CKレコード

洋楽好きをニヤリとさせる、そんな文章をあなたに。

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最近の記事

ウィスキーの洪水

久しぶりに友人と飲みに行った。 いつもバーに行ってもメニューなんか見やしないのに、たまたま見たメニューの中に、「ポーグス」という酒を見つけてしまった。 「マスター、このポーグスって、あのポーグス?」 「そう、あのポーグス」 「アイリッシュ・ウィスキーか〜。ハードル高いな〜。いつもは絶対に飲まない種類の酒なんだけど、これたまたま見つけちまったし、追悼の意味も込めて、これ飲んでみっかな」 「あ〜、ボーカルの人?最近亡くなったの?あの人、まだ生きてたんだ。とっくに死んだと

    • マインド・ボム

      ボーッとテレビを見ていたら、「今やAIがヘッドハンティングをしてくる時代だぞ」という特集を見た。それは、フェイスブックやツイッター等にあげた文章などからAIが自動的に判断し、AIから転職をすすめてくるらしい。おい、まるで映画マトリックスの世界みたいじゃないか。 俺も結構な長い年月、このクソ・ブログを続けている。もしも、「急募!下らない思考を持つロック好きの中年男性」なんて求人があがった日にゃあ、AIから招待状が届いちまうな・・・なんて、「確かマトリックスに出てくるネーチャー

      • 天使

        令和のいまどき、「社員旅行」という目眩がするほど古色蒼然とした響きのイベントに参加してきた。 鎌倉で自由時間が2時間できた。目当てのロックバーは夜しか開いていない。鎌倉はレコード屋さんも絶滅状態。仕方なくジャズ喫茶に行き先を設定。鶴岡八幡宮を背に歩き出す。 やたら人の多いメインストリートの状況に、「こんな感じでジャズ喫茶まで混んでたら嫌だな〜」という嫌な予感がよぎる。店に到着。混んでいる様子はない。よし。 店内に入ると、少し薄暗い。いいね。 バイト臭キツめの若い店員

        • 真昼の決闘

          今日は昼またぎの出張だ。 運悪く昼食の時間が特急の乗車時間に重なっちまった場合、車内が空いている事を確認した上で、特急列車内で昼食を済ませることにしている。 前にも書いたが、俺は混んでいる店が苦手だからだ。 駅弁を喰らうのはいつもあまり気が乗らないので、パンをチョイスしている。 パンか・・・相変わらずふにゃふにゃしてんな。 なんだか逃げの選択を打っているようで、我ながら情けない。たまには、豪快にEKIBENをキメるべきだよな〜・・・なんて心の中で独りごち、何の気なしに後ろを

        ウィスキーの洪水

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        • あの頃、ハーヴェスト・ムーンと
          4本
        • 逆噴射小説大賞
          2本
        • 今夜、ハードロックカフェにて
          26本
        • サッカー少年とパンクロッカー
          1本

        記事

          カールコードに巻かれレて

          俺は、財布をよく落とす。 今までの人生で、たくさん落としてきた。 落とした事に気付く度に、心臓が止まりそうになります。 映画「ロック・ストック・トゥー・スモーキング・バレルズ」で主人公がギャンブルで全財産をスッた時に、心の中でイギー・ポップ(ストゥージーズ)のアイ・ワナ・ビー・ユア・ドッグが大音量で鳴り響くシーンがあるが、まさにあの感じだよ。命、削られるぜ。 失くした財布は、まったく出てこない事もあれば、金だけ抜かれて出てきたり、落としたときの状態で出てきたり、その再会は様

          カールコードに巻かれレて

          地獄のフルメタル厨房

          店主が厨房の奥でいつも怒ってる食堂がある。 同僚のTは、ランチに必ず僕をそこに連れていく。その店は、奥に調理人兼店主と思われる主人がいて、レジに主人の奥さんと思われるオバさん、ホール係にさえないバイト君といったスリーピース構成で回している。 味は美味い。量もかなりのボリューム感。で、料金は極めて良心的な価格設定だ。こんなにお客の立場に立った店づくりができる店主だってのに、厨房からはいつも怒声が響き渡る。その怒声は全てさえないバイト君へと向けられる。 「このボケ!」 「注文

          地獄のフルメタル厨房

          拝啓 ジョン・マクレーン

          俺の首からぶら下げた社員証の写真を見た取引き先のアイツが、 「え?これ、CKさんですか?いつの頃の写真ですか?昔は痩せてイケメンだったんですね〜。これ、また痩せなきゃダメですよ!」 と言う。 「何でよ?」 「何でって、その方がモテるでしょ」 「モテてどうするよ。もうカミさんもいるし、子供もいる。仕事も女性を相手にする仕事じゃないし、笑いも取れない。モテるメリットが一つも無い。人生も残り少ないし、俺は好きなモノたらふく食って、ビール浴びるほど飲んで、ダラダラと寝っ転が

          拝啓 ジョン・マクレーン

          MJ

          取り引き先の方から、食事に誘われる。 「CKさんって、洋楽好きなんですよね」 「まあね」 「これから案内する店、CKさん、絶対、喜ぶと思います」 「はあ」 「実は、マイケル・ジャクソンが来日した時に訪れた店なんですよ」 「え!行きたい、行きたい!連れてって、連れてって!」 「もう、期待通りのリアクション、ありがとうございます」 薄暗い階段を下って地下へと降りていく構造の店。 「ねえ、ここの雰囲気ってスムース・クリミナルのPVに出てくる店に似てるね。マイケル、

