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【ドイツ周遊】ヘレンキームゼー城 夢と孤独のバイエルン王が造ったドイツの小さなヴェルサイユを訪ねて
こんにちは。
ドイツ・ミュンヘンにて留学生活を送る大学生、桜です。
現在DB(日本でいうJR)がストライキ中で身動きが取れず、おとなしく勉強する日々。
雨も降りしきり、noteで息抜きをしています。
そんな今日は、おそらくバイエルンで一番有名な王が造った“ドイツのヴェルサイユ宮殿”に行った去年のとある日の旅行記。
ルートヴィヒ2世の夢の城
今回訪れたのは、バイエルン州のキーム湖(キームゼー)にあるヘレン・インゼル(男島)に浮かぶ城、ヘレンキームゼー城。
ところでバイエルンで良くも悪くも最も有名な王様と言えば、あのノイシュヴァンシュタイン城を建てたことで知られるルートヴィヒ二世。
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神話やオペラを愛し物語の世界にのめり込んで謎の死を遂げた彼に、私は言い表せない何か不思議な魅力を感じ、保守的なバイエルンを時に過剰に象徴するかのような生き方をした彼の存在は、私がここミュンヘンに留学を決めた小さな動機の数々のうちの一つです。
容姿端麗でメルヘンな趣味を持ち合わせた「狂王」ルートヴィヒはその生涯で、ノイシュヴァンシュタインを含め、自身の感性を最大限反映させた„3つの城”を造ります。
そのうちの一つで3つの中で最大のものが、今回行くヘレンキームゼー。
湖の近くまでは電車で行き、そこから船に乗って島まで向かいます。
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船着き場が見えてきました。
この船は半分公共交通、半分観光船のような役割を果たしていて、
この日もドイツ人じゃない人が多く乗っていました。
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チケットセンターで船の切符を購入します。
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今回乗ったのは、古風な色合いで木製風の装飾があしらわれた小さめの船。
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前方には、白と明るい青のバイエルン王国の旗が揺らめいていました。
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島の船着き場に近くなるにつれ、観光客の多さに少し眩暈を感じながらも無事目的地に到着。
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島を歩く
「男島」上陸。
男島ってたしか日本にもいくつかありますよね。
私が知っているだけでも、香川県、北海道、長崎県・・・
それらのどこにも行ったことのない私にとっては、人生初「男島」です。
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このヘレン・インゼル、こんな風に真ん中に城があり周辺は森林になっていてハイキングができます。
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上陸早々チケットを買いましたが入場時間までは1時間半ほどあったので、私ものどかに島の中を練り歩きました。
ちなみにさっき船の切符と一緒に持っていたチケットですが、バイエルン州の城に1年間行き放題の年間パスのようなもの(50ユーロで買いました)で、今回これを提示したのでチケット代は払っていません。
一年間バイエルン州に住むなら絶対に買うべきチケットです。
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こんなだだっ広い道をひたすら歩き、馬や丸めて端に追いやられた飼料とすれ違い、たまに立ち止まって島の美味しい空気で肺を洗い、またひたすら歩きます。
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誰も通らなそうな道の脇には小さな教会もあり、案の定中に人はいなかったもののきちんと綺麗にされた椅子と祭壇と、繊細ないくつもの天井画を見学。
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続けて歩みを進めふと左に顔を向けると、奥に見えるのはおそらくヘレンキームゼー城。
そろそろ入場時間なので向こうへ向かいます。
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庭園には色とりどりの花が植えられていて、緑一色の景色に彩を与えてくれます。
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ドイツに造られたヴェルサイユ
ルートヴィヒ二世は、自信と同じ名を持ちフランス絶対王政において太陽王として君臨したルイ14世を崇拝していました。(ルートヴィヒ:Ludwigはフランス語読みするとルイ)
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ルイ14世を崇拝する者として、彼の治世を象徴し後世にまでその権力を誇示した一大プロジェクト・ヴェルサイユ宮殿の建設を模倣することは、ルートヴィヒの一つの夢でありました。
そうして建てられたのがこのヘレンキームゼー城。
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そして↓がヴェルサイユ宮殿の噴水庭園。
栄光なるヴェルサイユのフランス式庭園をそのまま南ドイツの小島に再現してしまったのです。
