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愛される広報デザイン〜その①「つながり続ける」編〜

皆さん、こんにちは。デザイン会社 自然農園の村瀬です。
私たち自然農園は、これまで「マーケティングのデザイン」を事業の主体としてきましたが、今の時代に必要なもう一つの軸として「広報デザイン」を推進しています。

今までだって「これはマーケティングね」「こっちは広報」というふうに、きっちり分けて取り組んできたわけでもないのです。
売りたいものがあるけれど、でもちょっと広報の要素を入れたい。
だって、この会社のものづくりの背景がとってもステキだから。
そんなふうに考えて、広告に、広報の要素を入れたご提案をすることが多々ありました。私が好きな、デザインのつくり方、なのかもしれません。

時代の要請があって採用デザインのご依頼を多くいただくようになった頃、広報のデザインを強く意識するようになりました。採用、といえば、やはり広報ですから、デザインに取り組むときは最初に襟を正す意味でも、全体を俯瞰して設計します。
どんなデザインにも、「つなぐ、うごかす、よくする」という機能があると私は考えています。そして広報デザインにも、この機能はよくあてはまると、気づきました。

私が考える広報デザインには、3つのポイントがあると思っています。
ポイント1/つながり続ける
ポイント2/心をうごかす
ポイント3/解決よりも改善

今回は、ひとつめの「つながり続ける」ってどういうことか、考えてみたいと思います。


心はすぐに、離れてしまう。
まめじゃないとね、広報活動って。

企業や団体の情報を、どのように編集し、どんな顔つきでステークホルダー(関係各位のこと。顧客、株主、従業員、取引先だけでなくご近所さんや近隣もしくはネット社会、さまざまなコミュニティも含まれます)とつながりをもつのがいいか。広報デザインは、そこからはじまります。
いちから取り組むとなると企業もしくは事業ブランディング、CIやVIの刷新などを行って、つながりたい人に見つけてもらえる機能をデザインによって整備する必要がありますね。ここまでは、順調に進みます。
しかし一度つながってみると、その後もつながり続ける必要があり、これがいちばんむずかしいことがわかります。過去には、広報デザインを提供した後の活動がどうも進まず、失速してしまった会社もありました。

SNSでつながっているから大丈夫、ですって? SNSは続けるのがたいへん。なので、やってる感はすごいです。好きとか、フォローがいっぱいつくと、成果も出ているように感じますね。
でもよく考えてみてください。情報が届く層に、かたよりはありませんか?
フォロワーから実際のお客様になってくれる人はどれだけいるでしょうか?
webの広告や記事の発信も同じです。このnoteだって、見ず知らずのあなたが今、読んでくれているのはとってもうれしい!できれば飛んでいって直接お礼が言いたいくらいですが、そういうわけにもいかない仕組みです。
一方、いつもお会いしているあの人が読んでくれるとは限らない。
ちょっと切ない片想いもあるんですね。

マーケティングの場合、レスポンスや購入検討を促すなど、行動の後押しがあります。広報では当初、情報は一方通行です。手前味噌だったり、情熱が伝わらなかったりすると、「ふーん…」で終わってしまいます。
ではどうすれば、ステークホルダーとのつながりを維持することができるのでしょうか。

マーケティング広告は、「buy me!」。
広報は、「love me!」。

広報のお努めといえば、企業や団体の情報をステークホルダーに伝え、理解してもらうことですね。理念や価値を知って共感してもらいたい。最近ではもうすこし強いアピールとして、企業のパーパス(存在意義)を伝え、社会に認めていただくことも広報デザインの大きな目的として考えられるようになりました。