          酒と泪と男と酒と氷と水と

          思い返せば、酒に憧れ続けた10代さ。 趣味は?という問いに「酒」と即答した20代。 ジャック・ダニエルのボトルを枕に寝転んだあの夜。 夜明けにしょっぱいアスファルトの表面を舐めながら、あれ?俺、本当に酒好きなんだろうか?と目が霞んだ30代。 ああ、あっちの方から俺の方を見てた「誘う女」の方じゃなくて、やけに色白の便器を抱きながら、「俺、酒、好きじゃねぇわ」と吐き捨てた40代。 いつの間にかすっかり酒が嫌いになっちまったのさ。「旨い」という感覚がもう無いんだ。酒なんて顔

          酒と泪と男と酒と氷と水と

          あの頃、ハーヴェスト・ムーンと @2日目

          (京のとあるレコードショップ) 昼間のシフトで入っていた桜子さんは、豹柄に対して強いこだわりを持ったチャーミングな女性だ。 僕は、ハイロウズの新作の「タイガーモービル」のCDを手に取って、 「桜子さん、この柄とか、どうですか?」 と尋ねた。 「あ〜この柄な。これ、どっちかっていうとトラやな。これはな、ちょっとウチの趣味とちゃうねん。ウチはな、もうちょっと黒い点が丸い形のヤツが好きやねんな。トラというよりは、ヒョウの方やな」 「あ〜、マイケル・モンローがよく首に巻い

          あの頃、ハーヴェスト・ムーンと @2日目

          カンガルー

          最近、一番心が落ち着く時は、息子のサッカースパイクを磨いている時だ。 「本当は自分で磨けよな」なんて言いながら、いつの間にか俺の毎日の日課になっちまってる。 息子のサッカーシューズ は、アシックスのDS LIGHT。こいつは凄い事に、シューズ のアッパー部分にカンガルーの革が使われているんだ。 磨いている時は、いつも、遠く日本の地でサッカーシューズ のアッパー部分になっちまったカンガルーの寂しげな目を思い浮かべる。 そして、俺の頭の中では、ビッグ・スターのカンガルーが

          カンガルー

          逆襲

          突然鳴り響く一発の銃声音。 刹那、俺の愛する可愛子ちゃん達が、泣きながら散り散りになって逃げまどう。 所謂「阿鼻叫喚の地獄絵図」とは、まさにこの事だ。 ああ、犯人はわかってる。絶対にヤツらの仕業だ。 怒りに震え、単身、ヤツらの事務所に乗り込んだ。 「お前達、毎回毎回、俺のシマを荒らしやがって!一体、どういう了見だ!」 「あんた、どこの組のもんや?」 「俺は、日本野鳥の会だ!」 「あ〜、野鳥さんかいな。で、わしら猟銃会に何の用かな?」 「とぼけるのもいい加減にし

          ラーメン・コミック

          仕事が一段落し、部下とラーメン屋に入る。 注文を終えると、部下がふらりと席をたち、マンガを持って帰ってきた。そのマンガがとにかく汚いのなんのって。 「おい、メシの前にそんな汚いマンガを持ってくるなよ。食欲が失せちまうだろ」 「課長、知らないんすか。これ、キングダムですよ」 「あ?」 「キングダムっていうマンガですよ。めちゃくちゃ面白いんですよ」 「だから?」 「このマンガの合戦シーン、書き込みが物凄く迫力あるんですけど、買ったばかりの綺麗なマンガだとなんか今ひと

          ラーメン・コミック

          突然、ブレイドの如く

          通勤時、車を運転していると、目に飛び込んでくる朝日がやたら眩しい。 改めて自分が毎日、東へ東へと向かって運転している事を思い知る。 我が両眼は、ずっとずっと危険な状態に晒されていたのだ。マズイぞ。 早速、眼を防御するサングラスを買いに行った。 サングラスを選ぶ際に抱くイメージ、たくさんあるよね。ブルースブラザーズとか、レザボアドッグスとか、ダーティーハリーとかさ。 でも俺はさ、ブレイドなんだよ。 知ってるかな?ウェズリー・スナイプスね。吸血鬼と人間のハーフっていう設定のあれ

          突然、ブレイドの如く

          911

          もしホテルで働いたら、あのフロントにいる綺麗なお姉さんと付き合えるんじゃねーかと、安直な発想で応募したホテルのバイト。 採用されたはいいが、シフトってもんがあって、バイト君はお姉さんがいない夜のシフトしか入れず、出会いのチャンスすら与えられていない事が判明した。全くとんだ所にバイトにきちまったもんだぜ。 ある日のフロントに、派手なスーツにサングラス、髪型はテカテカに固めたオールバック、足元は白い革靴、そんないかにもな反社ファッションでキメたコワモテの怪しいオッさんが現れて、

          棺桶の釘

          ジュディのコーヒーショップ。 俺の朝は、この店のブラック・コーヒー、そして一服のタバコからスタートする。 最近はどこも全席禁煙が当たり前。この辺で大手を振ってタバコが吸えるのは、とうとうこの店だけになっちまった。 もっともこの店の場合、女手一つで店を切り盛りしてるジュディのヤツが一番のヘヴィースモーカーだってんだから、この店が禁煙なんて馬鹿な真似はするはずがねぇってわけだ。 「火を貸してくれませんか」 突然、女に話しかけられた。 キレイなブロンドの女だ。 「俺、マッ