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ヘレンキームゼーの庭園にはいくつもの豪華な噴水が。
そのうちの一つは「ラトナの噴水」というもので、これもヴェルサイユの噴水をそのまま模倣したもの。
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↓がヴェルサイユの「ラトナの噴水」。
名前まで同じにしてしまったのですね(笑)
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入場時間になったので、ガイドのお姉さんの後ろでぞろぞろとお城内部へ。
島の入り口でチケットを買ったときにカウンターのお姉さんと仲良くなったのですが、私が日本からの留学生だと言ったのでわざわざ城に連絡を入れて、日本語で部屋の一つ一つが解説されている紙を係の人が渡してくれました。
恐らくほかにも日本人がいたのですが、私にだけくれたので本当にただの個人的で粋な計らいだったのかもしれません。
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お城内部は全面的に撮影禁止だったので、公式ホームページから引っ張ってきた写真を載せておきます。
玄関部分からはルートヴィヒ二世好みのロマン主義が存分に感じられ、
またここは彼が造った3つの城のうち最もお金がかけられたという説明がこの広場でなされたので、
あのノイシュヴァンシュタインよりもお金がかかっているのかと思うと息をのんでしまいました。
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このヘレンキームゼーが誇る最大の特徴は、なんといってもこの「鏡の間」。
そう、あのヴェルサイユ宮殿の鏡の間の模倣作品です。
しかしここはヴェルサイユよりも8メートル長いそうで、
また衛生面でも優れていたと断言できます。
なぜならここヘレンキームゼー城、ヴェルサイユの模倣ではあるものの時代の変化に伴い発達した技術がふんだんに使われ(ルートヴィヒはドイツで初めて“電話”を使うなど最新技術が好きな王でした)、ヴェルサイユにはなかった「トイレ」が設置されていたのです。
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ルートヴィヒ博物館
城のツアーが終わった後は、隣接されているルートヴィヒの博物館へ。
ここには主にルートヴィヒの一生涯で撮られた様々な写真や、衣服などが展示されていました。
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ちなみにルートヴィヒは、写真を撮られるときは必ずと言っていいほど左上を鋭く見上げるような目線で写っています。
これは自意識の強かった彼なりのこだわりで、この角度・この目線が一番よく写るとわかっていたのだそう。
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赤ちゃんのルートヴィヒが着用したネグリジェも綺麗な状態で残されていました。
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そして、私がこの博物館に来て一番見たかったもの
ルートヴィヒ2世のデスマスクです。
芸術にのめりこみ心を閉ざし始めてからは、どんどん巨漢体型になっていった彼ですが、デスマスクを見るとやはりそのツンととがった鼻や堀の深い目元など、美青年だった面影を感じることができてしばらく魅入ってしまいました。
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ルートヴィヒが寝る予定だったベッド。
残念ながらヘレンキームゼー城の完成前に彼はこの世を去ってしまい、この豪華なバイエルン・ブルーのベッドで寝ることは叶いませんでした。
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ルートヴィヒは一度婚約をしています。
その相手と言うのが、彼が人生において姉のように慕った、同じヴィッテルスバッハ家のバイエルン公女でありオーストリア皇后となるエリザベート(シシイ)の妹・ゾフィでした。
ワーグナーの芸術を共に愛したゾフィはルートヴィヒにとってはどこか妹や友人のようで、その愛情が結婚に結びつくことは無かったとわかった彼は悩んだ末婚約を解消します。
これ以降、シシイは怒ってルートヴィヒと絶交したとも言われています。
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それを踏まえてこの婚約衣装と婚約写真を見ると、胸が詰まります。
女性を愛さなかったといわれる彼にとって、姉のように慕う友人の妹とのこの婚約はどれほどの苦悩だったでしょう。
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ちなみにこの青いマントは、ノイシュバンシュタイン城の麓にあるバイエルン王博物館に実物が展示されていました。
ルートヴィヒの世界を存分に味わい家路につきます。
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帰りの船もずいぶん込み合っていました。
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ルートヴィヒ二世の夢の城、ノイシュヴァンシュタイン・ヘレンキームゼー・リンダーホーフ。
彼が惜しくも完成を観ずして死んでしまったこの城は、今も未完のままです。
いつかヴェルサイユ宮殿を訪れて、ルートヴィヒも抱いた憧憬を私も抱いてみたいなと思いました。
今回の旅行記はここまで。
それではまた!
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