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「汝、星のごとく」を読む前と後の気持ちを、ネタバレせずに綴る

美しい彼にハマり、他の凪良先生の作品も読んでみたいと思っていました。
そんな中、「汝、星のごとく」が本屋大賞を受賞。
見聞きする情報によると、若い男女がすれ違いながら年を重ねていく物語っぽいことが分かった。
青春時代に出会って成長していく2人、そして星というキーワード。
美しい彼に通じる部分がある。
読むならこれだな。

しかし私の腰は重かった。
なぜなら、、ハッピーエンドじゃない匂いがする、、なんかテーマ重そう、、読んだ後辛くなりそう。。
絶対にハッピーエンドが約束されてて、2人のすれ違いがどちらかというとポップに描かれている美しい彼が好きな私にとって、結構ハードルが高そうだった。

でもその時はいつだって急にやってくる。
先日の金曜日、月1のアレ前で全然お腹減ってないのに、どうしても辛ラーメンが食べたくなってしまった。
粉末唐辛子とキムチを追加して、辛辛塩分過多にした辛ラーメンを汁まで飲み干し、あ~あほんとになんで我慢できないかな~けどこれはもう意志の問題じゃなくて体が欲してるからどうしようもない、私のせいじゃないと開き直るまでの1セットを済ませて、ふとAmazonで「汝、星のごとく」のページを開いた。

Amazonの紹介ページには、あらすじがこう書かれていた。

その愛は、あまりにも切ない。

正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。

ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。

重い。
紹介文読んだだけでひしゃげそう。
これは金曜の夜に読むものではない気がする。
やっぱやめよう。

そのうちコーヒーが飲みたくなり、そしたらお供に本を読むのもいいかなと思えてきた。(気分が変わりやすい性格です)
辛ラーメンの刺激と食べきった勢いが背中を押してくれた。
多くの人が楽しくウェーイな時間を過ごしているであろう金曜日のPM9:00、コーヒーを片手にキンドルで購入した「汝、星のごとく」を読み始めた。









AM2:00 号泣。
泣きすぎて、鼻がつまりすぎて、苦しい。
良かった、、、すごく良かった、、、よく分かんないテンションで読もうと決断できて良かった。


やっぱり凪良先生の書く文章がすごく好きです。
ほんとに星みたいな文章で、キラキラしている
キラキラで心が澄み渡っていくときもあれば、焼かれるように辛い時もあって。

特にある場面の描写がすさまじかったです。
主人公の気持ちが次々に入り込んできて。
情景もはっきりと目に浮かんで。
文章が煌めいていて、再生されるシーンが美しすぎて、芸術作品のようでした。

人間は遥か昔に水を求めてたから、その名残で宝石とかキラキラしたものに惹かれるって聞いたことがあります。
だからこんなに凪良先生の文章に吸い込まれるのでしょうか。


美しい彼と似た表現も多くあって、そこも楽しめるポイントでした。
星、自分の荷物を自分で持つ話、2人の視点で描かれる物語、学生時代からの関係など共通点も多い。
美しい彼という土台がしっかりあって、「汝、星のごとく」につながっているんだなと嬉しくなりました。

凪良先生は愛媛にゆかりがあるのでしょうか。
(ご出身は確か滋賀ですよね)
松山や今治など愛媛の地名がたくさん出てくるのと、美しい彼の野口さんが今治出身の設定だったと思います。
特に調べていないので分からず、疑問のまま残していきます。


読み始めて序盤に、とある湊かなえ作品が浮かんだんですね。
なので結構最悪の展開を想定して、ショックを受けないよう予防線張って読み進めたんですけど、個人的には主人公2人や周りの人たちにも救いがあったと思います。
それぞれが自分の決めた道に立って、進もうとしていることが見えて劇的に感動しました。


「汝、星のごとく」を読んで、考えたことがあります。
まず、子供に依存せずに生きていくことについて。

子供たちには未来しかなくて、これからなんにでもなれると考えたとき、夢を見つけて育てて叶えるサポートをしたい、と思っています。
自分には夢中になれるものがなかったので、好きなことを見つけてそれに熱中してほしいという思いが強くあります。
好きなものがある人は本当に強いなとも思うので。

けど子供を人生の中心に据えて尽くして、例えば自分が思うような結果にならなかったり、子供が途中で辞めて別のことをしたいとなったときに、私はがっかりしないだろうか、子供を責めたりしないんだろうか、と考えてぞっとしたんですね。
そうならずに無償の愛を注ぐ自信が、ない。

もちろん、サポートすることは必要だと思うんです。
プロのスポーツ選手の方から、3歳くらいから競技を始めて、親御さんが練習に付き合ったり送り迎えをして、休みの日は車で遠征してみたいなお話をよく聞きます。
幼少期からつきっきりで献身的にお子さんのために時間を使っていて、親の情熱が本当にすごい。
私は、子供にもその情熱を持てない言い訳をしているだけかもしれません。

けれど、私は自分の人生に集中するほうが合っている気がします。
子供に期待という負担をかけすぎないためにも、それぞれの人生を生きていくためにも、自分がどう生きていくかを一番に考えたい。
そううっすら思っていたことを、「汝、星のごとく」を読んで、再確認することができました。

そして、「取捨選択」ということに繋がります。
他の本でも読んだことがあるのですが、新しく何かを選ぶということは今持っているものを捨てるということ。
そうか、私がうだうだうだうだ悩んで新しい道に踏み出せないのは、捨てる覚悟ができないからだよね、やっぱり、とまた再確認。

最近、新しいことに挑戦したり、知らない人と話すことに圧倒的に億劫になっている自分に気づいたんですね。
昔はもっと軽い気持ちで後先考えずに色んなことをやってた気がする、、、
年を重ねると、経験という名のストッパーがきくのと、過去という名の荷物で手いっぱいになるからなんでしょうか。

今の待遇や人間関係、スキルを捨ててまで別の道に行く必要があるのか。
けど10年後このままだと必ず後悔することが目に見えている。
やるなら今しかない。

それ以外にも色んな荷物があって、もう荷物を私が持っているのか、荷物に私が支えられてるのか、おそらく両方で。
どの荷物を捨てるか選別するのも億劫で。

誰にも聞かれてないんですけど、人生のテーマソングがKAT-TUNの「Real Face」なんですね。
ほんとにいつもぎりぎりで生きていたくて、追い詰められないとできない性分で、何を捨てるか、何を選ぶか、「汝、星のごとく」を読む前も読んだ後もずっとずっとぐるぐるぐるぐる考えています。


最後に。
「汝、星のごとく」は、本当に素晴らしい作品です。
私自身読みたいけどむちゃくちゃ迷っていて、やっと読むことができたので読みたいけど踏み出せないみたいな方にこの記事を読んでもらいたくて、ネタバレせずに(と自分では思っています)気持ちを綴ってみました。
色々な心ぶっ刺さりポイントがある作品だと思うので、どこかしら胸に響く部分があるのではないでしょうか。

個人的には映像化がすごく楽しみです。
情景描写が美しすぎるので、どんな感じになるのか見てみたい。

次読むとしたら流浪の月かなと思っていますが、こちらもこちらで重そうで、なかなか腰が上がらない(笑)


美しい彼のことも書いているので、もしよければ見ていってください。


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