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カメジローは、沖縄のカリスマ、なのか?

先週一週間、地元・沖縄に帰省してました。
打ち合わせや営業や撮影やらで、割とスケジュールはパツパツだったのですが。どうしてもこれは見ておきたい!という映画がありましたので、時間を割いて地元の映画館で鑑賞した映画を本日はご紹介いたします。

映画『米国が最も恐れた男 その名は、カメジロー』を沖縄桜坂劇場で鑑賞しました。

 沖縄桜坂劇場では、上映開始一ヶ月で来場10000人超え(!)を記録した今話題の映画です。監督は本作で映画初メガホンをとるTBSのニュース番組『筑紫哲也のNEWS23』でキャスターを務めた佐古忠彦さん。音楽は坂本龍一さん、ナレーションには大杉漣さん。豪華です。気合入ってるなぁ、です。

 過去放送の番組内で撮影、収集された実際の映像や証言も交えながら戦後の沖縄と日本政府、米国の関係が描かれます。全編ドキュメンタリータッチながら、1秒も退屈せずに引き込まれる素晴らしい映画でした。

 住民が暮らす場所で唯一の地上戦が行われた沖縄。戦後も27年に及びアメリカに軍事占領された沖縄の戦後の歩みは、日本本土とは全く違います。その沖縄戦後史を政治家・瀬長亀次郎 (カメジロー) の生き様を通じてみることで、いまの沖縄の姿。基地問題を巡るデモや県民大会、地元新聞の過剰とも思えるほどの報道の意味を突きつけてきます。

 米軍機密資料に隠されていた占領軍と亀次郎の闘いの痕跡。歴史を解き明かす未公開映像、証言の数々。佐古監督が言うように、この映画が描くのは、昔話ではなく、私たちが生きている「いま」への問いかけだと言えるかもしれません。

 カメジロー こと瀬長亀次郎さんの行動力、リーダーシップは凄い。民衆を巻き込むカリスマ。ある意味、愛の人だと思います。“ある意味”と書いたのは、カメジローの反米、反日の立場の想いや行い、それによって伴う結果が必ずしも正義と言えるのかどうかは見た人による思うから。

 例えば、日本ではキューバ革命のアイコンとしてカリスマ的なイメージで認識されている、チェ・ゲバラですら、その社会主義共産主義マルクス主義との出会いが行動の原点であり情熱だったわけです。

 カメジローとゲバラを同じように見るのは無理がありますが、時代が生んだヒーローであり、人々を熱狂させるそのカリスマ性という意味では、通ずるものがあるような気がします。

 後半、カメジローの生き様に重ね合わせるように、現在の オール沖縄 というスローガンで行われる政治運動、県民大会・デモ活動がエモーショナルに描かれます。その描写に関しては、正直、個人的には共感できませんでした。カメジローの意思を引き継いでいる現在の沖縄。として描きたかったんだと思う。とは言え、2017年現在においては、沖縄、日本を巡る国際情勢は当時と全く違うので。

 むしろ、現在の翁長県知事による県政、大手新聞2紙、地元マスコミとガッツリ手を組んだ、分かりやすいプロパガンダ映画なのでは?(笑)とすら思えてしまうのは僕だけでしょうか? まぁ、それくらい極端に描いたほうが、映画としては純粋に面白いというのは分かる気もしますけど。。

 時代背景を知っていればカメジローや日本政府、米政府の主張をフラットに見れると思います。とはいえ、あまり知らなくても、この映画をキッカケに沖縄のみならず、戦後日本の歴史を学ぶキッカケになる良作なのは間違いないかと思います。

 平日の昼間に見たので、お客さんは地元のオジー、オバーが8割、大学生くらいの若者が2割ほど。上映後、オジー、オバーたちからは拍手が沸き起こるものの、若者らの中にはなんとなく釈然としない顔をしている人も多々いる印象でした。見る世代で感想が分かれる映画かもしれません。僕個人の感想は、面白いけど、映画の内容はツッコミも多々ある。カメジローは魅力的!ってところです。

 映画館を出た後、桜坂劇場からほど近い那覇・国際通りを歩きながら、これまでの沖縄。現在の沖縄。そして、これからの沖縄のあり方と人々の生き方に思いを馳せられる映画となりました。
最近は、特に、近隣諸国との関係が騒がしいですからね。この映画を通じて、沖縄、そして日本やアジアの未来を真剣に考えるきっかけになると思います。

 現在、渋谷ユーロスペースをはじめ、全国の劇場でも公開されてます!おすすめなので、ぜひ♩

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