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マインド・ボム

ボーッとテレビを見ていたら、「今やAIがヘッドハンティングをしてくる時代だぞ」という特集を見た。それは、フェイスブックやツイッター等にあげた文章などからAIが自動的に判断し、AIから転職をすすめてくるらしい。おい、まるで映画マトリックスの世界みたいじゃないか。


俺も結構な長い年月、このクソ・ブログを続けている。もしも、「急募!下らない思考を持つロック好きの中年男性」なんて求人があがった日にゃあ、AIから招待状が届いちまうな・・・なんて、「確かマトリックスに出てくるネーチャーンの名前、あれは確かトリニティっつったよな。トリニティか・・・」とトリニティのピタピタの衣装を思い出し、トリニティトリニティと呪文のようにつぶやきながら、ニヤニヤしていた。と同時に、背筋にとてつもない悪寒を感じた。


振り向くと、後ろにマトリックスに出てくるロングコートのイカツイ奴(確か、名前はモーフィアスとか言ったヤツ)が立っていて、「検索履歴と閲覧履歴だ」と低い声でメッセージを発した。モーフィアスの目を見ると、完全に外道に差し向けられる蔑むような眼差しだ。
検索履歴と閲覧履歴?検索履歴と閲覧履歴だと!?


モーフィアスがイカツいノートPCを開いて、「これが、お前が初めてパソコンを触った日から今迄の検索履歴と閲覧履歴だ」と俺に差し出した。
震えた。俺の検索履歴と閲覧履歴、凄まじいロウ・パワーの塊だった。分かり易く言おう。もの凄く下らないのである。薄っぺらいのである。恥ずかしワード満載なのである。

「これが、お前だ」

こ、こ、これが、俺?これが俺か?俺なのか?違う!絶対に違う!でも、反論できない。

「刮目せよ。これが、お前だ」

勘弁してくれ。目が腐っちまう。
今にも精神が破壊されそうなのを、必死に必死に堪えている。
ああ、あの時、ザザ(確か、本名はマット・ジョンソンとかいうヤツ)がアルバムタイトルにつけてたマインド・ボムって、この状態の事なのか?

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