マーケティング広告は「buy me!」。広報は「love me!」と言われます。買うよりも、愛するのは、ちょっと重い。なのに、愛してもらいたい企業が増えたのは、「いいね」だけで生き残れない厳しい時代にあることを意味しています。
好きってくらいじゃ足りない!愛してもらいたい!少なくとも「じゃ、存在していいよ」と、できれば多くの人に認めてもらいたい。そのために、なにを語るのかをデザインするのが広報です。
「私たちは世の中のためにこんなことやっていき、こんなすばらしい社会をめざします!だからこんなふうに行動します!」と叫びます。約束し、夢を語り、自分たちの行動指針を宣言する、というわけですね。ステートメントという声明文を持とうとする企業等は増えています。
とことんアプローチして、愛を獲得する。真心と努力のデザインが広報、と言っていいと思います。

愛って、続けるの、たいへんです。

愛って持続性がないんです(汗)。村瀬家も互いの努力あってこそ、夫婦の愛情がキープされています。猫だって、そう。私を無視することがある、とわかっていても、近寄ってきてくれたなら最優先です。好きにさせてあげ、気に入ることもしてあげ、せっせと彼女の愛をつなぎとめようと努力する。いや、むしろそうしたいのです。

うつろいやすく、儚いのが愛。企業とステークホルダーとの愛だと、簡単に終わってしまってもおかしくはありません。さて、このとき要となるのが、顧客との接点をもつ社員の存在です。

昔は社長の斜め上あたりに、立派な筆文字で、額装して掲げてありました。
あれは、社是っていいましたよね。
外向けに発表する気満々なステートメントに対し、社是には極めて内向きな雰囲気が漂っています。そう。完全にインナー向けです。
顧客との接点をもつ社員の行動が、いちばんだいじじゃないか!とばかり、社長の居場所とセットにして、全員の目に入るよう掲示したのです。
たとえば新入社員。社長のようすを窺い見るたびに、その言葉が目に入り、導かれる仕組みです。社長は、にこっと笑いかけるだけでいい。

広報デザインは、企業や団体のブランドイメージを向上させるための手段。新たな顧客との接点です。しかしその前に、広報デザインの機能をもっとも働かせ、理念やパーパスを体現する役割を担っているのは、広告やマスコミではなく、従業員なのです。

自分たちらしさって、なんだろう。
そんな問いが、つながり続ける、を可能にする。

たとえがっつりとブランディングに取り組んで「自分たちらしさ」を考える機会があっても、人間すぐにわすれてしまいます。
そんなときブランドを象徴するロゴマークやタグライン、パーパスといった広報デザインが役立ちます。
CI(コーポレートアイデンティティ)・VI(ビジュアルアイデンティティ)も、最初はやっぱりインナーに効いてくれないと意味がありません。

見れば見るほど、いいなぁって思います!
うちらしいなぁって、最初はクスッと笑えたくらいです!
そんなふうに社員が言ってくれるロゴマークが作れたら、サイコーです。
デザイナーとして、自分のデザインを表現したい!にこだわるのではなく、その企業らしさを表現したい!にこだわりたい。むしろ自分のデザイン性が出てしまうと、じゃまになるのが広報のデザインではないかと、私は考えています。

なにか大きな問題が起きたとき、会社に変革があったとき、変わりゆく時代に対応するときも「自分たちらしさって、なんだろう」に立ち返ることで、既存のステークホルダーとつながり続けることが可能になります。
その問いを、企業等の日常に埋め込むのが、広報デザインの努めです。

たとえば、「古くからのお客様にも、新しいお客様にも喜んでいただける、新しいサービス」というのは、自分たちらしさとは何かの追求なくしては、生まれません。そんなイノベーションは、きっと新たな出会いをもたらし、愛され続けるブランドへと成長する足掛かりになると思います。

まとめ/デザインとは、あたたかいまなざし

広報デザインは、企業の中心の部分。本質や根っこの部分に迫る仕事です。それだけに、いっしょに悩んだり試行錯誤に励んだり、親身になってくれるデザイナーと出会えたら、企業にとって幸運です。
私の知る限り、よりよく!、と考えないデザイナーはいません。この会社のために、なんとかしてあげたいと心から思う。そんなあたたかいまなざしに出会うことで、企業の未来は大きく変わるはず。
私は一人のデザイナーとして、そんなふうに思っています。


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