ぼかぼか

2018年に待望の第一子である娘が生まれ、約半年後に脳梁欠損が見つかりました。 いろい…

ぼかぼか

2018年に待望の第一子である娘が生まれ、約半年後に脳梁欠損が見つかりました。 いろいろ悩みつつ娘の為自分の為旦那の為に何かできることはないのか?と日々模索する30代の女です。 文章を書くのが好き。二次創作とかに精を出したりもします。

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頭に虹がかかっていない。そんな娘のこと

義実家に娘を連れて遊びに行ったある日のこと。 義母から娘を一度大きな病院で診てもらったら、と言われた。 生後半年ほど経ったその頃、娘はまだ首すわりもしていなかった。 哺乳瓶でミルクを上げる時に抱っこするのは怒らないが、泣いているからと抱き上げると息を止めて怒った。 チアノーゼが出るほどに泣き暴れるので、泣き始めても寝かせたままお腹のあたりをとんとんしてやるしか術がない。 義母はそれを心配したようだった。 憤怒痙攣というそれ自体は、ネットで見ると稀にだがあることのようだから、と

    • 夏の夜

      夢を見ている。 その事実に気付いた途端、私は「私」の背中を空中で見つめる形となった。 自分の後頭部など見たことがないので、まじまじと見つめてしまう。 いや違うそんなことをしている場合ではない。 「先生、早くここから逃げましょう」 趣のある日本家屋の一室。柱にかけられた古めかしい時計は振り子を静かに揺らしている。 文机の上に原稿用紙が何枚も重ねて置かれているのも見えた。 薄い座布団の上に座り、一心不乱にペンを握る壮年の男性に向かって、「私」は先生と呼び掛けている。 先生は

      • 私、二人目は定型発達児が生みたい。

        二人目どうする? 娘の脳梁欠損が分かって怒涛の日々を送り、いつしか少しずつ落ち着いてきた我が家で私から発した会話である。 月に2度のリハビリ通院に加え、大学病院の小児科と眼科への通院。 保育園との細かい面談。医療費の還付請求の手続き。保育園とは別に自治体の担当との面談。 最初の頃は目が回るような感覚だったが、いつの間にか慣れた。 1ヵ月の内、娘の通院だけで6日も会社を休んだりもした。 有給の残りが心もとなかったが、幸い娘は冬の間熱も出さず定期通院・予防接種以外で休まずに済

        • 嘘をついていた。嘘の中でのびのび生きる娘を見ていたかった。

          皆さまは美容院どうされているのだろう…? こちらは生え際が黒く、いわゆるプリン頭になってしまっている。 前髪は流石に我慢ならず、自分で切った。 暑いので後ろで一つに結んでいるが、集めた髪の束が太くてびっくりした。 美容院からこの間、直筆のメッセージ入りの葉書をいただいた。 要約すると再開したし対策はばっちりするので是非ともご来店ください、という内容。 本当はもう少し自粛していようかな、と思ったけれど。 だんだん暑くなってきたこの頃を思うといったん髪の毛を梳いてしまわねば

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        頭に虹がかかっていない。そんな娘のこと

          いつかの未来の君へ、手紙を送ります

          もしも将来、娘が文字を読めるようになったら。 娘と時を超えた文通がしてみたい。 娘へ 元気ですか? 私は小さい君と君のお父さんと3人で、毎日元気に過ごしているよ。 もしも君が文字を読めるようになっていたら。 その未来を信じて、ちょっと恥ずかしいけれど文字で残しておくね。 時を超えて文通しよう。 返事は気が向いたらでいいからさ。 君はどんな風に成長したんだろう。今の私に大人になった君の姿を見せに来てほしいぐらい、とっても気になるな。 歩けているのかな。話せるようになっ

          いつかの未来の君へ、手紙を送ります

          両親が私にくれたもの

          私の名前は、人とかぶらない方だと思う。 最近の子はそんなのが当たり前になっているかもしれないが、昭和の終わりに生まれた私の子ども時代は、すごく珍しがられた。 漢字自体はそう難しくないし、読ませ方もそのまま。 万葉仮名づかいで、一つの音に対して漢字が一つ使われている。 だけど音として聞きなれないのか、初見ではたいてい読み間違えられる。 今そんなことしようものなら大問題になるだろうが、私の名前は新学期になると先生方の持ちネタとして扱われた。 新学期。新しいクラスで初めての点呼

          両親が私にくれたもの

          言うことなぁ~す!な休日 #キナリ杯

          私はゲームが好きだ。 娯楽の少ない田舎で、ファミコンやスーファミと共に育った。 カセットをふーふーする手つきは非常になめらかで無駄がないと自負している。 時には冒険の書が消え、自分の力ではどうにもできないことがあるのだと知った。理不尽ってこういうことを言うのね。 何を言っているか分からない?そんな人も大丈夫、本題には必要じゃない情報です。 ニンテンドースイッチをご存じだろうか。 テレビにつなげて据置型ゲーム機として扱うもよし。 手元で画面を見ながらの携帯型ゲーム機として扱

