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名曲喫茶で浪漫飛行

「名曲喫茶」ときくと、どのような印象を抱くだろう。
わたしは「荘厳」「会話禁止」「煙草」など、敷居の高い大人空間のイメージが強くあった。

数年前、読書家でシティボーイな上司に『僕たちの居場所論』という本をオススメされ読み進めていく中で、渋谷のディープ地帯・百軒店にある「名曲喫茶ライオン」を知り、仕事終わりによく足を運ぶようになった。 


名曲喫茶ライオンは、会話禁止である。
ひとりで行きたい喫茶店 第1位(浅煎の中で)。
店内は禁煙だが、長年の煙草の香りが染み付いており、創業1926年の歴史を感じさせる。
クラシック音楽とコーヒーを満喫でき、コーヒー好きやレトロ好きには堪らない空間だ。

コーヒーをゆっくりと口に運びながら、
目を瞑って音楽に耳を傾ける人。
店内の装飾をじっくり見渡す人。
廻るレコードを眺める人。
本や新聞、電子書籍を読む人。
絵や文を書く人。物思いに耽る人。
色んな人が、名曲喫茶でゆったりと時間を過ごしている。

名曲喫茶ライオンでの楽しみは、毎回配られるプログラム。
毎日15時と19時に、コンサートとしてプログラムに記載されている曲が流れる。
月毎にプログラム用紙の色が替わる。9月は緑色だった。

右端の短歌が季節を感じさせる
声に出して言いたい「帝都随一を誇る」
プログラム目当てに毎年行きたい願望


店内は撮影禁止のため写真は無いが、2階席の天井まで届きそうなくらい大きなスピーカーが、昼夜クラシック音楽を響かせている。
白いシーツを纏った赤い椅子は、どの席もスピーカーを向いている。

窓側に座ると、わたしは何故だか路面列車に乗っているようなハイカラな気分になってくる。
2階席でスピーカーの近くでコーヒーを飲んでいると、演奏会を聴きに来ているような緊張感と心地良さに包まれる。

コーヒーの値段はお高めだけれど、コーヒー付き演奏会の入場料 兼 空間維持費だと考えて、少し値段の張るコーヒーフロート(820円)を注文している。
次はいつ行けるかな。

余談だが、名曲喫茶ライオンのホームページにある「スタッフ募集要項」の年齢制限から自分が外れてしまったことに気付き、加齢という現実を思い知って、ほんの少し寂しい気持ちになったのだった…。

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