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思考整理の文章置き場

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日記ではない長文のエッセイや、もぐら会「書くことコース」の原稿などをまとめています。
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2019年7月の記事一覧

オルガ・トカルチュク著「昼の家、夜の家」を泣きながら読む。

オルガ・トカルチュク著「昼の家、夜の家」を泣きながら読む。

小説を読む意味ってなんだろう。

それはとても非生産的で効率が悪くてむしろ時間の無駄だと思われるかもしれない。ある人はこう言っていた。「小説は他人の空想。そんなもの限られた自分の時間で読む必要はない」と。でも、出会うべき一冊に出会ってしまったなら彼・彼女の人生にとってその作品と出会えた価値はかけがえがなくて、物語を通じて得た経験は生産的だし、効率的だし、むしろ誰よりも時間を有効に使ったと感じられる

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問いを与えられる喜び。哲学の美しさをバカロレア試験から。

問いを与えられる喜び。哲学の美しさをバカロレア試験から。

こちらに向かってくると思っていなかった質問をふと放り投げられる。立ち止まり、どれどれと題を手にとって考えてみると、頭のなかにあった情報が客観化され整理立てていくうちに自分だけの論が生まれる。それが哲学だ。

哲学をすることは面白い。わたしは、フランスのバカロレア(baccalauréat)試験で必須とされる哲学の出題を毎年何よりも楽しみにしていて、これをフランス人学生たちが18歳の時点で問われるん

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