな取り組みが行われています。

※画像はイメージです

シンガポールはコロナにより経済成長を支えていた外国人人材がシンガポール国内から去り、各国からの投資・人材を含めた影響で経済が縮小傾向になり、好業績だった企業が次々とリストラをすることとなる国家的背景がありました。

このスキルズフューチャープロジェクトはそのような背景にあるシンガポール政府が、外国人人材を呼び戻す方針ではなく、国民全体を巻き込んで国内の人材のスキルを底上げするプログラムを提供することで立て直しをはかるプロジェクトとして注目を浴びています。

あらゆる国民にリスキリングを
提供する本格的プロジェクトを始動

本プロジェクトは人生のどのステージであるかに関係なく、生涯を通じて最大限の可能性を開発する機会をシンガポール国民に提供するプロジェクトです。この運動を通じて、すべての個々人の潜在能力を年齢に関係なく、キャリア支援の機会を提供する国家的運動と言われています。

目的:シンガポール国民の生涯学習とスキル獲得の支援
対象コース:学生、アーリーキャリア、ミドル、シニア世代
(シンガポール国内&国外オンライン学習プラットフォームが提供するコースがあるため、選択肢は豊富。)
利用者数:540,000人(2020年現在)
利用企業:14,000社(2020年現在)

スキルズフューチャーのHPでは下記のような図で
4つの推進力が示されています。

スキルズフューチャープロジェクトでは特に1つ目の個人が教育、訓練、キャリアにおいて支援が提供されることを重要視しており、設立目的にも大きく関わってきます。

その中で最も重要なポイントでもあるマイスキルズフューチャーというプロジェクトの内容をこれからお話します。

マイスキルズフューチャー
MySkillsFuture は、すべてのシンガポール人が生涯学習の旅を計画できるようにする、ワンストップの教育、トレーニング、キャリア ガイダンスのオンライン ポータルです。

初の Skills Demand for the Future Economy レポートを通じて、今後 3 年間のデジタル、グリーン、ケア経済の成長分野における優先スキルを特定します。
 
ここでは今後世界的にも大きく求められるスキルを優先して提供することで
国家的な競争力、人材育成における強化をはかっていく想定と見られます。
 

コロナ禍でのミドル世代のリストラを受けて、
ミドル世代に、40,000職を提供する計画を発表

SkillsFuture 中途支援パッケージは、40 代から 50 代の個人のキャリア移行の機会を増やし、雇用可能性を維持し、良い仕事にアクセスできるようにすることを目的としています。

SkillsFuture Career Transition Program (SCTP) は、中堅の個人が業界関連のスキルを習得して、雇用適性を改善し、新しいセクターまたは職務にピボットすることをサポートします。これは、3 か月から 12 か月の範囲でパートタイムまたはフルタイムの形式で利用できるトレーニング・アンド・プレイス・プログラムです。

SCTP コースは、2022 年 4 月 1 日から 2025 年までに約 200 コースに段階的に展開される予定です。
 


模範的な組織、企業を表彰する
SkillsFuture Employer Awards 


シンガポール共和国大統領が贈る SkillsFuture Employer Awards は、従業員のスキル開発を支援し、職場で生涯学習文化を構築する模範的な組織を表彰するものです。 

この賞は、従業員のスキル開発を重視する優れた雇用主としてあなたの組織を際立たせます。これは名誉ある賞であり、人材の採用とリテンションにおいて企業が競争力を獲得するのにおおいに影響します。Awardはシルバー、ゴールド、またはプラチナからランク分けされており、それぞれの認定に応じて表彰を受け取ることができます。プラチナ賞は最高位であり、優れた企業に授与されます。

SkillsFuture Employer Awards は、中小企業 (SME)、企業、ボランティア福祉団体など、シンガポールで登録されているすべての団体を対象としています。


おわりに

日本でもDX、AI化などが進む中、今後どんどんリカレント・リスキリングの取り組みが行われていくでしょう。しかしながら国家をあげての取り組みとなるのは果たしていつになるかわからない状況です。

企業も少しずつリスキリングを導入し始めていますが、まだまだ本当に必要な対象者が受けることが出来ていないという課題が消えることはまだなさそうです。

他にも国内のリスキリングの問題点として
・業務が多忙で学習のための時間が取れない
・教育対象者、学べる分野が限られている

など様々課題があります。

このような状況を打破するために各企業や政府がどのような取り組みを進めていくか、注目したいところです。

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