逆襲

突然鳴り響く一発の銃声音。

刹那、俺の愛する可愛子ちゃん達が、泣きながら散り散りになって逃げまどう。
所謂「阿鼻叫喚の地獄絵図」とは、まさにこの事だ。

ああ、犯人はわかってる。絶対にヤツらの仕業だ。

怒りに震え、単身、ヤツらの事務所に乗り込んだ。


「お前達、毎回毎回、俺のシマを荒らしやがって!一体、どういう了見だ!」


「あんた、どこの組のもんや?」


「俺は、日本野鳥の会だ!」


「あ〜、野鳥さんかいな。で、わしら猟銃会に何の用かな?」


「とぼけるのもいい加減にしろ!なぜ自然保護区に銃弾を撃ち込むんだ。小鳥ちゃんが逃げちまうだろ!」


「それは誤解や。我々は鳥人間を狩る為に国から依頼されている」


「鳥人間だと?」


「野鳥さん、知らんのか。最近、やたら増殖している鳥人間だよ。きゃつら、鳥の言葉が話せるんだ」


「なに?小鳥ちゃんの言葉を・・・それは羨ましい」


「信じられへんやろうが、翼を持ってるヤツもいる」


「む?そいつは、飛べるのか?」


「少しだけならな」


「う〜む」


「まるでお前達の上位互換やろ」


「なんだと!俺達は、決して小鳥ちゃんになりたくて見ている訳じゃないぞ。小鳥ちゃんを遠くからそっと見守っていたい、ただそれだけだ!」


「まあ、どうでもええわ。だが、これを聞いて驚くなよ。きゃつら、我々人間を攻撃し、人間界を征服しようと企んでるんだ。既にカラスを仲間につけて動き始めている。そこでだ。提案だが、野鳥さん、俺達と手を組まないか?」


「なに?」


「あんたらは、鳥を見つけるプロだ。そして俺達は、鳥を狩るプロだ。俺達が手を組めば、最強の兵団が出来上がる」


「断る。お前達なんかとは絶対に手を組まんぞ」


「まあ、いい。帰ってパソコンで鳥人間でも検索してみろや。もし、気が変わったらいつでも連絡してくれ。と、そういう訳で俺達は忙しい。これでお引き取り願いたい」


事務所に戻り、鳥人間で検索をかける。鳥人間コンテストの映像がたくさんヒットした。

【続く】

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