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夜森蓬
2024年6月8日 07:07
歴史は、ためらいもなく…昨日までの砂の城を粉々に打ち壊す。明日からの光の束を深海にしずめる。クロンドル を呼んでくる。誰も知らない、「クロンドル は、絶望の町に住んでいた」汚れた翼をバタバタさせ、埃みたいな羽毛を飛ばし、生臭いゴミにまみれて。カラスよりも大きくて、禿鷲よりは少し小さい。灰色の人面鳥。クロンドル の “顔” を見てはならない。あなたは、
2024年5月20日 21:06
金糸雀。金糸雀。だれかを真似て話さなくて、いい。話したければ、君の言葉で。金糸雀。金糸雀。だれかを真似て笑わなくて、いい。笑いたければ、君の歓喜で。金糸雀。金糸雀。だれかを真似て泣かなくて、いい。泣きたければ、君の悲嘆で。金糸雀。金糸雀。君は、僕を真似ているんだろう?いつも誰かの真似をして、自分の言葉なんか持たない、僕を。いつもだ
2024年5月14日 21:31
絵の鳥に一目惚れした籠の鳥鳴けども独り想うも独り笑み浮かべ雲を蹴散らす晩春の風の強さに負けず羽ばたけ枝えだの青葉の騒ぐ声を聴き夏夢描く翼休めて今回は、「鳥」を意識して詠ませていただきました。次回は「お」です。ちょっとした空き時間にでもご覧いただければ幸いです。
2024年5月10日 21:37
火焔が如く、闇夜に浮かび上がった、赤き鳥。どこを見ているのか?何を待っているのか?首を傾げて、私を見ているようで、私を待っているようで、少しだけ、愛おしくなる。けれども、彼が見ているのは、あなた。彼が待っているのは、あなた。あなた。
2024年5月1日 23:27
彼岸花の咲く丘のように、緋色 に染まった君の胸元、心の中まで、君をおびやかすのならば、僕が、その 緋色 を吸い尽くしてあげる。(だから、君よ)(その鋭い牙を)(僕の首筋に立てろ)そして、お互いの「優しさ」をグラスに注ぎ、飲み干そう、酔おう。葡萄酒のように、味わおう。だるく、ゆるやかに、深く…深く…限りなく、深く。
2024年4月24日 21:13
この荒野。独りたたずむ。仲間?いないが、それが?孤独?それは哀れ…と、でも?ねえ、「太陽」なんてさ、ほんとうは、嫌いなんだよ。ヤツに意志なんかないだろう?それなのに どうして ヤツに“感謝”しなきゃいけないんだよ。神の棲まう高い塔の建つ場所へ荒野はいつも荒野だ花一輪咲かないのはこの心。ねえ、「宇宙」なんてさ、ほんとうは、興
2024年4月17日 22:40
はくちょうが飛ぶふゆの空そのなかに混ざってふわーりふわーりとまさに、生まれながら死んでゆく ゆめのあわぶくたちよ雲のくちびるに接吻したかったらしいがはかなきいのち青空にとけていっしゅんのゆめ光ああ つめたい風のストローはくちょうたちを巻きこんでかき混ぜるかき混ぜるこんがらがったこんぐらちゅれーしょんめぐる 時のうずあのはなびら
2024年4月6日 11:14
虫の遺骸。情けない下らない無様で 異様で お手上げな有様で凝り固まって醜く見るほどに不吉で私は虫が、死ぬほど大嫌いだった。生きてても死んでても不気味で 不愉快で気持ち悪くてならずそれに命があること自体が、許せなくて私は虫愛好家のあなたに無視される。趣味の相違相性は最悪でも好きで でも嫌いであなたはそれにも拘らず私
2024年3月26日 22:19
青い雨音。窓の外では。白い蝙蝠が飛び交う。緑色の夜。
2024年3月17日 16:05
梅香る枝に鶯鳴く構図やはり絵になる春の町角憂えるな行く人来る人交差して喜怒哀楽の春ぞ過ぎゆく麗しき貴方のくしゃみ豪快で風も驚き我に耳打つ難しいですね、三十一文字(みそひともじ)。(^^;)まだ3回目…。次回は「え」です。ちょっとした空き時間にでもご覧いただければ幸いです。
2024年3月5日 20:31
いよいよ生きる、と書いて「弥生」。街を歩けば、卒業式帰りの中学生たちが、あの真っ黒い筒を意気揚々と握りしめ、春色の風を、身にまとう。ああ、春だね、春だね。思い出すよ。嘘くさい涙を浮かべる友人たちを、横目で見ながら、鬱陶しくて。自分だけ乾いた北風に巻かれているようだった。ああ、春だね、春だね。思い出すよ。嬉しくもない卒業証書を持たされて、友だちっぽ
2024年1月31日 23:27
1だれなの?と、見えない人を呼んでみる。風が代わりに返事をくれて、黄昏の街に消えてゆく影。 2太陽が吐き出した柚子色の光の糸クモの巣みたいに世界を絡め、西の空は怒りに燃える。呑まれてく夜のワニに。もう命は風前の灯火か。飴細工の星々、散らかっていく、神話のように。 3黄昏が止んだ。風が病んだ。木々の梢の葉は揺れず、ただ腐って地に落ちる。黄
2024年1月20日 19:27
凍てついた光差したる冬の窓シクラメンの花の赤燃ゆ潔し落ちたる椿咲いたまま我は枯れなお枝に縋らん今言おう言おうと決めてなお言えぬ君は気高き白き山茶花やっと出ました。2ヶ月ぶり…。次回は「う」です。ちょっとした空き時間にでもご覧いただければ幸いです。
2024年1月8日 20:33
天魔の卵が孵り、蘇った信長を僕は殺した。