          言うことなぁ~す!な休日 #キナリ杯

          ママ、私幸せだよ。ママ、大好きだよ。

          ぐうぐうすぴすぴ 目を閉じて不思議な空間を泳いでいたのに、急にお腹をとんとんされる。 意味の分からない言葉を投げかけられて起きてしまい、とっても嫌な気分。 「やめて」って言ったけど私の話す言葉を理解できないみたい。 脇の下に手を入れてきて不機嫌な私を抱き上げる人の顔がようやく見えた。ママなのね私を起こしたのは。 私を誰だと思ってるの?女王様なのよ!…前世では、だけど。 「ねえ、やめてってば。私まだ寝てたでしょ」 私の頭の上にある顔に抗議のパンチ!くらえ! でもこの体、あ

          ママ、私幸せだよ。ママ、大好きだよ。

          夫が夜泣きの孤独に泣いた

          普段泣かない夫が夜泣きの孤独に泣いた、不甲斐ない妻でごめん。というお話。 私の夫は理性的であろうとする。いつもいつだって。 お付き合いを始める時に私が男性不信になる経緯を告げたときは、私のことを思って憤り、目に涙を浮かべてくれた。 結婚式の時、娘をよろしくお願いしますと頭を下げた私の母が途中涙で喉を詰まらせ最後まで言い切れなかったのを見て目を真っ赤にしていた。 2018年夏。分娩台の上で呆然とする私の傍らでありがとうありがとう、とそれだけを繰り返してやはり目を真っ赤にしてい

          夫が夜泣きの孤独に泣いた

          自戒と猛省の間で愚痴を吐き出す。

          娘は今年の夏に2歳になるが、生後3ヵ月ぐらいの成長である。 身長体重はありがたいことに問題なく成長しているので、傍目にはやたら大きな赤ちゃんである。 私は人間としての器が非常に小さく、またとても頼りないと自負しているが、他のお子様の成長が眩しくてSNS上でも直視できない。 薄目でそーっと見ている。 娘を生む直前まではイラストで妊娠レポをかいていらっしゃる方の記事を追いかけていた。 予定日が近く、勝手に親近感を感じて心の支えにしていた。 出産後しばらくも、産後あるある(泣

          自戒と猛省の間で愚痴を吐き出す。

          愛しい君の名前

          お題に挑戦してみるのも楽しそうなので どれが書けそうかな?とわくわくしつついろいろ見ていて、選んだのがこちら。 名前の由来 私の名前ではなく娘のことについて書いていこうと思う。 娘の名前は読み間違えのないように、という前提をもってつけた。 なにしろ私の名前が非常に読み間違いをしやすいものであり、子どもの頃嘲笑のネタになったからである。 だから娘の名前は読み間違えのないようにつけよう、と旦那に提案した。 旦那も旦那で、旧字体を使っているため保険とか銀行とかの手続きで大

          愛しい君の名前

          別れの季節

          新年度になりもう1か月が経過してしまった。 旦那は配置換えになり毎日遅くまで残業をしている。 2人目がほしいならば育休をとると誓え!と迫ったばかりなのに。 新年度は出会いの季節であり別れの季節でもある。 娘の主治医も新年度になり異動で遠方に行ってしまった。 出会ってから一年も経たずに別れとは。 なんと無情な人事異動。 だがしかしきっと戻ってきてくれると信じて待っていようじゃないか。 そう思うぐらいには私も旦那も彼を好ましく思っている。 大学病院のシステムはよく分からないが

          別れの季節

          得難き人

          母には申し訳ないとは思うが、私は祖母が大好きである。 地元では昔から夫婦共働きが当たり前で、母も例にもれず私を生んで数か月で職場に復帰した。 その母に代わって日中一切の育児を取り仕切ったのが祖母である。 懐くなというのが無理である。 物心ついた時には愛嬌たっぷりおちゃめな祖母のことが大好きであった私は、休みの日も祖母について出かけたし祖母が趣味で着物を見て回るのについて行ったりしていた。 そうして祖母に上手いこと誘導されて、私は茶道なるものに足を踏み入れた。 茶道 そう堅苦

          得難き人

          はじめまして

          はじめまして ぼかぼかという名前で登録しました。Twitterにも少し前から生息しております。 ぼかぼかは、地元の方言です。 急にあったかくなった時とかに使う言葉なのですが、なんだか好きなんです。 風は強いんだけど、冷たい風じゃなくてなんかあったかいな~って感じる風を「ぼかぼかの風ふいとるね」という風に言うんです。 祖母が大好きで祖母にくっついて育ったおかげで、同学年よりも方言が強く出る人間に成長しました。 標準語にすると微妙なニュアンスが伝わらない。そんな方言が

          はじめまして